勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ハッピーエンドの選び方 / The Farewell Party

2015年12月13日 | 洋画(その他)
第71回ヴェネチア国際映画祭観客賞受賞。

老人ホームで暮らす個人発明家が、望まぬ延命治療に苦しむ友人のために自殺幇助装置を作って直面する人の生と死の問題を描いた作品。

映画館で流れる予告編だと、どちらかと言うとコミカルな内容の様な感じがしますが、実際には意外に真面目です。もちろん、笑いが起こるシーンも有りますが、全体的には真面目に人の生と死を描こうとしている様に思えました。

実はこの作品は、非常に重要なテーマを描いているんですよね。日本は『老人漂流社会』とか言われていますし、老人介護施設が定員が少なかったり、あるいは逆に、定員に空きはあるけど介護職員が少なくて入れなかったり・・・。これじゃぁ、十分に幸せな老後が送れるかちょっとわからなくなってしまいます。そう言う心配な将来が予見されるとき、「エンディングをどの様に迎えるのか?」と言う事が非常に重要だと思いました。ある意味、自分の将来の様だとも思えました。

最後は、ああ言う感じですかねぇ。途中で、レバーナが認知症の症状を示し始めた時点で、この結末はね。それと、最後のセリフが何とも泣かせるセリフですね。孫と別れるときに「小さいキス」と言ってちょっとキスをして別れるわけですが、そのセリフでした。

ヨヘスケルを演じているゼーブ・リバシュが、報道キャスターの岸井成格さんに見えて仕方なかったです(苦笑)。

タイトル ハッピーエンドの選び方 / 原題 The Farewell Party(Mita Tova)

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/イスラエル・ドイツ
監督 シャロン・マイモン、タル・グラニット
出演 ゼーブ・リバシュ(ヨヘスケル)、レバーナ・フィンケルシュタイン(レバーナ/ヨヘスケルの妻)、アリサ・ローゼン(ヤナ/ヨヘスケルの親友)、イラン・ダール(ドクター・ダニエル/元獣医、ゲイ)、ラファエル・タボール(ラフィ・セーガル/元警官、ドクター・ダニエルの恋人)

1001グラム ハカリしれない愛のこと / 1001 Grams

2015年11月01日 | 洋画(その他)
第27回東京国際映画祭コンペティション部門出品。アカデミー賞外国語映画部門ノルウェー代表に選出。

ノルウェー国立計量研究所に勤務する計測のプロが、自分の人生は思い通りに“計測”出来ず思い悩み、人生を見つめなおす物語。

劇中「人の魂の重さ」に言及するシーンが有るんですが、実際に、人の死亡前後などの重量を測定してみると、死んだ時に抜けるガスや液体など、様々な現象を考慮しても、どうしても説明できない誤差があるらしく、それが『魂の重さ』と言われていたりします。この作品では、遺灰を測定するときにその重さを感じさせる様な演出がなされていますが、それはちょっと違うよねぇ。だって、遺灰にするときに全て抜けてるじゃん。まぁ、そんなツッコミは良いとして、厳密に計量することを旨とするノルウェー国立計量研究所に関わる話としては非常に興味深い話だと思いました。

それともう一つ。時間(秒)や長さの定義は、地球を基準とするとゆらぎや誤差の影響を免れないので、現代では物理現象を基準とするようになっているのですが、重さだけはまだキログラム原器に依っているんですよねぇ。だからこの物語のように、キログラム原器の破損(!)の様な出来事が描けるわけです、ただこれも、劇中で描かれているように、より確からしい物理定数による定義に変えようとはしているようで、それが実現されれば、この物語のようなことはなくなってしまいます。

どちらも実在する「ノルウェー国立計量研究所」と「国際度量衡局」での撮影されています。「国際度量衡局」って、あんな瀟洒な建物なんですね。いやぁ、国際的な研究機関とは思えないです。逆に、「ノルウェー国立計量研究所」はスタイリッシュ。それでいて機能美を感じさせる建物でした。

