勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

黄金のアデーレ 名画の帰還 / Woman in Gold

2015年12月12日 | 洋画(イギリス系)
画家グスタフ・クリムトの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ』他の作品の所有権を巡って実際にあった裁判と裁判を起こした女性の運命の物語を描いた作品。

この映画を見るまで、クリムトという画家の名前も、この様な裁判が行われていたことも全く知りませんでした。クリムトの件はさておき、今年2015年は、第二次大戦を舞台にした作品が多いですね。欧米然り、日本然り。やはり、戦後70年という節目の年だからでしょうか?

それにしても、所有権を主張したマリアは良いですが、彼女が組んだ弁護士が若手で実績がなく、崖っぷちの弁護士であるというのは、まるでドラマであるかのような設定ですね。いや設定ではなく、本当なんですけどね。

この作品『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ』の所有権移転が実現した大きな理由の一つに、弁護士のランドル自身も実はウィーンにルーツを持つユダヤ人の家系であったと言う事もあったと思います。確かに最初は、お金と有名になれるという打算的な理由でランドルは取り組み始めていましたが、ウィーンに行ってホロコースト記念碑を目にしてからのランドルは、何かが変わったようでした。ランドル自身も、それで課題意識を強く持ったんだと思います。

それと主人公のマリアを演じたヘレン・ミレンは外せませんね。イギリス女王を演じたり、今回のようにオーストリアの名家の人物を演じたりと、変幻自在の演技は素晴らしいです。

いやぁ、最後のマリアのオーストリア側の弁護士へのセリフは痛快でしたね。そりゃそうだよな。まぁ、あの弁護士も恥を忍んでいったんだと思いますが、それが受け入れられると思っていたのは、思い上がりですね。

中々面白かったです。

タイトル 黄金のアデーレ 名画の帰還 / 原題 Woman in Gold

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/イギリス・アメリカ
監督 サイモン・カーティス
出演 ヘレン・ミレン(マリア・アルトマン)、ライアン・レイノルズ(ランドル・シェーンベルク)、ダニエル・ブリュール(フベルトゥス・チェルニン)、ケイティ・ホームズ(パム・シェーンベルク/ランドルの妻)、タチアナ・マズラニー(若い頃のマリア・アルトマン)、マックス・アイアンズ(フリッツ/マリアの夫)、チャールズ・ダンス(シャーマン/ランドルの上司)、エリザベス・マクガバン(フローレンス・クーパー/判事)、ジョナサン・プライス(レンクイスト/アメリカ合衆国連邦最高裁首席判事)、フランシス・フィッシャー(バーバラ。シェーンベルク/ランドルの母、マリアの友人)

007 スペクター / Spectre

2015年11月29日 | 洋画(イギリス系)
公開日は12月4日なのですが、急遽、先行上映が決まったということなので、他の映画を見に行く予定にしていたのですが、早速変更してこちらに行ってきました。

007がダニエル・クレイグに変わってから思うんですが、ハードボイルドで良いですね。一番好きな007です。誰とは敢えて上げませんが、ニヤけた感じの077がひとり、ふたり・・・。そう言うのはイマイチ。ダニエル・クレイグが、今回をもって007を辞めるという噂もありますが、辞めないで欲しいなぁ。もっと彼で行って欲しいです。

とは言え、一部に「これは、007シリーズなのか?あるいは、ボーン・シリーズなのか?」と言われるほど、激しいアクションシーンが満載です。007シリーズは、もちろんアクションはありますが、それは売りというと言うことでは(いままでは)無いので、そこは賛否有るのかもしれません。

今回は、007の永遠の敵スペクターが描かれています。そういう意味では、冷戦終結後、こう言うエスピオナージ作品は敵を誰にするのかが難しくなり、どの作品も苦労していますね。でも、テロ集団とか色々あるんじゃないですかね?スペクターもテロ集団ですが、もっとねぇ、『あれ』なテロ集団がね。ところで今回、スペクターを描くに際して、スペクターに関する著作権を購入して映画化したそうです。007シリーズは、残念ですが権利が複雑に絡み合っていますからねぇ、致し方無いところでしょうか。

