勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

2013年05月12日 | 邦画
2011年に公開の映画『探偵はBARにいる』の第二弾。

前作では原作の「ススキノ探偵シリーズ」の2作目「バーにかかってきた電話」がベースになっていたが、今回は同じシリーズの5作目「探偵はひとりぼっち」がベースになっている。とは言っても、小説に対して、だいぶ内容を修正している。マサコの死に橡脇孝一郎が絡んでいる所、あと、結末もだいたい原作を活かしているが、それ以外の所は映画オリジナル。それはそれで、映画としては成立しているけどね。

原作者の東直己がカメオ出演。少なくとも、2つのシーンで発見しました。最初のTOM BOYS PARTYのシーンと、最後の方で“俺“が入院しているシーン。特に、後半のシーンでは、東直己も入院している設定のようですが、フラスコに入ったお酒を飲んでいるように見えました。原作者がカメオ出演しているくらいなので、原作小説と映画の違いは、問題ないということなんでしょう。

ところで、佐藤かよ、こう言うの良いんだ。本人がカミングアウトしているから問題はないんだろうけど、モデルとしてのイメージに影響はないのかな?って言うか、佐藤かよの場合は、ニューハーフとかではなくて、性同一性障害みたいなんだけどね。彼女(彼?)の場合、普通のニューハーフ役よりも、元自衛隊員で武道の達人のアンジェラ役だったら面白かったのに。

尾野真千子は、今回、バイオリニストの役と言う事で、指使いが嘘だとバレるのが嫌でバイオリンを練習したらしいんですが、時間に限りがある(あまり練習できなかった=指使いがバレる)ということなんでしょうね。演奏シーンは殆ど無かったですね。でも彼女、その美貌と関西弁の喋りのギャップが何とも・・・。それが良いのかもしれませんね。

ところで、小説で読む「ススキノ探偵シリーズ」は、文字通りハードボイルド小説なんですが、映画になると、どうもコミカル。ハードボイルドの欠片・・・くらいは有るかもしれませんが、基本的にはコミカルな調子です。この落差は何処からくるものなのか。あんまりハードボイルド過ぎると、硬くなるからと言うことなんですかね。ちょっとその辺りが釈然とはしません。

タイトル 探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 東直己
監督 橋本一
出演 大泉洋(俺=探偵)、松田龍平(高田)、尾野真千子(河島弓子)、渡部篤郎(橡脇孝一郎)、ゴリ(マサコちゃん)、田口トモロヲ(松尾)、篠井英介(フローラ)、波岡一喜(佐山)、近藤公園(学生)、筒井真理子(新堂艶子)、矢島健一(野球男)、松重豊(相田)、マギー(源ちゃん)、佐藤かよ(ヒロミ)、冨田佳輔(トオル)、片桐竜次(桐原)

[2013/05/12]鑑賞・投稿

県庁おもてなし課

2013年05月11日 | 邦画
有川浩の同名小説の映画化。

有川作品って、映画化されるときには、現在公開中の『図書館戦争』しかり、『阪急電車』しかり、結構原作に忠実に描かれるんですが、この作品は若干それらとは一線を画している気がします。何と言っても、途中のアニメ。あれって、どう?私的には、NGでした。パラグライダーのシーン自体は良いんですけどねぇ。

あと結末ですかね。まぁ、これは原作でも、まだ進行中的な事もあるので、ハッキリとした結末にはなってなかったとおもいますが、だからと言ってアレですか。折角知事が見ていたという設定なんだからさぁ。まぁ、それだと普通すぎるかもしれないけど、あれじゃぁ、知事も見ていたという設定が無意味じゃない?有川作品の映画化なので、結構期待していたんですが、ちょっと外されてしまいました・・・orz。

あと、確かにこの作品は、掛水と明神、佐和と吉門の二つの恋が同時進行するんですが、それにしても、ちょっと、恋バナに寄り過ぎでは?特に、掛水と明神の方。確かにそう言う雰囲気はあったと思いますが、あれほど露骨だっけ?もう少し、軽めに描いたほうが良かったと思います。

などと、苦言を呈してしまいましたが、錦戸亮が演じた掛水って、錦戸そのもの?と言うのも、撮影の間、共演の堀北真希の事をず~~~っと、「堀北さん」と呼んでいたということがプロモーションの時に明らかになっていますが、それって、掛水の明神に対する態度と同じ(笑)。どちらもシャイなんですね。

