勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

路上のソリスト / The Soloist

2010年10月16日 | 洋画(アメリカ系)
ロサンゼルス・タイムズの有名コラムニスト、スティーヴ・ロペスが書いた実話の映画化。昨年公開されたとき、行くか行くまいか悩んだ結果、行かなかった作品。再度公開しているところがあり、やっぱり行けばよかったなぁと思っていたので、見てきました。

ロバート・ダウニー・Jrが、著者スティーヴ・ロペスを演じています。彼は、『アイアンマン』だったり、『シャーロック・ホームズ』だったり、この所注目の作品に、どちらかと言うとマッチョな役柄で出ていますが、この作品では一転、人気のコラムニストという文系の人物を演じています。現代的な人気のコラムニストと言うのは、こう言う感じなんですかね。

ジェイミー・フォックスも当然素晴らしい演技をしています。統合失調症と言う難しい役柄ですが、非常に上手いと思いました。

さて、この作品を見て思ったのは、極めてアメリカ的と言うことです。スティーブは、ナサニエルを救おうとして、色々と(スティーブの視点での)手助けをしているのですが、これが結構、ナサニエルに拒絶されています。事の原因はコミュニケーションが成り立っていないということだと思います。つまり手助けになっていないんですね。これって、こう言うと怒られるかも知れませんが、アメリカが世界のいろんな紛争に出ていっても、現地ではあまり(全く?)歓迎されないという事と重なって見えてしまいました。これはつまり、アメリカが紛争解決に出ていっても、『アメリカは正義だ。だから、正義に従え。』と言うスタイルで解決を図ろうとするために、現地のニーズや考え方に合わず受け入れられないという事なんだと思うんです。スティーブとナサニエルの関係も同じ構図で、スティーブが『これが正しい』と思うことであっても、ナサニエルに取ってみれば『正しくない』と言う事。一般市民のレベルでこういう事が起きているということは、国としてのアイデンティティがそう言うマインドセットなんでしょうね。最終的に、スティーブとナサニエルは和解していますが、恐らくスティーブは、何が良くて、何が悪かったのかは判っていないでしょうね。

さて厳しいことを書いてしまいましたが、基本的には実話を映画化しているので、必ずしもハッピーエンドでは有りません。しかも、ナサニエルが路上生活を始めた理由や、路上生活のきっかけとなった(と思われる)統合失調症発症の理由も明らかにはなりません。この辺りに、若干の不満は残りますが、結構、見させる作品でした。

タイトル 路上のソリスト / 原題 The Soloist
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督 ジョー・ライト
原作 スティーヴ・ロペス
出演 ジェイミー・フォックス(ナサニエル・エアーズ)、ロバート・ダウニー・Jr(スティーヴ・ロペス)、キャサリン・キーナー(メアリー・ウェストン)、トム・ホランダー(グラハム・クレイドン)、リサゲイ・ハミルトン(ジェニファー・エアーズ・ムーア)

[2010/10/16]鑑賞・投稿