勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

64 ロクヨン 前編

2016年05月08日 | 邦画
横山秀夫のベストセラー小説『64』の映画化。

原作を読んだことがあるはずなんですが、ほぼ内容を忘れているので、実質初見と同等です(笑)。

いやぁ、少なくとも前編を見た限りでは、今年の邦画一番じゃないですかね。非常に重厚な内容で、中々良く脚本が練られていると思います。

惜しむらくは、前編・後編の二本構成なので、前編を見た限りでは、過去の振り返りとこれからに対しての伏線だけで、あまり物語が進まない点。まぁ、商業的に考えて、後半へも客を動員しなければならないですから、そうなるの仕方ないかもしれませんが、ちょっともどかしいですね(苦笑)。

そうそう。今回、広報室の係員として榮倉奈々が出演しているのですが、『図書館戦争』シリーズに引き続き制服姿と言う事で、制服女優の名を確固たるものにしたようです(笑)。

個人的な“苦情”を言うと、冷静によく見ると判るのですが、一瞬パッと見た時、綾野剛と瑛太の髪型がちょっと似ていて、どっちがどっちだか判らなくなりかけました。相反する立場の人間の役なのにね。

後半も楽しみだ。

タイトル 64 ロクヨン 前編

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2016年/日本
監督 瀬々敬久
原作 横山秀夫『64』
出演 佐藤浩市(三上義信/警務部秘書課広報室広報官、元ロクヨン追尾班)、夏川結衣(三上美那子/義信の妻)、芳根京子(三上あゆみ/三上の娘・高校生)、綾野剛(諏訪/警務部秘書課広報室係長)、金井勇太(蔵前/警務部秘書課広報室主任)、榮倉奈々(美雲/警務部秘書課広報室)、三浦友和(松岡勝俊/刑事部捜査一課長、元ロクヨン追尾班長)、赤井英和(望月/農家、元ロクヨン追尾班)、菅田俊(漆原/高田署長、元ロクヨン自宅班長)、筒井道隆(柿沼/ロクヨン専従班捜査員、元ロクヨン自宅班)、吉岡秀隆(幸田一樹/警備員、元ロクヨン自宅班)、窪田正孝(日吉浩一郎/無職、元ロクヨン自宅班)、烏丸せつこ(日吉雅恵/浩一郎の母)、鶴田真由(村串みずき(旧姓:鈴本)/主婦、元ロクヨン自宅班)、椎名桔平(辻内欣司/県警本部長(キャリア))、滝藤賢一(赤間/警務部長(キャリア))、菅原大吉(石井/警務部秘書課長、三上の上司)、仲村トオル(二渡真治/警務部警務課調査官)、奥田瑛二(荒木田/刑事部長(ノンキャリ))、小澤征悦(御倉/刑事部捜査一課次席)、永瀬正敏(雨宮芳男/ロクヨン被害者の父)、小橋めぐみ(雨宮敏子/芳男の妻)、平田風果(雨宮翔子/芳男の娘、ロクヨン被害者)、瑛太(秋川/東洋新聞キャップ)、坂口健太郎(手嶋/東洋新聞サブキャップ)、嶋田久作(梓/東洋新聞支局上席デスク)

アイアムアヒーロー

2016年04月29日 | 邦画
謎のウイルスに感染してZQNと呼ばれるゾンビ化した人々に襲われ逃げ惑う様子を描いたパニックムービー。世界三大ファンタスティック映画祭の第48回シッチェス・カタロニア国際映画祭では観客賞及び最優秀特殊効果賞、第36回ポルト国際映画祭では観客賞及びオリエンタルエキスプレス特別賞、第34回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭では最高賞であるゴールデン・レイヴン賞を受賞した他、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW2016)でも観客賞を受賞しています。

いやぁ、日本映画もここまで来ましたか。R15指定なのもよくわかります。はっきり言って、グロい。って言うか、グロいのは前半に集中しているような気もするんですよね。後半でももちろんZQNとの闘いは描かれるのですが、前半でパンデミックになって行く件と比べて、後半の闘いはそうでも無いかなと。

この作品って、時期的には昨年話題になった『海街diary』よりも撮影が先立ったんですね。なので、長澤まさみは、この結構ハードな作品の後に、ああ言う家庭を描いた作品に出たと。いやぁ、女優って凄いですね。どのくらいのインターバルが有ったのか知りませんが、サバサバ系と言う共通点はあるものの、演じている人物像が全く異なるわけですから、その気持ちの切り替えは凄いですね。