今回のボンドガールは、モニカ・ベルッチ(ボンド“レディ”と本人は言っています)とレア・セドゥ。でもモニカ・ベルッチの方は、そんなにたくさん出てきません。もっぱら、レア・セドゥですね。今回のレア・セドゥのキャスティングに際しては、監督のサム・メンデスは「ただ若いということではなく人の悲哀を出せる女優(意訳)」を求めていたらしく、そういう意味ではレア・セドゥはピッタリ。劇中の切ない表情、007を睨む表情、何れもなんとも素晴らしいです。でもねぇ、007が愛する女性は不幸なことになることが多いので・・・。ダニエル・クレイグでの続編があるのかはわかりませんが・・・。

直接ボンドガールの話とは関係しませんが、モニカ・ベルッチもレア・セドゥも、英語を母語とする人達ではありませんが、立派に英語での演技をこなしています。やっぱり、大女優というのは、英語での演技をこなさないと、ダメなんですね。

いやぁ、良かったです。って言うか、ダニエル・クレイグの007は繋がっているので、以前の作品から見直したくなりました。

タイトル 007 スペクター / 原題 Spectre

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/イギリス・アメリカ
監督 サム・メンデス
出演 ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)、クリストフ・ヴァルツ(フランツ・オーベルハウザー)、レア・セドゥー(マドレーヌ・スワン)、モニカ・ベルッチ(ルチア・スキアラ)、レイフ・ファインズ(M)、ベン・ウィショー(Q)、ナオミ・ハリス(イヴ・マネーペニー)、アンドリュー・スコット(C(マックス・デンビー))、デビッド・バウティスタ(ヒンクス)、ロリー・キニア(ビル・タナー)、イェスパー・クリステンセン(ミスター・ホワイト)、ステファニー・シグマン(エストレラ)

キングスマン / Kingsman: The Secret Service

2015年09月13日 | 洋画(イギリス系)
どこの国にも属さない独立した秘密情報機関『キングスマン』の活躍を描く映画。マーク・ミラーとデイヴ・ギボンズによる『キングスマン:ザ・シークレット・サービス』と言う漫画が原作。

独立情報機関という発想がいいですね。その発想が、この作品の後の設定に活きてきます。「そうか、そう来るんだ」と言う事で、この組織が独立組織であることが活きるんですねぇ。

劇中に「映画ならあり得ない設定で助かるが、現実にはそうではない」と言う趣旨のセリフが出てきますが、正にそう。「えっ!マヂで?」と言う設定が途中にあります。いやぁ、だってねぇ。あんまり書くとネタバレになってしまいますが、ちょっとビックリな設定です。

ビックリするのは他にもあります。今回は、人類抹殺をイカれたIT長者が相手なんですが、これも「えっ!マヂで?」と言う程、めっちゃ人が死んでいきますって言うか、人が殺されます。そこのところは、マンガ的です。あんまり簡単に人が死ぬし、その死に方も茶化したようなところもあるので、批判も有るようです。

マンガ的なのは、キングスマンの戦い方も。いやぁー、全盛期のジャッキー・チェンも真っ青のアクションの連続。どうやってあそこまで鍛えるのかと(笑)。でも、あそこまで戦えるんだとすると無敵だよな。

今回の悪役は、サミュエル・L・ジャクソン。ワルです。イカれたワルを上手く演じています。って言うか、サミュエル・L・ジャクソン演じるヴァレンタインの部下のガゼルが怖い。殆ど斬鉄剣だし。あんなん居たら、勝てないよ。

これまでにない、最強のスパイアクション映画です。でも上記の通り、人の死に方に異論があるんで、+R15指定。うーん、そうか。仕方ないかな。

タイトル キングスマン / 原題 Kingsman: The Secret Service
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/イギリス
監督 マシュー・ボーン
出演 コリン・ファース(ハリー・ハート/ガラハッド)、タロン・エガートン(ゲイリー・“エグジー”・アンウィン)、マイケル・ケイン(アーサー)、マーク・ストロング(マーリン)、ソフィー・クックソン(ロキシー)、サミュエル・L・ジャクソン(リッチモンド・ヴァレンタイン)、ソフィア・ブテラ(ガゼル)、マーク・ハミル(アーノルド教授)、エドワード・ホルクロフト(チャーリー)、サマンサ・ウォーマック(ミシェル)、ジェフ・ベル(ディーン)、ビョルン・フローバルグ(スウェーデン首相)、ハンナ・アルストロム(スウェーデン王女)、ジャック・ダベンポート(ランスロット)