「計測」と言う事を描いた物語だからなのか、あるいは、ノルウェーと言うお国柄なのか、非常に淡々と物語が進みます。それだけに、主人公の人生の思い悩みを感じるような気がしました。

タイトル 1001グラム ハカリしれない愛のこと / 原題 1001 Grams
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/ノルウェー・ドイツ・フランス
監督 ベント・ハーメル
出演 アーネ・ダール・トルプ(マリエ・アーンスト)、ローラン・ストーケル(パイ)、スタイン・ビンゲ(アーンスト・アーンスト/マリエの父)

シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人 / Two Raging Grannies

2015年09月22日 | 洋画(その他)
92歳のシャーリーと86歳のヒンダが、大学生、大学教授、経済アナリストに「経済成長」について聞きまくるドキュメンタリー。

「経済成長」の謎を解明するというよりも、いまの成長至上主義に対しての警句と言う感じですね。途中までは、「経済の成長って何?」「なんで経済は成長しなくちゃならないの?」と言う純粋な疑問を追っかけていたと思うんですが、途中から、経済成長そのものに対しての疑問に置き換わっていたような気がします。

物語の場所はアメリカですが、制作した国はノルウェー・デンマーク・イタリア。制作されたのは2013年ですが、2010年の欧州債務危機も、この作品の背景にあることを考慮する必要がありますね。

多くの映像は、きちんとスタッフが居て撮影した映像に見えます。一部、NYでの会議の模様は、必ずしもそうではないかもしれませんが。どうやって撮影したんでしょうね?

タイトル シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人 / 原題 Two Raging Grannies
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2013年/ノルウェー・デンマーク・イタリア
監督 ホバルト・ブストネス
出演 シャーリー・モリソン、ヒンダ・キプニス

戦場のピアニスト(デジタルリマスター版) / The Pianist

2015年09月01日 | 洋画(その他)
2015年、戦後70週年を記念してデジタルリマスター版が公開されたので行ってみました。10年以上前の作品ですが、実は、初見。最初の公開の時は、見逃していたんですよねぇ。

シュピルマンがピアノ演奏をしている最中にドイツ軍のポーランド侵攻が開始されるシーンから映画は始まります。このシーン、ピアノを引いている手のアップからそのままパンアップして、演奏しているシュピルマンの姿を捉えています。この作品では、シュピルマンをエイドリアン・ブロディが演じているのですが、ということは、エイドリアン・ブロディはピアノの練習をしたということですよね。その証拠に、エンドロールで、エイドリアン・ブロディのピアノトレーナーの名前もクレジットされていました。彼、元々、ピアノが引けるんですかね?そうで無いとしたら、かなり練習したのかと思います。

第二次大戦のポーランド戦を巡る様々な出来事が描かれています。ワルシャワ・ゲットー蜂起、ワルシャワ蜂起。シュピルマンは、ワルシャワ・ゲットー蜂起の時には既にゲットーから脱出していて、ゲットーの外からその戦いを見ていたわけですが、その心境はいかばかりか。

それと、ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉。彼のその後は、Wikipediaなどに詳しいけど、気の毒だね。

ポスターから、廃墟の中でシュピルマンが演奏するシーンを想像していましたが、そう言うシーンはありませんでした(シュピルマンとホーゼンフェルト大尉の出会うシーンはそれに近いですが)。でも、そんなシーンが無くても十分。って言うか、私が不勉強なだけでした。