それともう一人の女優、有村架純。彼女、あんまりセリフが無いですね・・・。可愛いんで良いんですけど(苦笑)。

あとは何と言っても主人公を演じた大泉洋。いやぁ、なんだかんだ言っても芸達者ですねぇ。これをもって今の大河ドラマ『真田丸』に繋がったとは言いませんが(笑)、懐の広さを感じさせられました。

ウイルスの潜伏期間が良くわからん(すぐZQNと化す人もいれば、時間を要している人もいるみたい)とか色々と突っ込みたくなる所はありますが、まぁ、そう言う所は目をつぶったとしてもなお、これは指摘せざるをえないです。まだ原作が終わっていないと言う理由はあるのかもしれませんが、あの危機を脱してもねぇ、外にはまだまだ危険が一杯なわけで・・・。色んな意見は有るかもしれませんが、原作は原作、映画は映画として、映画なりの結末を付けても良かったかもしれませんね。

まぁ、でもこの作品は勢いで見る作品かなぁ。あまり色んな余計なことは考えてはいけないかもしれません。

タイトル アイアムアヒーロー

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2016年/日本
監督 佐藤信介
原作 花沢健吾『アイアムアヒーロー』(漫画)
出演 大泉洋(鈴木英雄)、有村架純(早狩比呂美)、長澤まさみ(藪/小田つぐみ)、吉沢悠(伊浦)、岡田義徳(サンゴ)、片瀬那奈(黒川徹子)、片桐仁(中田コロリ)、マキタスポーツ(松尾)、塚地武雅(三谷)、徳井優(アベサン)、風間トオル(千倉)

エヴェレスト 神々の山嶺

2016年03月13日 | 邦画
エヴェレストを描いた映画としては、昨年『エベレスト 3D(Everest)』がありましたが、エベレストを映画で描くのって流行りなんですかね。『エベレスト 3D(Everest)』の時も思いましたが、(邦画だと結構ちゃちい画になりがちですが)5200mまで登って撮影しただけのことはあり、山岳シーンが意外にリアル。それでも、ブリザードとかは、CGでしょうけどね。それと、ネパールでのロケも中々良いですね。やっぱりセットと本物は違うと思います。

ちょっとビックリしたのが、物語の舞台が1993年と言うこと。現代に設定しなおしても良いのではないかと思いましたが、どうなんでしょうね?20年以上前の事なので、車であるとか、その他諸々の準備が大変だったのではないかと思います。って言うか、ちょっと覚えていないんですが、1993年頃の女性の髪型って、あんな尾野真千子の様なストレートだったっけ?まぁ、居ないことは無いかもしれませんが、時代考証(と言う程では無いけど)に疑問を感じました。それと、日本側は1993年の雰囲気を出すのに苦労していましたが、ネパール側はきっと今のままですよね。基本的には、誰にも判らないでしょうから。そう言う、物語の本筋とは違う所が気になりました。

岡田准一も良かったですが、やっぱり阿部寛かなぁ。彼は古代ローマ人でも有るわけですが(笑)、孤高の山男の雰囲気も非常に上手く醸し出しています。濃い顔が、彼の演じた羽生丈二の孤独さを強く映し出していました。

ところで、夢枕獏ってファンタジー小説だけじゃないんですね。こう言う骨太の山岳小説を書く人とは思いませんでした。失礼。

悪くなかったです。

タイトル エヴェレスト 神々の山嶺

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2016年/日本
監督 平山秀幸
原作 夢枕獏『神々の山嶺』
出演 岡田准一(深町誠)、阿部寛(羽生丈二)、尾野真千子(岸涼子)、ピエール瀧(宮川)、甲本雅裕(井上真紀夫)、風間俊介(岸文太郎/涼子の兄)、テインレイ・ロンドゥップ(アン・ツェリン)、佐々木蔵之介(長谷渉)、山中崇(斎藤/ネパールのツアー代理店員)