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 / The Imitation Game

2015年03月14日 | 洋画(イギリス系)
実話を下にした作品。

第二次世界大戦当時、解読不能と言われたドイツの暗号“エニグマ”。その解読に挑んだ、悲運の天才数学者アラン・チューリングを描いた作品。

アラン・チューリングがエニグマを解読したのは知っていたんですが、コンピューターの原型を作ったと言うことは知りませんでした。そりゃそうだよね。あんな強固な暗号は、機械の力を使わないと解けないですよね。ドラム式で、非常にプリミティブですが。

アラン・チューリングが、エニグマの解読のみならず、その保秘に付いても関与していたことは知りませんでした。劇中では、解読して早速、自国の民間船団に危機が迫っていることが判るのですが、エニグマ解読の秘密を保持するために、船団保護を諦めています。暗号の保秘のために黙殺されたドイツ軍の暗号解読いつくもあったとも言われていますが、現実を見ると、厳しい判断の結果と言うことですね。

不思議に思ったのは、チューリングは、エニグマ解読を果たした英雄であるにもかかわらず、後に同性愛行為で告発された時、MI6が全く介入する気配を見せなかったこと。イギリスは階級社会ですから、如何に戦争の英雄であろうとも、異端の同性愛行為に及んだチューリングは、全く保護するに値しなかったということなんですね。

かの有名なスチュワート・ミンギスも関係者。彼の苗字は“メンジース”との記載もありますが、劇中のセリフを聞いていると“ミンギス”に聞こえます。よって、この項では、その音に従いました。

タイトル イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 / 原題 The Imitation Game
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/イギリス・アメリカ
監督 モルテン・ティルドゥム
出演  ベネディクト・カンバーバッチ(アラン・チューリング)、 キーラ・ナイトレイ(ジョーン・クラーク)、 マシュー・グード(ヒュー・アレグザンダー)、 マーク・ストロング(スチュワート・ミンギス)、 チャールズ・ダンス(デニストン中佐)、 アレン・リーチ(ジョン・ケアンクロス)、 マシュー・ビアード(ピーター・ヒルトン)、 ロリー・キニア(ロバート・ノック刑事)

[2015/03/14]鑑賞・投稿

博士と彼女のセオリー / The Theory of Everything

2015年03月14日 | 洋画(イギリス系)
実話を下にした作品。

『車いすの天才物理学者』スティーブン・ホーキング博士の若かりし頃の姿と、ALSが侵攻していく最中、最愛の人を見つけ、立ち向かっていく姿を描きます。

この作品は、ラブストーリーですね。原題が『The Theory of Everything』と言うことで、ホーキング博士の学術理論を思いおこさせるようなタイトルになっていますが、実はそれは、スティーブンとジェーンの二人の事も示しているのだと思います。その意味では、邦題の『博士と彼女のセオリー』と言うのが、完全に外しているという事でも無いかな。

ホーキング博士が離婚しているのは、今回この映画を見るにあたり初めて知りました。子供が生まれ、進行が遅延したとはいえ、スティーブンの病状は徐々に進行し、ジェーンの心の負担が増しいくのを目の当たりにして、離婚も仕方ないのかなと思いました。

主演のエディ・レッドメインは、本作品で、第72回ゴールデングローブ賞で男優賞(ドラマ部門)、第87回アカデミー賞・主演男優賞を獲得していますが、納得ですね。だんだんと、エディがホーキング博士に見えてきました(笑)。ALSの患者という難しいことが容易に想像される役を非常によく演じていたと思います。

“余命二年”と言われたホーキング博士ですが、その後も長生きし現在もご存命。人類にとっては、よかったことだと思います。

タイトル 博士と彼女のセオリー / 原題 The Theory of Everything
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/イギリス
監督 ジェームズ・マーシュ
出演  エディ・レッドメイン(スティーブン・ホーキング)、フェリシティ・ジョーンズ(ジェーン・ホーキング)、チャーリー・コックス(ジョナサン・ヘリヤー・ジョーンズ)、 エミリー・ワトソン(ベリル・ワイルド)、 サイモン・マクバーニー(フランク・ホーキング)、 デビッド・シューリス(デニス・シアマ)