有川作品って、どれも良いんですが、これは好き嫌いが結構あるかもしれません。悪い作品じゃないですが、残念ですが、絶賛でもないです。

タイトル 県庁おもてなし課
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 有川浩
監督 三宅喜重
出演 錦戸亮(掛水史貴)、堀北真希(明神多紀)、関めぐみ(清遠佐和)、甲本雅裕(下元邦宏/おもてなし課課長)、松尾諭(近森圭介)、高良健吾(吉門喬介)、船越英一郎(清遠和政)

[2013/05/11]鑑賞・投稿

藁の楯 わらのたて

2013年05月02日 | 邦画
「この男を殺してください、御礼として10億円お支払いします。」

何とも、すごい話です。犯罪者を護送すると言うシチュエーションを描いた映画といえば、『S.W.A.T.』や『16ブロック』などが思い付きます。その中でも特に『S.W.A.T.』に類似している印象です。『S.W.A.T.』の場合は、護送される犯人が「自分を逃してくれたら賞金をやる」と宣言したため、それを聞いた全市民が護送チームの敵になり、加えて、護送チームの中からも裏切り者が出てくるという設定になっています。今回の『藁の楯 わらのたて』は、護送対象の犯人を殺す依頼であり、逃すと殺すで違いはしますが、全国民が敵になったり、味方の中にも裏切り者が居るというところなどは、だいぶ似ているなぁと思いました。

映像のスケールが凄いですね。日本映画もここまで来たかと言う感じです。冒頭の護送車列は完成直後の実際の高速道路を使用して撮影。いやぁ、アレだけのパトカーなどの緊急車両の車列はこれまで見たことがありません。それと何と言っても、新幹線シーンですね。これは日本の新幹線では撮影できなかったので、台湾新幹線の実車や実際の駅での撮影です。外装が日本の新幹線とは異なるので、外を映すと台湾新幹線であることを否定しきれませんが、内装は日本の新幹線と同じ。そこだけ見るとビックリです。(まぁ、中だけだったら、セットで撮影するという手法もありますけどね)

出演陣も豪華。大沢たかお良いよ。特にクライマックスの銘苅が清丸に銃を向けるシーンは、鬼気迫った演技で凄みを感じます。理性と衝動の葛藤を物凄く感じました。

ただちょっと、白岩を演じた松嶋菜々子が、ね。スレンダーなスタイルは、女性SPそのものの感じですが、彼女のアクションは若干微妙。冒頭の射撃訓練のシーンとかね、あれじゃぁ手首を痛めそうな気がします。アクション女優といえば、水野裕子じゃ無いんですかねぇ~。ただ、水野裕子だとシングルマザーという設定が少し苦しくなるか?小さい子供ならアリだと思うんだが・・・。ただそうすると、「おばさん」と言う設定が出来ないか。

それはそうと、清丸のクズぶりは凄い。凄すぎる。本当にあんな犯罪者がいたら、精神鑑定必至。下手したら、責任能力が否定されるかも。

所々、突っ込みたくなる所はありますが、それを超えて満足です。第66回カンヌ国際映画祭のコンペティション公式選出も納得ですね。

タイトル 藁の楯 わらのたて
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 木内一裕
監督 三池崇史
出演 大沢たかお(銘苅一基/警視庁警備部警護課SP)、松嶋菜々子(白岩篤子/警視庁警備部警護課SP)、藤原竜也(清丸国秀/連続殺人犯)、山崎努(蜷川隆興/清丸の殺害を依頼・経団連元会長)、岸谷五朗(奥村武/警視庁捜査一課)、伊武雅刀(関谷賢示/福岡県警捜査一課)、永山絢斗(神箸正貴/警視庁捜査一課)、本田博太郎(大木係長/警視庁警備部警護課)、余貴美子(由里千賀子/タクシー運転手)

[2013/05/02]鑑賞・投稿

図書館戦争

2013年04月27日 | 邦画
シリーズ発行部数400万部を超える大人気小説の映画化。いきなり言ってしまいます。イイです!結構良いです!

