1941年の太平洋戦争勃発から70年の今年(2011年)、太平洋戦争の口火を切る攻撃の指揮を取った山本五十六を描いた映画。
戦争を描いたのではなく、山本五十六自身を描いています。なので、戦争映画ではありますが、所謂、戦争映画とは異なり、ヒューマンドラマ的色彩が濃い・・・と言うより、むしろヒューマンドラマそのものです。なので、真珠湾攻撃の作戦過程やミッドウェイ海戦の作戦過程などは、余り描かれていません。描かれているのは、山本五十六の仕事ぶりや、家庭での父親あるいは夫ぶりです。『硫黄島からの手紙』の時も思ったんですが、あの頃の高級司令官って、家族思いの人が多いですね。硫黄島の戦いの栗林大将も非常に家族思いで有ったと伝えられていますが、この作品の山本も家族思いの人物として描かれています。
山本以下、海軍軍人達は実在の人物ですが、東京日報の人物たちは、会社そのものの存在から架空の設定(ですよね)。そしてその東京日報の記者新藤利一が、この物語の語り部になっています。新藤利一を演じる玉木宏は、のだめカンタービレから、モノローグづいていますね(笑)。
作品を見てみて、平和を愛する反戦の軍人として山本五十六を描こうとしていると意図を強く感じます。一般に、山本が太平洋戦争に反対したのは確からしいですが、それは反戦とかと言う意図ではなく、軍事的・政治的に合理的ではないと言うのが、その理由。反戦思想であったとか言う、日本人が好みそうな理由ではないはずなんですよねぇ。何と言っても、彼は、日本海軍の高級幹部。そんな思想を持っていたのであれば、高級幹部にはなれません。もっと言えば、指揮官としてもあまり優秀ではなかったとも言われています。その一端として、劇中にも描かれていますが、真珠湾攻撃に際しては、早期講和のために真珠湾攻撃を行ったのであれば、もっと徹底的に攻撃を完遂するべきだったのに二次攻撃を命令していないし、ミッドウェイ海戦に於いても南雲に任せっきり。「南雲はやらんよ。」「これで積んだね。」ではないんですよ。
その他、日本映画には多いんですが、テンポが悪くて冗長。瀬戸朝香、田中麗奈は、この物語の進行に必要でしょうか? 時代世相を映す役回り? 時代世相は、東京日報を中心に描いているのではないかと思うんですけどね。この当たりのシーンが無ければ、もっと締まったと思うんですけどねぇ。
それと、監督の意図なのか、監修者の意図なのかわかりませんが、山本・米内・井上・山口・黒島は好意的に描かれていた様に感じたのに対して、南雲・宇垣・永野・及川(?)は否定的に描かれているような気がしたのは、気のせい? これって、監督or監修者or誰かの、好き嫌い? それぞれの人物に様々な評があり、揶揄されても仕方がない一面もありますが、こう言う描き方は一方的過ぎて、ちょっとどうかなぁと思いました。
普通の戦争映画だと思っていくと、意外にヒューマンドラマだったりするので、派手な戦闘シーンをお望みの方はご注意。って言うか、『太平洋戦争70年目の真実』と言うサブタイトルは付いていますが、新たに明らかになる真実はありません。
タイトル 聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―
日本公開年 2011年
製作年/製作国 2011年/日本
監督 成島出
監修 半藤一利
特別協力 山本義正
出演 役所広司(山本五十六)、玉木宏(新藤利一)、柄本明(米内光正)、柳葉敏郎(井上成美)、阿部寛(山口多聞)、吉田栄作(三宅義勇)、椎名桔平(黒島亀人)、中原丈雄(南雲忠一)、中村育二(宇垣纏)、坂東三津五郎(堀悌吉)、伊武雅刀(永野修身)、原田美枝子(山本禮子)、袴田吉彦(秋山裕作/東京日報記者)、益岡徹(草野嗣郎/東京日報編集長)、香川照之(宗像景清/東京日報主幹)、五十嵐隼士(牧野幸一/五十六と同郷の零戦パイロット)、河原健二(有馬慶二/零戦パイロット)、碓井翔太(佐伯隆/零戦パイロット)、瀬戸朝香(谷口志津/小料理屋の女将)、田中麗奈(神埼芳江/志津の店の常連のダンサー)、宮本信子(高橋嘉寿子/五十六の実姉)