ピアノの演奏がキレイなだけに、戦争の悲惨さが余計に心に滲みました。

タイトル 戦場のピアニスト / 原題 The Pianist
日本公開年 2003年(初回)/2015年(デジタルリマスター版)
製作年/製作国 2002年/フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス
監督 ロマン・ポランスキー
原作 ウワディスワフ・シュピルマン『戦場のピアニスト』
出演 エイドリアン・ブロディ(ウワディスワフ・シュピルマン)、トーマス・クレッチマン(ヴィルム・ホーゼンフェルト/ドイツ軍大尉)、フランク・フィンレイ(父)、ミハウ・ジェブロフスキー(ユーレク)、エド・ストッパード(ヘンリク)、モーリン・リップマン(母)、ロイ・スマイルズ(イーツァク・ヘラー/ユダヤ人ゲットー警察)、ルース・プラット(ヤニタ)、ロナン・ヴィバート(アンジェイ/ヤニナの夫)、エミリア・フォックス(ドロタ)、ヴァレンタイン・ペルカ(ミルカ/ドロタの夫)

ビッグゲーム 大統領と少年ハンター / Big Game

2015年08月15日 | 洋画(その他)
ネタバレあり。

フィンランド上空でテロリストによって撃墜されたアメリカ大統領専用機エアフォースワン。大統領は、脱出ポッドで墜落するエアフォースワンから脱出するが、アメリカ国防総省は、その位置を見失ってしまう。

エアフォースワンの脱出ポッドという発想は、ウォルフガング・ペーターゼンが監督で、ハリソン・フォードが大統領役を演じた『エアフォース・ワン』での設定だよね?って言うか、本当は無いらしいですけどね。

うーん、評価に困るな(苦笑)。正直に言って、期待には外れました。機内や閣僚、危機管理センター、その他種々とが雜です。雑すぎます。これの製作陣は、『エアフォースワン』を見るべき。制作にアメリカのスタッフが入っていないので仕方ないのかもしれませんが、日本人が判るくらいなんですからねぇ・・・。

それと、フィンランドはNATO加盟国じゃ無いとは言え、捜索に全面的に協力するでしょう、普通は。その辺の所が全く描かれていないんですよねぇ。そう言う細かい所が雑なんです。

でもねぇ、描いている内容は意外に深いです。所々に入る大統領の「アメリカは最強の国」的なセリフが、フィンランドのアメリカ観を示しているような気がしますね。強烈なアメリカ批判の作品なのかもしれません。

それにしtめお、シークレットサービス隊員の裏切りは、『エアフォースワン』でも描かれていましたが、副大統領の裏切りとはねぇ。それを言っちゃぁお終いよと言うところを描いていますね。

もう少し丁寧に脚本を書いていれば、もっといい作品になったと思います。

タイトル ビッグゲーム 大統領と少年ハンター / 原題 Big Game
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/フィンランド・イギリス・ドイツ
監督 ヤルマリ・ヘランダー
出演 サミュエル・L・ジャクソン(ウィリアム・ムーア/アメリカ大統領)、オンニ・トンミラ(オスカリ)、レイ・スティーブンソン(モリス/シークレットサービス隊員)、テッド・レビン(アンダーウッド/陸軍大将)、ビクター・ガーバー(副大統領)、フェリシティ・ハフマン(CIA長官)、マフメット・クルトゥルス(ハザル)、ジム・ブロードベント(ハーバート/CIA工作員)

人生スイッチ / Relatos salvajes

2015年08月07日 | 洋画(その他)
6つの短編からなる映画。人生の様々な出来事を描いています。第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品、第87回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート。アルゼンチンの歴代興行収入第1位。

PG12指定も納得です。ブラックです。良いだけブラックです。“ブラックユーモア”と言われることもあるようなので、笑いがあるのかと思ったらだいぶ違います。日本人の思う“ユーモア”と、海外の“ユーモア”にはだいぶ乖離がありますね。

私は嫌いじゃないです。私は好きなのは、第1話ですかね。タイトルが出てくる前の作品ですが、非常にブラック。9.11や、今年3月24日のジャーマンウイングス9525便墜落事故を念頭に置くと、ぶっちゃけトンデモ無い内容(結末)なんですが、そこに至る過程と言うか、その事態を招いた元々の原因の所がなんとも可笑しいです。