海難1890

2015年12月06日 | 邦画
1890年に起きたエルトゥールル遭難事故と、1985年のイラン・イラク戦争時のトルコによる邦人救援機派遣を描いた物語。

テヘラン邦人救援機に関しては、陸続きで脱出しようと思えば出来なくも無いという状況でありますが、戦地を通り抜けることになり容易ではありません。それでも、自国民を差し置いて、日本人を救出しようとしたトルコ共和国の温情には、言葉がありませんね。それに比べて、確かに戦争中ではありますが、同胞の救出を拒んだ当時の日本航空のヘタレぶりには怒りを覚えますね。今では政府専用機があるので、何とか出来るかもしれませんが・・・。

それにしても、事実をそのまま描いたというわけではないようですね。国際信号旗で国籍を確認したというのは、伝えられている事実ですが、エルトゥールル号当時の大島村の村長は、沖周(おき しゅう)と言う人物であり、“佐藤”などという極めて現代的な苗字を持つ人物ではありません。また、大島村に遊郭なんてあったのか?とか色々とツッコミたくなる所はたくさんあります。ちょっと劇映画風にしすぎた気がします。

それと、テヘラン救出編も同じ。上映時間は131分ですが、体感的にその7割はエルトゥールル号編に充てられ、テヘラン救出編は3割位の印象。そんな感じで時間が短いので、あまり物語は膨らみません。まぁ、もっとも実際に急を要する自体であって、それそのものが物語だったので、それ以外の物語なんて無いのかもしれませんが。逆に、実際の取組みが簡略化されすぎていたような気がします。テヘランでの活動のほか、

エンドロールの最後に、エルドアン大統領のメッセージが有りました。「なんか紋章みたいなものがスクリーンに出たな」と思ったら、大統領でした。あれは、トルコ共和国大統領の紋章なんですかね?

それにしても、テヘラン救出編は、物語は薄いんだけど、何故だか泣けてきました。トルコの様な親日国は大事にしないとダメだよね。

タイトル 海難1890

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本・トルコ
監督 中光敏
出演 《エルトゥールル号編》内野聖陽(田村元貞)、ケナン・エジェ(ムスタファ/エルトゥールル号機関大尉)、忽那汐里(ハル/田村の助手)、アリジャン・ユジェソイ(ベキール/エルトゥールル号操機長)、夏川結衣(お雪/遊女)、小澤征悦(藤本源太郎/田村の友人)、大東駿介(信太郎/漁師)、渡部豪太(直一/漁師)、徳井優(平次)、小林綾子(トメ/平次の妻)、かたせ梨乃(サト/遊郭の女将)、竹中直人(工藤/医師)、笹野高史(佐藤/大島村村長)、三輪ひとみ(カツ)、斉藤とも子(ノブ)、みのすけ(武夫)、池谷のぶえ(キヨ/武夫の妻)、上田耕一(福島/村の長老)、ウール・ポラット(オスマン・パシャ/エルトゥールル号司令官)、メフメット・オズギュル(アリ・ベイ/エルトゥールル号艦長)、タメル・レベント(スレイマン/ムスタファの父)、メリス・ババダー(ハティージェ/べキールの妻)、メルト・アユギュン(アリ・エフェンディ/エルトゥールル号儀典係)、ジェム・ジュジェンオール(ナージ/エルトゥールル号楽隊員)、エルカン・ペクバイ(サルキス/エルトゥールル号機関員)、ハリト・ムズラクル(セリム/エルトゥールル号水兵)
《テヘラン救出編》ケナン・エジェ(ムラト/在テヘラントルコ大使館員)、忽那汐里(春海/テヘラン日本人学校教師)、永島敏行(野村豊/駐テヘラン日本大使)、金子昇(山元/大使秘書)、宅間孝行(木本/技術者)、螢雪次朗(竹下/テヘラン日本人学校校長)、デニズ・オラル(トゥルグト・オザル/トルコ共和国首相)、辻本祐樹(矢野/脱出希望者)、高田敏江(宮本/脱出希望者)、ハック・ハルック・ジョメルト(マフムート/脱出希望者)、エライ・アヤズ(ジャン/脱出希望者、マフムートの息子)

杉原千畝 スギハラチウネ

2015年12月05日 | 邦画
事実に基づいた物語。

本省の訓令に反してビザを発給したため、長らく日本では不遇をかこった杉原千畝。その杉原千畝の生涯を描いた作品。

杉原が、「好ましからざる人物(Persona non grata)」として当時のソ連政府から忌避されて在モスクワ日本大使館に赴任できなかったのは有名な話ですが、それは杉原の能力をソ連政府が恐れたからだとも、反革命的な白系ロシア人との親交があったからだとも言われています。また、映画でも描かれているように、カウナスに赴任してからも各国の諜報員とも交わり情報工作を行っていて、情報官として非常に優秀な人物であったのは間違いないと思いますが、映画で描かれたようなカーチェイスとか、発砲とか有ったんですかね?杉原の場合、外交官の身分を持っているので、情報工作を行っていたとしても、NOC(Non Official Cover)の工作員とは違って、相手側の妨害は有っても、中々極端な行動までは出にくいのでは無いかと思うんですが・・・。