[2015/03/14]鑑賞・投稿

ウィークエンドはパリで / Le Week-End

2014年09月20日 | 洋画(イギリス系)
結婚30年目。記念日旅行で訪れたのは、かつての新婚旅行先であった隣国のパリ。しかし、夫の仕事が解雇されたと言う告白をきっかけに、旅行は思い掛けない方向に向かいだし、夫婦関係は風前の灯に・・。

って言うか、こう言うもんですか?正直、予想というか、想像とだいぶ違いました。もっとハートフルで、心あたたまる、ハッピーエンドの物語かとおもいきや、そうではありません。って言うか、ハッピーエンドは、作り話でしか無いですからね。現実世界では、こういう感じなのかもしれませんけどね。

それと不思議なのが、モーガンが、やたらとニックを持ち上げるところ。学生時代に、色々と世話になったと言うことなんですけどねぇ、ニックの方は、あまりその自覚は無い様で、ちょっと不思議でした。

って言うか、ニックとメグの夫婦そのものも、不思議なんですよねぇ。って言うか、日本でもよくある、濡れ落ち葉夫?ニックがやたらとメグに擦り寄るんですが、メグがツレナイ(苦笑)。いやぁ、それにしてもなぁ。旅の恥は掻き捨てとは言いますが、「ちょっとやり過ぎじゃね?」と思わないでもないですね。この夫婦、捕まるぞ(苦笑)。

何となく、釈然としない感覚を覚えながら鑑賞終了。『夫婦喧嘩は犬も食わない』と言いますが、本当にそうかもしれませんね。それと、夫婦の仲は、他人には判りません。

タイトル ウィークエンドはパリで / 原題 Le Week-End
日本公開年 2014年
製作年/製作国 2013年/イギリス
監督 ロジャー・ミッシェル
出演 ジム・ブロードベント(ニック・バロウズ)、リンゼイ・ダンカン(メグ・バロウズ)、ジェフ・ゴールドブラム(モーガン/ニックの友人)、オリー・アレクサンデル(マイケル/モーガンの息子)、ジュディス・デイビス(イブ)

[2014/09/20]鑑賞・投稿

ネイチャー (3D吹替) / Enchanted Kingdom 3D

2014年05月03日 | 洋画(イギリス系)
本当は、日本語版ではなく、オリジナル且つ3Dで見たかったんですが、知る範囲では、その条件で上映しているところはなかったので、仕方なしに(3Dではあるものの)吹き替え版にて鑑賞。

『ディープ・ブルー』、『アース』、『ライフ ―いのちをつなぐ物語―』などを制作した、イギリスBBCによる作品。今回は、4K3Dによる撮影が行われている。

さすがBBC。自然の営みが、非常に上手く撮影されています。それが今回は3D。見せます!普通の撮影ですら困難なことは容易に予想されるのに、今回はそれが3D。機材も大きいし、良く撮ったと思います。

比較的最初の方に出て来るゴリラがカワイイです。ゴリラは、警戒心が高い動物だと思うのですが、こんなのが撮れるんですね。

それと、ナミブ砂漠の映像は興味深いです。動物を仕込んだとしか思えないんですけど(苦笑)。

ボゴリア湖の色彩は神秘的。有毒ガスがあり、撮影スタッフはガスマスクをしながらの撮影だそうです。でも、入浴剤を入れたかのような色が自然に出て来るんですね。

冒頭、“仕方なしに吹き替え”と書きましたが、これは吹き替えのほうが良いかも。別に劇映画ではないので、普通に内容をナビゲーションしてくれる方が良いような気がしました。

タイトル ネイチャー / 原題 Enchanted Kingdom 3D
日本公開年 2014年
製作年/製作国 2013年/イギリス
監督 パトリック・モリス、ニール・ナイチンゲール
日本語版ナレーション 滝川クリステル