日本のサラリーマンにもありそうな話が第4話。仕事に入れ込み過ぎて、奥さんとの関係が悪くなり、それと同時並行に色々不運な事(駐車違反とか)も起きるなんてね・・・。これはわかりやすかったですね。

それと、最後の第6話も中々不思議。いやぁ、怖いです。それと、要するに和解したということ?男女の仲は、他人には理解不能ですね。

原題の直訳は『野生の物語』。ソッチの方が良かったかも。

実は、先週のヒューマントラストシネマ有楽町のエアコン故障の影響を受けたのはこの作品。一週間遅れで見ることが出来ました。

タイトル 人生スイッチ / 原題 Relatos salvajes
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/アルゼンチン・スペイン
監督・脚本 ダミアン・ジフロン
出演 Story1:ダリオ・グランディネッティ(サルガード/音楽評論家)、Story2:フリエタ・ジルベルベルグ(ウェイトレス)、リタ・コルテセ(料理人)、Story3:レオナルド・スバラーリャ(ディエゴ)、Story4:リカルド・ダリン(シモン/ビル爆破技術者)、Story5:オスカル・マルチネス(モーリシオ/大金持ち)、Story6:エリカ・リバス(ロミーナ/花嫁)

フレンチアルプスで起きたこと / Turist

2015年07月04日 | 洋画(その他)
フレンチアルプスにスキー・バカンスにやってきたスウェーデン人一家に巻き起こる家庭不和の危機。第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・審査員賞受賞。

いやぁ、なんでこう言う出来事を映画で描こうと思ったんですかね?そう思わせられるから、カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門の審査員賞を受賞したんだと思いますが。それにしても、シュールというか、ブラックというか・・・。人間の本質を描いた映画と言って過言ではないです。

雪崩に巻き込まれかけることは、そうそう無いと思いますが、ふとした何気ない言動が、周囲に波紋を広げて、人間関係が悪化していくということ。そう言う意味で、他人事では無いなとも思いました。そしてそれは、自分たち家族だけではなく、何故か周囲に友人知人たちにも伝搬していくなんてね、なんか、ありそうな感じに思えました。

気になったのが、エバ。彼女の危機感知感性は、この物語の一つの線になっているのでは無いでしょうか?最初の雪崩、物語終盤のゲレンデでの出来事、そして最後のバスでの出来事。そう言う意味では、あの後バスに何かが起きるのか?と思っていたんですが、映画の中では何も起きませんでしたね。

人の本性を描いたこの作品。深いです。

タイトル フレンチアルプスで起きたこと / 原題 Turist
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/スウェーデン・デンマーク・フランス・ノルウェー
監督 リューベン・オストルンド
出演 ヨハネス・バー・クンケ(トマス)、リサ・ロブン・コングスリ(エバ)、クララ・ベッテルグレン(ヴェラ)、ビンセント・ベッテルグレン(ハリー)、クリストファー・ヒビュー(マッツ)、ファンニ・メテーリウス(ファンニ)

特捜部Q 檻の中の女 / Kvinden i buret

2015年01月24日 | 洋画(その他)
ネタバレあり。

2007年の発表後欧米で大人気となった北欧ミステリーの映画化。

実はたまたま図書館で原作を見かけて読んでいました。アメリカ、イギリスのミステリーとはちょっと違う雰囲気の作品。地理的にドイツに隣接していることもあり、緻密なドイツミステリーの雰囲気も感じる原作でした。そんな原作が、どの様に映像化されるのか・・・!