そう言う、ちょっと劇画っぽいところはイマイチに感じましたが、実際にあった出来事を描いたにしては、上記の通り優秀な情報官であったこともあり、中々ドキドキするシーンもあります。亡命ポーランド人と、友情とも、打算とも付かない付き合いもありましたしね。

在カウナスの日本領事館の建物ですが、エンドロールの写真の建物と似ていました。本物で撮ったんですかね?いまは、記念館のような建物になっているみたいですが、どうなんでしょうか?

それに対して、物語終盤のブカレストの捕虜収容所でのシーンですが、建物がちょっとねぇ。当時の捕虜収容所の雰囲気を出そうとしたんでしょうけど、使われていない建物であることがアリアリ。もう少し、なんとかして欲しかったですね。

杉原千畝の名が知られるようになったのも、平成になってからの頃からですからねぇ。なんともねぇ。確かに、官僚、組織人としては、やってはならない事をやったわけですが、その結果をみれば、その行為は賞賛に値するのは確か。もっと外交にも活かせるはずだったのに、活かしていないどころか、杉原の存在自体を無かった事としていた日本国外務省のバカさ加減には怒りに近い感情を覚えました。

若干微妙な所もありますが、全般としては、良かったと思います。

タイトル 杉原千畝 スギハラチウネ

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本
監督 チェリン・グラック
出演 唐沢寿明(杉原千畝)、小雪(杉原幸子/千畝の妻)、ボリス・スジック(ペシュ(ポーランド亡命政府諜報員レシェク・ダシュキェヴィチ少尉)/在カウナス日本領事館運転手)、ツェザリ・ウカシェビチ(ヴォルフガング・グッジェ/在カウナス日本領事館員、ドイツ系リトアニア人)、アグニェシュカ・グロホウスカ(イリーナ/千畝の協力者、白系ロシア人)、ミハウ・ジュラフスキ(ニシェリ/ユダヤ難民のリーダー)、小日向文世(大島浩/駐ドイツ日本大使)、塚本高史(南川欽吾/関東軍少尉)、滝藤賢一(関満一朗/日本国外務省の杉原の上司)、石橋凌(大橋忠一/満州国外交部次長、満洲国外交部時代の千畝の上司)、濱田岳(大迫辰雄/JTB社員・「天草丸」乗務員)、二階堂智(根井三郎/駐ウラジオストック総領事代理)、板尾創路(菊池静男/千畝の友人)、アンジェイ・ブルメンフェルド(ローゼンタール)、ズビグニェフ・ザマホフスキ(ガノール社長)、アンナ・グリチェビチ(ユダヤ人母)、ベナンティ・ノスル(ヤン・ズバルテンディク/在カウナスオランダ領事)、マチェイ・ザコシチェルニ(マラット/満洲での千畝の諜報活動の相棒)

FOUJITA

2015年11月22日 | 邦画
日本生まれの画家・彫刻家、藤田嗣治(フランス名:レオナール・フジタ)の生涯を描いた作品。

正直・・・、微妙?明示的にはなっていませんが、暗示的には藤田嗣治のパリでの生活編と、日本での生活編と言う構成です。でもねぇ、いきなり何の前触れもなく、パリから日本に来ていたし、そもそも、パリでの生活においても、前後のシーンの関係性や、登場人物への関係性が全く語られていません。日本編で、その一部は明らかにされますが・・・。私はたまたま、見に行く前に藤田嗣治の事をWikipediaで検索して勉強していたので、何となくは、登場人物がわかりましたが、事前の知識がなければ、チンプンカンプンでは無いかと思います。

もっと脚本を練ってくれていて、もっと前後関係がきちんと描かれていれば、もっと内容が分かりやすかったと思うんですが、シーン・シーンの断片が、羅列的に出てきてはなんとも・・・。「いま何をやっているの?」とかが全くわかりません。シーン自体は、けっこう良い画が取れていると思うんですが、そのシーンの意味がわからない。それと、その後の話とは無関係な画とかでてきてもねぇ。「その後の伏線?」と思っても違うみたいだし。

そういう意味では、日本編になって、中谷美紀が出てきて、やっとシーンの前後関係が判るようになって、少しは物語らしくなったと思ったら、最後は何???イキナリのファンタジー???