[2014/05/03]鑑賞・投稿

ワン チャンス / One Chance

2014年03月21日 | 洋画(イギリス系)
2007年のBritain's Got Talentの第1シーズンで優勝して、文字通りのシンデレラボーイとなったポール・ポッツの半生を描いた作品。

ポール・ポッツの半生を描いたと言っても、ポール・ポッツの半生を再現したと言う訳では無いので、恋人(後の奥さん)の名前が違ったり、ポールの仕事の経歴など、若干事実と異なる所があるようだが、それは演出の範疇。ドキュメンタリーじゃないもんね。物語が盛り上がれば、良いでしょう。

話も、Britain's Got Talentで勝ち上がる所は殆ど描かれず、Britain's Got Talentに出場するところまでの話が殆ど。負け犬になりそうな所を、タイトル通りの“ワン チャンス”を掴んで、這い上がったという話に仕上げたかった様です。

Britain's Got Talentのシーンですが、ポール・ポッツが出てきて歌い始めると、一気に会場が盛り上がり、サイモン・コーウェル/アマンダ・ホールデン/ピアーズ・モーガンの三人が驚きの表情を表す本物の映像を使っています。上手く、映画での撮影シーンとつないでいますね。

意外にジェームズ・コーデンがポール・ポッツと似ています。でも流石に劇中の歌までは無理だったようで(ジェームズ・コーデンは歌う気、満々だったようですが)、そこはポール・ポッツ本人の歌声になっているそうです。

あと、意外にこの作品が興味深かったのが、ジュルズを演じたアレクサンドラ・ローチが、絶世の美女と言う訳では無かった所(失礼!!!)。そこが、イギリスの片田舎の話というリアル感を増しています。そこが絶世の美女だったら、やっぱり白けますよね。

タイトル ワン チャンス / 原題 One Chance
日本公開年 2014年
製作年/製作国 2013年/イギリス・アメリカ
監督 デビッド・フランケル
出演 ジェームズ・コーデン(ポール・ポッツ)、アレクサンドラ・ローチ(ジュルズ)、ジュリー・ウォルターズ(イヴォンヌ・ポッツ/ポールの母)、コルム・ミーニー(ローランド・ポッツ/ポールの父)、ジェミマ・ルーパー(ハイドレインジャ/ブラドンの恋人)、マッケンジー・クルック(ブラドン/携帯販売店のポールの上司)、バレリア・ビレロ(アレッサンドラ/ヴェネティアの音楽学校でのポールの同級生)

[2014/03/21]鑑賞・投稿

ダイアナ / Diana

2013年10月19日 | 洋画(イギリス系)
1997年8月31日、パリでパパラッチに追い回された末の事故で亡くなった、元イギリス皇太子妃ダイアナの、離婚の少し前から亡くなるまでの約二年間のダイアナを描いた作品。

ダイアナを演じたのは、ナオミ・ワッツ。世界中に顔を知られた人物ですので、演じるのはかなりハードではなかったかと思いますが、中々上手く演じています。外見も、当時の写真などを入念にチェックした結果、髪型も服装もコピーしています。特に、チャールズ皇太子の不倫や自分の自傷行為に言及したBBCのインタビューや、地雷廃絶活動の映像などは、当時のニュースフィルムかと思うような出来栄えでした。それらのみならず、数々のシーンにおいて、当時の服装、履物をリサーチして再現しています。

この映画を見ると、一緒に亡くなったドディ・アルファイド氏が最後の恋人と言われていますが、心はアルファイド氏ではなく、ハスナット・カーン氏にまだまだあったみたいですね。なので、見ている最中は、ダイアナがわざわざ贔屓の記者に自分の事をリークしてアルファイド氏との写真を撮らせているのが理解できなかったんですが、後から考えてみると、あの行為は、注目を集めてしまったカーン氏から目を逸らさせるための陽動作戦だったのかな?と思います。

それにしても、英国王室は自由ですね。って言うか、ダイアナが自由なのかもしれませんが。奔放な恋と言うか、何というか。まぁ、それはそれとして、ダイアナが護衛も付けずに自由に出歩いているのには、驚きました。まだ離婚前の皇太子妃の頃であっても、護衛無し。ベルギーやオランダなども、王室ファミリーは、かなり自由に出歩いているみたいですから、欧州の王族はそういう物なんでしょうか?