主演は、雑誌『ダ・ヴィンチ』の読者投票で、それぞれ1位を取った岡田准一と榮倉奈々。いやぁ、投票一位だけあって、確かにイメージにピッタリの配役ですね。岡田君は、格闘技の素養があるんで結構見せています。検閲に対向する戦闘は、基本的に火器を使った戦闘なんですが、接近した格闘戦もあって、随所でその妙技を見せています。他方、榮倉奈々も健康的で元気な笠原を上手く演じています。ただやっぱり、火器の構えはちょっと苦手かもしれませんね。ちょっと構えが緩かった。

驚いたのが、児玉清さんが“出ている”事。もっとも、日野の悪夢で児玉さん演じる稲嶺は犠牲になったことになっているので、“出演”は写真での出演にとどまりますが。でも、稲嶺は児玉さんのイメージとも言われていますので、そのイメージを壊さないようにと言う事なんでしょうね。そのため、映画版オリジナルの登場人物として関東図書基地司令仁科巌が生み出された事になるんだと思います。

堂上の相棒(?)の小牧が、田中圭ですか。堂上と違い、優しく諭すような小牧のイメージに合っていました。それと、原作でも時折描かれている、体を折るようにして笑う仕草は、映画でも再現。なるほど、ああ言う風に笑うんだな。想像通りだけど。

柴崎麻子を演じたのは栗山千明。原作でも柴咲と笠原の寮での生活シーン(入浴含む)がしばしば描かれていますが、映画でも当然のごとく、そのシーンはありました。入浴シーンもね。まぁ、どちらも人気女優なので、流石にサービスカットにはなっていませんでしたが。ところで、栗山千明が「特別出演」で、明らかに格上の石坂浩二や、リアルに特別出演であると思う児玉清が、特にそういうクレジットが無いのは何故なんでしょうね? 

いやぁ、それにしても、この映画。防衛省・自衛隊が大・大・大協力ですね。だって、基地のシーンなんて、明らかに本当の自衛隊の基地だし、ヘリには「関東図書隊」とか書かせているし、凄い。「専守防衛」「守るために戦う」と言う事が、まさに自衛隊の存在意義にも合うということなんでしょう。最後のクレジットで、“航空自衛隊航空幕僚監部広報部「空飛ぶ広報室」”とあったのは、原作者がどちらも有川浩だし、制作しているのはどちらもTBSと言う事情が作用したものと思われます。

仁科という、映画オリジナルの登場人物はありましたが、概ね原作にそって映画化されています。堂上と笠原の実写の掛け合いが好印象。また、戦闘シーンも、結構圧巻。自衛隊の協力の賜物ですね。

それにしても、今年は有川浩作品の映像化が多いですね。この作品のほか、『県庁おもてなし課』も映画化(しかも、こちらも主演はジャニーズの錦戸亮)、『空飛ぶ広報室』は、この作品と同じTBSでドラマ化。それ故に、上記に記すようなことがあったのかも(笑)。

タイトル 図書館戦争
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 有川浩
監督 佐藤信介
出演 岡田准一(堂上篤)、榮倉奈々(笠原郁)、栗山千明(柴崎麻子)、田中圭(小牧幹久)、福士蒼汰(手塚光)、西田尚美(折口マキ)、橋本じゅん(玄田竜助)、石坂浩二(仁科巌/関東図書基地司令)、児玉清(稲嶺和市)、相島一之(良化特務機関指揮官)、鈴木一真(武山健次/メディア良化法賛同団体リーダー)、嶋田久作(警視庁刑事)

[2013/04/27]鑑賞・投稿

舟を編む

2013年04月14日 | 邦画
なるほど、こうきますか。

馬締が、松田龍平と聞いた時は「どうかな~」と思いましたが、中々どうして。結構いい仕上がりになっていますね。さすがです。

凛とした美しさを持つ女性には、やっぱり宮崎あおいは外せないですよねぇ。ただ、「自分、不器用ですから」と言いそうな、女高倉健の雰囲気は、彼女をしても、表現しきれなかったような気がします。中々難しい表現なんでしょうね。

軽妙な西岡を誰が演じるのか気になりましたが、オダギリジョーが上手く演じています。なるほどね。確かに、一見軽薄だけど、実は真面目と言う感じは、オダギリジョーの雰囲気であるかもしれません。

そして、加藤剛と八千草薫。この二人には、思わず唸ってしまいますね。加藤剛の重厚感と、八千草薫の淑やかさがあって、この作品は逸品になっているんだと思います。

ピース又吉が出ているのは、最後のクレジットで気が付きました。って言うか、何処に出てた?