う~ん、なんと言うか、評価に困る作品です。一つ言えることは、脚本をもっと作りこんだほうが良かったんじゃないかな。

タイトル FOUJITA

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本・フランス
監督 小栗康平
出演 オダギリジョー(藤田嗣治)、中谷美紀(君代/嗣治五番目の妻)、アナ・ジラルド(ユキ・デスノス=フジタ、本名:リュシー・バドゥ/嗣治三番目の妻)、アンジェル・ユモー(キキ(モンパルナスのキキ)、本名:アリス・プラン)、マリー・クレメール(フェルナンド・バレエ/嗣治二番目の妻)、加瀬亮(寛治郎)、りりィ(おばあ)、岸部一徳(清六)

図書館戦争 THE LAST MISSION

2015年10月11日 | 邦画
2013年の『図書館戦争』の続編。

この作品は、岡田くん無くして成立しないですね。そのくらい岡田くんの堂上は良いです。それとやっぱり、榮倉奈々の熱血バカの笠原も良いです。原作のイメージを壊さないこの二人が居たからこそ、この作品は成立しています。

前作と一番変わったと思ったのは、福士蒼汰。これは、インタビューとかでも指摘されていますが、前作は初々しい新人ということもあり、ガチガチの演技だったんですが、それから二年を経過して、福士蒼汰本人も経験を積んで、前回の様な緊張しきりのガチガチの表情だけではなく、自然な表情も出ていました。

今回も、防衛省自衛隊が大協力。そりゃ『専守防衛』の言葉が出れば、協力せずに入られませんよね。図書隊の車両は自衛隊車両なのに対し、メディア良化委員会の車両はそうじゃ無いんですよね。やっぱり、自由を抑圧する側に自衛隊を用いることは出来なかったということですね。まぁ、そっちに自衛隊を使うつもりなんだったら、自衛隊も協力しなかったと思いますけどね。

今回は、銃撃戦シーンが多いですっ!って言うか、かなりの部分が、銃撃戦・戦闘シーンになっています。それがまた、なんとも良いですね。そんな戦闘シーンでも、岡田くんの動きは様になっていますね。ジークンドー師範の彼は、やっぱり体幹がきっちりと出来上がっているんでしょうね。動きに無駄がないし、銃器を構えた時にブレもないです。

舞台が茨城で、図書隊の茨城県隊がヘボかったりするんですが、茨城県的には大丈夫か?とちょっと心配になってしまったりもします(笑)。

今回も、児玉清さんが出ていらっしゃいます。やっぱりこの作品で児玉清さんは必須の方なんですね。

いやぁ、良かったです。終わっちゃいないんで、タイトルはアレなんですが、続こうと思えば続けられるんですよねぇ。

タイトル 図書館戦争 THE LAST MISSION
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本
監督 佐藤信介
原作 有川浩『図書館戦争』シリーズ
出演 岡田准一(堂上篤)、榮倉奈々(笠原郁)、田中圭(小牧幹久)、福士蒼汰(手塚光)、西田尚美(折口マキ)、橋本じゅん(玄田竜助)、土屋太鳳(中澤毬江)、栗山千明(柴崎麻子)、中村蒼(朝比奈修二)、石坂浩二(仁科巌)、松坂桃李(手塚慧)、相島一之(尾井谷元)、児玉清(稲嶺和市)

天空の蜂

2015年09月14日 | 邦画
元々は、20年前の1995年に東野圭吾が発表した同名の小説『天空の蜂』。その時でも、中々衝撃的内容ではありましたが、2011.3.11の東日本大震災を経て、原発事故のリアルさがより増した今、待望の映画化です。

原作を読んだ時も「これは凄い作品だな」と思いましが、東日本大震災での福島第一原発事故を経験した今、この映像化されたこの作品、狙ったところもあるのかもしれませんが、セリフの一つ一つがより強く突き刺さります。厳密の作品上のセリフではありませんが、「原発が一つも動いていないとなったら日本の原子炉政策は破綻する」とか、「必要だと思っているくせに、存在することを拒否している」とかね。これは、どう考えても、これまでの、そして今の日本の状況に当ててきているとしか思えませんでした。