物語の終盤、ニュース映像などで何度も見たパリのリッツのエレベーターのシーンが出て来るんですが、そこに至る前のダイアナが、何か物凄く苛立っていたように見えるのが印象的です。って言うか、実際に事故の時のダイアナは、苛立っていたように見えたと仄聞しますから、それを表現しただけなんですが。

ケンジントン宮殿の門での撮影が英国王室から許可されたそうです。印象的なラストシーンは、もちろん、そこでの撮影なんでしょうね。それにしても、門の外とはいえ、撮影を許可したなぁ、英国王室。まぁ、拒否したらしたで、叩かれるのは必定なので、許可したのかもしれませんが。

クィーン』は王室側からの視点だった訳ですが、この作品はまさにダイアナ側からの視点。これで、両面からの話が見えましたね。

タイトル ダイアナ / 原題 Diana
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/イギリス
監督 オリバー・ヒルシュビーゲル
出演 ナオミ・ワッツ(ダイアナ)、ナビーン・アンドリュース(ハスナット・カーン)、ダグラス・ホッジ(ポール・バレル/ダイアナの執事)、ジェラルディン・ジェームズ(ウーナ・トッフォロ/ダイアナの治療師)、チャールズ・エドワーズ(パトリック・ジェフソン/ダイアナの秘書)、キャス・アンバー(ドディ・アルファイド)、ジュリエット・スティーブンソン(ソニア)

[2013/10/19]鑑賞・投稿

私が愛した大統領 / Hyde Park on Hudson

2013年09月14日 | 洋画(イギリス系)
アメリカ政治史上、唯一大統領4選を果たしたフランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR)。彼=FDRが“強い”女性に囲まれていた事も有名な話ですが、その“強い”女性に囲まれたFDRが、数少ない心許せる相手だったのが、従兄弟でもあったマーガレット・サックリー。この作品は、そのマーガレット・サックリーの日記やメモ・手紙を下に、マーガレット・サックリーとFDRの関係を描いた作品。時期的には、1939年5月~6月の英国王ジョージ6世北米訪問を描いている。

う~ん。評価に困りますねぇ。駄作とまでは言いませんが、それ程、評価できるわけでもないです。ジョージ6世の北米訪問は、当時のアメリカの厭戦気分を和らげる必要があった非常に重要な訪問だったので、それだけでも、映画になりそうな内容なんですが、それを、デイジーと言う人物の目で描いているために、FDRとデイジー(及び、その他の女性)との不倫の話なのか、世界政治的に難しい駆け引きを描いた話なのか、焦点がボケてしまっています。FDRとデイジーの人目を憚る関係の話しなら、そこに集中すればいいのに。

FDRが、ポリオで下半身が麻痺していて歩くことが出来なかったというのも、今では非常に有名な話。この映画では、しっかりとその辺りの事も描かれています。マスコミは、FDRが準備できるまで写真を撮ったりすることがなく、殆どのアメリカ国民は、FDRが下半身麻痺だったということを知らなかったと言うのは、非常に驚きます。まだ皆が大人だった時代と言う事ですよねぇ。当時はテレビが無かったから、そういう事が可能だったとも言いますが、『人の口には戸は立てられぬ』と言う言葉もあるんですが、その時は、その事については、人の口に戸が立っていたんですね。

タイトル 私が愛した大統領 / 原題 Hyde Park on Hudson
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2012年/イギリス
監督 ロジャー・ミッシェル
出演 ビル・マーレイ(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)、ローラ・リニー(デイジー(マーガレット・サックリー))、サミュエル・ウェスト(ジョージ6世/英国王)、オリビア・コールマン(エリザベス/王妃)、エリザベス・マーベル(マルガリーテ・“ミッシー”・リーハンド)/FDRの秘書)、エリザベス・ウィルソン(サラ・ルーズベルト/FDRの母)、オリビア・ウィリアムズ(エレノア・ルーズベルト/FDRの妻)、エレノア・ブロン(デイジーの叔母)

[2013/09/14]鑑賞・投稿