前半は、概ね原作通りですね。ですが終盤は流石に簡略化されていましたね。

原作では、二回最後の現場に赴くんですが、映画では最初に行った時に、一気に片付けると言う描写になっていました。だから、ミレーデが発見された時、カールが海軍の出動をいきなり要請するという描き方になったんですが、原作ではこれの説明もきちんとされているんですよね。原作では、そこまでの推理で、ミレーデが高圧下に晒されていて常圧に戻ると減圧症が発症することが推定さたので、潜水艦や潜水士などを要していることから減圧症対策設備を持つ海軍の協力を得ようという話があるんですよ。映画だと、その件がなくていきなり海軍を呼んでくださいという事になるので、わからないと思います。

あと、映画だと、ミレーデは減圧症の影響も無い上に、ウフェがミレーデに会うために病院に来るようになっていましたが、原作では、ちょっと悲観的な終わり方になっていて、ミレーデは一命は取り留めるものの、減圧症の影響もある様な描写になっていて、逆にミレーデがウフェと同じ療養所に居る描写になっていました。まぁ、本だと原作の描き方でもいいかもしれませんが、映画化に際しては少しでも明るい内容に変更したのかも。

それと、概ね原作通りと記しましたが、アサドの設定が若干変わっている気がします。そもそも彼は、警察職員かもしれませんが、警察官ではないので、警察手帳を持たないというのが原作上の設定でしたが、映画では警察手帳風のものをアサドももっていました。

面白いと思ったのが、地下室。本で読んで想像したのとは違う地下室でした。倉庫から、きちんとした部屋に変わっていましたね。なるほど、あんな感じの地下室なんだ。

原作は、いま5作目まで出ており、3作目の『特捜部Q Pからのメッセージ(原題:Flaskepost fra P.)』まで映画化されているようです。日本でも公開してほしいなぁ。

タイトル 特捜部Q 檻の中の女 / 原題 Kvinden i buret
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2013年/デンマーク
監督 ミケル・ノルガード
原作 ユッシ・エーズラ・オールスン
出演 ニコライ・リー・コス(カール・マーク)、ファレス・ファレス(アサド)、ソニア・リクター(ミレーデ・ルンゴー)、ミケル・ボー・フォルスガード(ウフェ・ルンゴー/ミレーテの弟)、ソーレン・ピルマーク(マークス・ヤコプセン/殺人捜査課課長)、トロールス・リュービュー(ハーディ・ヘニングセン/カールの元相棒)

[2015/01/24]鑑賞・投稿

ガガーリン 世界を変えた108分 / Gagarin. Pervyy v kosmose

2014年12月23日 | 洋画(その他)
世界で初めて有人宇宙飛行を成功させたユーリイ・ガガーリンの生誕80周年記念の映画。ちなみにガガーリンは、大佐に昇進した後、地球帰還7年後の航空機飛行中の事故で死亡しています。

ロシア映画は初めて。もちろん言葉も判りません。フランス映画とか、ドイツ映画ならば、所々分かる言葉もあるんですが、その欠片もありません。強いて言えば、わかったのは“ハラーショ”位かな(苦笑)。

映画の作りの第一印象は、冒頭の絵の作りが「ハリウッド映画に似てる」でした。『アポロ13』よろしく、ロケット発射のシーンなど、アメリカ映画のようなカメラワークだと思いました。

ただ、アメリカ映画に似ていると思ったのもここくらいまで。ガガーリンが人類史上初めて宇宙飛行を行ったのは事実だとして、そこに至る過程とか、残された妻とか、なんかあまりにもうまく話が出来過ぎです(苦笑)。加えて、終盤ガガーリンの宇宙到達を知った市民が熱狂するところなどを見た時は「なんだこれは!プロパガンダ映画か?!」と思ったのは私だけではないはず。

その辺りの演出が口にあわない所を除けば、意外に見どころが多いです。その当時、人類が無重力下で生存できるか不明であったというのは驚きで、そんな中で宇宙飛行士になるのは、文字通り命がけだったんですね。もっとも、そこに至るまで、犬や猿で実験していたはずなので、哺乳類が無重力に対する耐性が無いと言う事はないのはわかっていたと思うんですけどね。まぁでも、残された家族は気が気じゃないですよね。

意外にロケット打ち上げや、宇宙空間でのボストークなどが、CGが中々上手いと思います。ロシアもCG技術が高いんですね。って言うか、ロシアだからCG技術が高い?・・・失礼しました。