原作も読んでいるんですが、結構、原作に沿った内容になっていると思います。ただ、時間の都合のためか、原作での岸辺と宮本が付き合っていく件などは、完全に省かれていますが。あのあたりも、辞書編集にまつわる濃厚な人間関係の表れとしては良いと思うんですけどね。

タイトル 舟を編む
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 三浦しをん
監督 石井裕也
出演 松田龍平(馬締光也)、宮崎あおい(林香具矢)、オダギリジョー(西岡正志)、黒木華(岸辺みどり)、渡辺美佐子(タケ)、池脇千鶴(三好麗美/西岡の恋人)、鶴見辰吾(村越局長)、伊佐山ひろ子(佐々木薫/辞書編集部の契約社員)、八千草薫(松本千恵/松本朋佑の妻)、小林薫(荒木公平)、加藤剛(松本朋佑)、宇野祥平(宮本慎一郎/製紙メーカー社員)、森岡龍(江川)、又吉直樹(戸川)、斎藤嘉樹(小林)、波岡一喜(編集者)、麻生久美子(大渡海ポスターの女優)

[2013/04/14]鑑賞・投稿

相棒シリーズ X DAY

2013年03月24日 | 邦画
相棒シリーズからのスピンオフ映画作品第二弾。

今回は、伊丹刑事が大活躍します。相棒のはじめの頃は、伊丹始め捜査一課の「トリオ・ザ・捜一」の面々って、右京を目の敵にしていましたが、時代が進み、みんな丸くなったのか、あるいは、作品の構成上仕方が無いのか(失礼)不明ですが、憎まれ口を叩きながらも、何となく捜査一課の面々は右京と上手くやっているような気がしますが、どうでしょうか?(TVレギュラー放送は、時々しか見ないもので・・・)

そんな捜査一課の熱血漢伊丹刑事と、今回、行きがかり上“相棒”になってしまうのは、サイバー犯罪対策課専門捜査官岩月。劇中のセリフにそれを思わせるものがあるんですが、元SEで、会社をリストラに遭ってサイバー犯罪対策課専門捜査官に転身した経歴を持つようです。そんな岩月を演じるのは、田中圭。少しノンビリした印象を持っていたんですが、この作品では、伊丹と接することで徐々に熱くなっていく専門捜査官を演じています。

TVのレギュラー放送でも時々は出てきますが、映画になると、片山雛子はじめ政界のドロドロした描写がより強くなるようですね。今回もそう。って言うか、そのあたりよりも、気になった所が・・・。片山雛子と戸張他が会食するシーン。4人いるのに、何故かテーブルの長手の所に二人座り、その反対側の長手には誰も座らないという、あたかも家族ゲームのような撮影手法。ちょっと不自然でした。

突っ込みどころを記してしまったので、もう少しツッコミを(笑)。ラストに近い、伊丹と岩月が朽木を追うシーン。あれは無いんじゃないかなぁ。朽木が車の上を登りながら逃げたからといって警官が同じ事をしては・・・。

X DAYに関する描写、X DAYのシミュレーションを行う集団の描写が、少し甘いかな。その為か、物語自体の詰めが甘く感じてしまいました。残念。もう少し緻密に描ければ、もっと良い作品になっていたと思います。右京がロンドン出張中と言う設定であったので、右京登場シーンが殆ど無いことが、物語の詰めが甘い結果につながったのかも。

タイトル 相棒シリーズ X DAY
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
監督 橋本一
出演 川原和久(伊丹憲一)、田中圭(岩月彬)、国仲涼子(麻生美奈)、戸次重幸(中山雄吾)、田口トモロヲ(朽木貞義)、別所哲也(戸張弘成)、木村佳乃(片山雛子)、大谷亮介(三浦信輔)、山中崇史(芹沢慶二)、六角精児(米沢守)、山西惇(角田六郎)、原田龍二(陣川公平)、神保悟志(大河内春樹)、宇津井健(金子文郎)、片桐竜次(内村完爾)、小野了(中園照生)、関めぐみ(小田切亜紀)、鈴木杏樹(月本幸子)、及川光博(神戸尊)、水谷豊(杉下右京)

[2013/03/24]鑑賞・投稿

プラチナデータ

2013年03月16日 | 邦画
東野圭吾の同名の小説が原作。元々、原作の小説は映画化を前提に作られており、今回、そのそもそもの目的が達成されたことになる。

原作は読んでいたんですが、結構前なので実はストーリーはうろ覚え。“プラチナデータ”の意味だけは覚えていましたが。うろ覚えでも、今回の映画とは、かなり違う筋だった様な気がはします。映像作品としては、今回の方が良いんですかね?