原作を読んだ時も思ったんですが、今回映像を見て改めて思ったのが、高彦少年を救出した後、なんでビッグBの撃墜を検討しなかったんですかね?搭乗者がいなければ、撃墜を検討してもよいと思うのですが?破片が落ちてくる程度であれば、原子炉建屋は耐えうる設計ではないかと思うんですけどねぇ。

今回の撮影に、旧動燃(現原子力機構)はもちろん、自衛隊の協力もない模様。旧動燃は仕方ないにしても、自衛隊も協力なしとはね。犯人が元自衛官という設定だし、盗まれたビッグBが自衛隊の物という設定だから?でも、救ったのも自衛隊ですからねぇ。ちょっと微妙な感じでした。

佐藤二朗が福井県警警備部長の役なんですが、あんな軽い警備部長嫌だぁ。警察の警備って、機動隊も管掌しているし、外事も担当しているんですけどねぇ。あんな軽かったら、県警でも部長にはなれないと思うんだけど・・・。

脇役も脇役といっては失礼かもしれませんが、落合モトキさんが演じる福井県警の若手刑事関根が良いです。“最後に”根性を見せていました。

タイトル 天空の蜂
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本
監督 堤幸彦
原作 東野圭吾『天空の蜂』
出演 江口洋介(湯原一彰/ビッグB設計士)、本木雅弘(三島幸一/原発設計士)、仲間由紀恵(赤嶺淳子/三島の恋人)、綾野剛(雑賀勲/ビッグBを奪った男)、柄本明(室伏周吉/福井県警刑事)、國村隼(中塚一実/「新陽」所長)、石橋蓮司(筒井/「炉燃」理事長)、竹中直人(芦田/警察庁長官)、向井理(成人した湯原高彦)、佐藤二朗(今枝/福井県警警備部長)、光石研(佐久間/敦賀市消防本部特殊災害課長)、落合モトキ(関根/福井県警刑事)、やべきょうすけ(根上/救助ヘリ操縦士)、永瀬匡(上条孝正/子供の救出に向かう自衛隊員)、石橋けい(湯原篤子/湯原の妻)、手塚とおる(高坂/愛知県警刑事)、松島花(野村/愛知県警刑事)

ロマンス

2015年09月04日 | 邦画
AKB48の元エース、大島優子のAKB卒業後初の主演映画。小田急ロマンスカーのアテンダントを描いているので、撮影に際しては小田急が全面的に協力。60000系MSEが撮影に使われています。って言うか、ロマンスカーって乗ったこと無いんだよなぁ。乗ってみたいなぁ。

なるほど。いや、元アイドルが主演の映画なので「どんな感じの演技になるんだ?」と正直冷やかし半分でしたが、きちんとした作品に仕上がっています。そういえば、大島優子って、そもそも子役出身でしたね。

内容的にも、中々深い。鉢子と桜庭が一緒に鉢子の母探しに出かける所までを、(なるべく)不自然さ無く描くのが結構難しい話になるんだと思いますが、その難しいところも、何とか物語の破綻なく描かれていました。

これって一応、鉢子の母探しと言う事になっていますが、その実、桜庭の自分探しの旅的要素もありますよね。なんだかんだと言って、桜庭が行きたかった旅ですし。

普通のOLで、あのニット帽をかぶる人は中々居ないと思います。そこは突っ込まざるをえないかな。

意外に良かったです。

写真は、大島優子、大倉孝二、タナダユキ監督のサイン入りのポスター。

タイトル ロマンス
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本
脚本・監督 タナダユキ
出演 大島優子(北條鉢子)、大倉孝二(桜庭洋一)、野嵜好美(久保美千代/鉢子の同僚)、窪田正孝(直樹)、西牟田恵(北條頼子/鉢子の母)

日本のいちばん長い日

2015年08月09日 | 邦画
第二次大戦の終結に至るまでの、鈴木貫太郎内閣発足から、ポツダム宣言受諾決定の昭和天皇のご聖断、宮城事件までを描いた作品。

思ったよりも、上手く出来ています。

個人的に懸念していた本木雅弘の昭和天皇ですが、意外に良かったです。TV映像などで耳にする、独特のイントネーションも意識して取り組んだようですしね。本木本人の上品な感じが上手くマッチしたことと、昭和天皇が当時44歳、今の本木雅弘が49歳とほぼ同年代と言う事も、良かった要因ではないかと思います。