タイトル ガガーリン 世界を変えた108分 / 原題 Gagarin. Pervyy v kosmose
日本公開年 2014年
製作年/製作国 2013年/ロシア
監督 パベル・パルホメンコ
出演 ヤロスラフ・ザルニン(ユーリイ・ガガーリン)、ミハイル・フィリポフ(セルゲイ・コロリョフ)、オルガ・イワノワ(バレンティナ・イワノワ)、ビクトール・プロスクリン(父)、ナジェジダ・マルキナ(母)

[2014/12/23]鑑賞・投稿

ストックホルムでワルツを / Monica Z

2014年11月29日 | 洋画(その他)
母国スウェーデンでは知らぬ人はいないと言われる歌姫、モニカ・ゼタールンドの半生を描いた作品。

文字通り半生で、ビル・エヴァンスと組んで作品を作る辺りで映画は終っている。その意味では、彼女の活躍の初期だけ描いていると言って良いと思います。もっとも、母国スウェーデンでは、誰もが知っている人物なので、有名になるまでを描けば、その後は「みなさん知っていますよね?」と言う事なのか?大変不勉強ながら、極東の島国の国民としては、その後の活躍も知りたかったです。

不勉強ながら、モニカ・ゼタールンドと言う人物のことは知りませんでした。日本で言うと、国民の誰でもが知っていると言う観点で、淡谷のり子とか、美空ひばりとかに位置する人なのでしょうか?

モニカは1960年台から活躍をし始め1999年に引退したそうなのですが、その時代の芸能人の例に漏れず、お酒に恋に、なかなか荒れた生活を送っていたようです。あの荒れっぷりは、あっぱれと言うか、何と言うか・・・。娘が居たようなのですが、あの荒れようを見せられて成長したとなると・・・、娘、大丈夫か?

劇中、トランペットケースと一緒にしまわれていた若い男性が写っている古い写真が出てくるシーンが有ります。「え?誰?スウェーデンでは有名な人?」と思ったんですが、違いましたね。その写真をハッキリと示して説明があったわけではありませんが、あれは、若かりし頃のモニカのお父さんですね。映画公式HPに依ると、そもそもモニカはお父さんのバンドで歌っていたらしいですし、作品中でもお父さんが楽器を演奏していたことを示唆する台詞がありました。また、その事(お父さんも楽器演奏をしていたこと)を理解すると、お父さんの言動もより深く理解出来ました。

1960年代を描いた作品ですが、当時の世相、ファッション、車、雑貨などが再現されています。特に私の目についたのは、車。スウェーデンと言う事で、車はやっぱりSAABなのですが、エンジン音が2サイクルみたいなんですけど?って言うか、排気ガスに煙(エンジンオイルの燃えた煙?)が見えたし、エンジン音も軽いので、やっぱり、2サイクルなんでしょうね。と言うことは、日本で言うと、軽自動車相当の車の様に思えました。

Wikipediaに本人の写真が掲載されていましたが、この作品でモニカを演じたエッダに似ています。って言うか、似ているからキャスティングされたんでしょうかね?その辺りはよく判りません。

スウェーデン語の映画は始めて。所々に英語のセリフも交じるので、英語部分は何とかかんとか分かるんですが、スウェーデン語の部分はさっぱり。ドイツ語とか、フランス語だと、所々に分かる単語が出てくるんですが、流石にスウェーデン語の場合はさっぱりでした。

中々、面白かったです。

タイトル ストックホルムでワルツを / 原題 Monica Z
日本公開年 2014年
製作年/製作国 2013年/スウェーデン
監督 ペール・フライ
出演 エッダ・マグナソン(モニカ・ゼタールンド)、スベリル・グドナソン(ストゥーレ・オーケルベリ)、シェル・ベリィクビスト(ベント・ゼタールンド/モニカの父)

[2014/11/29]鑑賞・投稿