二宮和也が主演である為か、若い女の子が多いです。で、その二宮和也ですが、やっぱり芸達者。『硫黄島からの手紙』でクリント・イーストウッドに“天才”と言わしめただけのことはあります。日本でも、倉本聰お気に入りですからね。バラエティの時の雰囲気とは、全然違います。

それと芸達者ぶりをあらためて示したもう一人は、杏。元々モデルの人って、梨花を筆頭に、バラエティの時とショーの時で雰囲気が一変する人が多いですが、彼女もそう言う人ですね。そして、バラエティ、ショーの他、、そのレパートリー(?)に演技も加わっています。今回も、中々素晴らしかったです。

そして全体を締めるのが、トヨエツこと豊川悦司。渋いねぇ。ただ今回は、その渋さは必ずしも活かされていないかも。

それにしても、こんなDNA捜査がまかり通ったら、警察国家 or ビッグブラザーもいいところですよね。そういう意味では、この作品は、そう言う警察国家 or への警鐘なのかも。

タイトル プラチナデータ
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2012年/日本
監督 大友啓史
原作 東野圭吾
出演 二宮和也(神楽龍平)、豊川悦司(浅間玲司)、鈴木保奈美(水上江利子)、生瀬勝久(志賀孝志)、杏(白鳥里沙)、水原希子(蓼科早樹)

[2013/03/16]鑑賞・投稿

のぼうの城

2012年11月11日 | 邦画
石田三成による忍城水攻めの史実を元にした映画。

2011年9月17日公開予定であったのですが、同年3月11日の東日本大震災をうけ、その水攻めのシーンが津波を思い起こさせるということから一転公開延期となった後、満を持しての公開です。いや、確かに水のシーンは、津波を思い起こしますねぇ。ちょっと特撮っぽさが抜けていませんが、家屋を破壊していくなど結構な迫力です。なお、公開に際しては、人が水に飲まれるシーンなどについては修正が行われたそうです。

豊臣秀吉を市村正親が演じています。この秀吉が、これまで数々の時代劇などで演じられてきたイメージとは異なる秀吉。これまでの秀吉は、恰幅がよいオッサンと言うイメージですが、市村正親の秀吉は、スリムで、派手な秀吉。派手という所は、実際の秀吉と共通ではありますが、秀吉のイメージ一新です。

のぼうは野村萬斎なんですが、なるほどね。こののぼうは、野村萬斎しか出来ないかもしれませんね。田楽踊りなど、野村萬斎自ら振り付けをしているようですし。声、踊り、これは、元々これらをやっている人ならではでした。

意外や意外に良かったのが、上地雄輔。最初石田三成が上地雄輔と聞いた時は、「えっ?マヂ!」と思ったんですが、世間一般のイメージとは異なり、きちんと石田三成を演じています。これは儲けものだったなぁ。

逆に、敢えてバッシングを覚悟で言うと、芦田愛菜は不要。確かに原作にもちどりは出てくるんですが、あまり重要な役割ではなかったし、「この役は映画で必要?」と感じました。人気者だけに、必要以上に目立ってしまったしね。

あと山口智充も空回り。彼は芸達者なので期待していたんですが、それが災いして空回りした感があります。だってねぇ。あの目を見開いた表情は・・・、ネタ以外の何物でもないように見えてしまいました。

鬨の声とか、忍城内部の様子とか、意外にちゃんと考証しているような感じでした。ですが、ちょっと微妙に思ったのが、セリフがところどころ現代語だったところ。原作でもそうだったかもしれませんが、本で読むのと、言葉(音)で聞くのとでは印象が違いますね。原作の時はあまり何とも思わなかったんですが、映像から出てくる音で聞くと、ちょっと違和感を覚えました。

エンドロールが、今の忍城周辺の映像になっています。お城の門の名前のついた地名がまだ残っているんですね。

いや、良かったです。

タイトル のぼうの城
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2011年/日本
監督 犬童一心、樋口真嗣
原作 和田竜
出演 野村萬斎(成田長親/成田氏長の従兄弟)、佐藤浩市(正木丹波守利英)、成宮寛貴(酒巻靭負)、山口智充(柴崎和泉守)、榮倉奈々(甲斐姫)、鈴木保奈美(珠/成田氏長の妻)、平泉成(成田泰季/長親の父)、西村雅彦(成田氏長/成田家当主)、尾野真千子(ちよ)、芦田愛菜(ちどり)、前田吟(たへえ)、中尾明慶(かぞう)、夏八木勲(明嶺和尚)、市村正親(豊臣秀吉)、上地雄輔(石田三成)、山田孝之(大谷吉継)、平岳大(長束正家)