役所広司や山崎努などの実力派俳優も、その実力を十分に発揮しています。って言うか、年齢のことを言えば、鈴木貫太郎が77歳で山崎努が78歳、阿南惟幾が58歳で役所広司が59歳と、ほぼ同年代の俳優を配置したのが良かったんですかね。

それで気になったのが、阿南惟幾・鈴木貫太郎・昭和天皇と並ぶ重要人物・畑中健二を演じた松坂桃李。松坂桃李が演じた畑中健二は、陸軍少佐で軍事課員だったわけですが、当時33歳なんですよね。それを26歳の松坂桃李が演じるのは、ちょっと・・・。若すぎる。30歳くらいでいい俳優居なかったのかな。そこがちょっと残念なポイント。

その代わりと言ってはなんですが、同じ軍事課員の井田中佐が印象に残ったかな。陸軍省の玄関ホールで、阿南に決起を迫る鬼気迫った表情が物凄く印象的でした。狂気とは違うんですよね。決意というか、信念というか、純粋さと言うか、そう言う感じだなと思いました。

この作品での登場人物の描かれ方には、原作者の思いも入っているのではないかという気がしました。阿南はかなり好意的に描かれていると思いますが、神風特別攻撃隊の創始者として知られている軍令部次長の大西瀧治郎は全く逆。彼と遭遇した阿南が発する言葉に、原作者の半藤一利が大西瀧治郎をどう思っているのかが現れていたような気がしました。

それとこの作品を見て判ったのが、戦争は始めるよりも終わらすほうが遥かに難しいということ。近年も、アメリカがイラクで苦労していますしね。

英語のタイトルは『The Emperor in August』。なるほど。

タイトル 日本のいちばん長い日
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本
監督 原田眞人
原作 半藤一利
出演 役所広司(阿南惟幾/陸軍大臣)、本木雅弘(昭和天皇)、松坂桃李(畑中健二/陸軍少佐・陸軍省軍事課員)、堤真一(迫水久常/内閣書記官長)、山崎努(鈴木貫太郎/内閣総理大臣)、近童弐吉(東郷茂徳/外務大臣)、山路和弘(安井藤治/国務大臣、予備役陸軍中将)、鴨川てんし(左近司政三/国務大臣、予備役海軍中将)、久保酎吉(下村宏/情報局総裁)、矢島健一(木戸幸一/内大臣)、金内喜久夫(平沼騏一郎/枢密院議長)、池坊由紀(香淳皇后)、麿赤兒(藤田尚徳/侍従長)、茂山茂(入江相政/侍従)、大藏基誠(徳川義寛/侍従)、植本潤(三井安彌/侍従)、井之上隆志(梅津美治郎/参謀総長)、木場勝己(田中静壹/東部軍管区司令官)、奥田達士(高島辰彦/東部軍管区参謀長)、高橋耕次郎(森赳/近衛第一師団長)、中嶋しゅう(東條英機/陸軍大将・元内閣総理大臣)、吉澤健(岡田啓介/海軍大将・元内閣総理大臣)、山口幸晴(芳賀豊次郎/近衛歩兵第二連隊長)、田中美央(荒尾興功/陸軍大佐・陸軍省軍事課長)、大場泰正(井田正孝/陸軍中佐・陸軍省軍事課員)、関口晴雄(竹下正彦/陸軍中佐・陸軍省軍事課員、阿南惟幾の義弟)、田島俊弥(椎崎二郎/陸軍中佐・陸軍省軍事課員)、松山ケンイチ(佐々木武雄/横浜警備隊長)、中村育二(米内光政/海軍大臣)、井上肇(豊田副武/軍令部総長)、嵐芳三郎(大西瀧治郎/軍令部次長)、神野三鈴(阿南綾子/阿南惟幾の妻)、蓮佛美沙子(阿南喜美子/阿南惟幾の長女)、キムラ緑子(絹子/陸相官邸の女中)、西山知佐(鈴木たか/鈴木貫太郎の妻)、小松和重(鈴木一/首相秘書官、鈴木貫太郎の長男)、野間口徹(館野守男/NHK職員)、戸田恵梨香(保木令子/NHK職員)

出演者覧作成参考:Wikipedia