2012/11/11]鑑賞・投稿

終の信託

2012年10月27日 | 邦画
2007年の『それでもボクはやってない』に続く、周防監督の社会派作品。あわせて、1996年に大ヒットしてハリウッドでもリチャード・ギア主演でリメイク作品まで作られた『Shall we ダンス?』以来の周防正行・草刈民代・役所広司が揃った作品としても話題になっている。

でも、やっぱり『Shall we ダンス?』よりも、『それでもボクはやってない』と比較しちゃいますね。『Shall we ダンス?』はコメディでしたが、『それでもボクはやってない』は社会啓蒙、民衆啓発の社会は作品。そして今回の『終の信託』も社会派作品ですからね。

『それでもボクはやってない』の時は、痴漢冤罪が社会問題化しつつあるタイミングでの映画界でしたが、この『終の信託』は、“終活”などという言葉も出来るほど、人間の一章の終わりに注目が集まりつつ有る時期の作品。そういう意味では、非常に良いタイミングでの映画化です。

いやぁ、作品終盤の折井が塚原に取り調べを受けるシーンですが、「あぁ、こうやって犯罪者は“作られていく”んだ」と思いました。まぁ、“事実”のみをつなぎ合わせると、塚原の言う感じになるのかもしれませんが、それでは背景が全く示されておらず、かなり一方的な主張に思いました。でも、『それでもボクはやってない』も思いましたが、あれが現実なんですかね。

ツッコミを一つ。江木が救急搬送されてきたシーン。あまりにも緊張感に欠けていないか?もうちょっと何とか出来たのではないかと思いました。

タイトル 終の信託
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/日本
監督 周防正行
出演 草刈民代(折井綾乃)、役所広司(江木泰三)、浅野忠信(高井則行/綾乃の不倫相手)、大沢たかお(塚原透/検察官)、細田よしひこ(杉田正一/検察事務官)、中村久美(江木陽子/泰三の妻)

[2012/10/27]鑑賞・投稿

鍵泥棒のメソッド

2012年09月17日 | 邦画
何らかの事故で、人が入れ替わってしまうと言うテーマの映画・物語・テレビドラマは数多あります。また、人の人生を奪い取ってしまうというテーマの映画・物語・テレビドラマも数多あります。この作品は、その両方の要素を組み入れたラブコメと言えば良いのでしょうか?いきなり小難しい事を書いてしまいましたが、要するに、記憶を失った男とその記憶を失った男のフリをする男。そこに、婚活中の(ちょっとピンぼけな?)女性が現れた事から始まる、ラブコメです。

テレビインタビューで「見所は?」と聞かれた香川照之が、「(自分の)フルヌードです(笑)。」と言っていますが、そのフルヌードのジャンピングシーンは見事。プロダクション・ノートによれば、まずは裸で香川のジャンピングシーンを撮り、それに風呂場のシーンを合成して作った画像だそうですが、香川はヌードのためにワイヤーで吊ることも出来ず、あのジャンプは香川の演技だそうです。凄い。って言うか、香川照之は、やっぱ芸達者ですね。

広末涼子の、ちょっとピントのズレている婚活女性は面白いです。って言うか、現実にあんな女性がいたら、そりゃぁ、婚活大変だろうなと思います(失礼)。広末涼子って、ラブコメ行けるんですね。結構いい味出していました。

堺雅人と言えば、『ゴールデンスランバー』での巻き込まれ系ヒーロー?が結構いい味出していましたが、こちらの作品は、巻き込まれ系と言うより、自分で創りだした状況のヤバイ系ですが、結局かわいそうな状況に陥ってしまうのは、結構似合っています。なんか、線が細そうな感じがいいんですかね。でも、ラストの堺雅人演じる桜井が、ある女性の胸をキュンキュン言わせている件は、ちょっとなぁ。あの女性とは、それまでの間の絡みが少なすぎると思います。無理やり胸キュンを演出したかったからですかね。

いやぁ、面白かったです。楽しい映画で、良いと思います。

タイトル 鍵泥棒のメソッド
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/日本
監督 内田けんじ
出演 堺雅人(桜井武史)、香川照之(コンドウ・山崎信一郎)、広末涼子(水嶋香苗)、荒川良々(工藤純一)、森口瑤子(井上綾子)

[2012/09/17]鑑賞・投稿