[2011/12/11]鑑賞・投稿
戦争を描いたのではなく、山本五十六自身を描いています。なので、戦争映画ではありますが、所謂、戦争映画とは異なり、ヒューマンドラマ的色彩が濃い・・・と言うより、むしろヒューマンドラマそのものです。なので、真珠湾攻撃の作戦過程やミッドウェイ海戦の作戦過程などは、余り描かれていません。描かれているのは、山本五十六の仕事ぶりや、家庭での父親あるいは夫ぶりです。『硫黄島からの手紙』の時も思ったんですが、あの頃の高級司令官って、家族思いの人が多いですね。硫黄島の戦いの栗林大将も非常に家族思いで有ったと伝えられていますが、この作品の山本も家族思いの人物として描かれています。
山本以下、海軍軍人達は実在の人物ですが、東京日報の人物たちは、会社そのものの存在から架空の設定(ですよね)。そしてその東京日報の記者新藤利一が、この物語の語り部になっています。新藤利一を演じる玉木宏は、のだめカンタービレから、モノローグづいていますね(笑)。
作品を見てみて、平和を愛する反戦の軍人として山本五十六を描こうとしていると意図を強く感じます。一般に、山本が太平洋戦争に反対したのは確からしいですが、それは反戦とかと言う意図ではなく、軍事的・政治的に合理的ではないと言うのが、その理由。反戦思想であったとか言う、日本人が好みそうな理由ではないはずなんですよねぇ。何と言っても、彼は、日本海軍の高級幹部。そんな思想を持っていたのであれば、高級幹部にはなれません。もっと言えば、指揮官としてもあまり優秀ではなかったとも言われています。その一端として、劇中にも描かれていますが、真珠湾攻撃に際しては、早期講和のために真珠湾攻撃を行ったのであれば、もっと徹底的に攻撃を完遂するべきだったのに二次攻撃を命令していないし、ミッドウェイ海戦に於いても南雲に任せっきり。「南雲はやらんよ。」「これで積んだね。」ではないんですよ。
その他、日本映画には多いんですが、テンポが悪くて冗長。瀬戸朝香、田中麗奈は、この物語の進行に必要でしょうか? 時代世相を映す役回り? 時代世相は、東京日報を中心に描いているのではないかと思うんですけどね。この当たりのシーンが無ければ、もっと締まったと思うんですけどねぇ。
それと、監督の意図なのか、監修者の意図なのかわかりませんが、山本・米内・井上・山口・黒島は好意的に描かれていた様に感じたのに対して、南雲・宇垣・永野・及川(?)は否定的に描かれているような気がしたのは、気のせい? これって、監督or監修者or誰かの、好き嫌い? それぞれの人物に様々な評があり、揶揄されても仕方がない一面もありますが、こう言う描き方は一方的過ぎて、ちょっとどうかなぁと思いました。
普通の戦争映画だと思っていくと、意外にヒューマンドラマだったりするので、派手な戦闘シーンをお望みの方はご注意。って言うか、『太平洋戦争70年目の真実』と言うサブタイトルは付いていますが、新たに明らかになる真実はありません。
タイトル 聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―
日本公開年 2011年
製作年/製作国 2011年/日本
監督 成島出
監修 半藤一利
特別協力 山本義正
出演 役所広司(山本五十六)、玉木宏(新藤利一)、柄本明(米内光正)、柳葉敏郎(井上成美)、阿部寛(山口多聞)、吉田栄作(三宅義勇)、椎名桔平(黒島亀人)、中原丈雄(南雲忠一)、中村育二(宇垣纏)、坂東三津五郎(堀悌吉)、伊武雅刀(永野修身)、原田美枝子(山本禮子)、袴田吉彦(秋山裕作/東京日報記者)、益岡徹(草野嗣郎/東京日報編集長)、香川照之(宗像景清/東京日報主幹)、五十嵐隼士(牧野幸一/五十六と同郷の零戦パイロット)、河原健二(有馬慶二/零戦パイロット)、碓井翔太(佐伯隆/零戦パイロット)、瀬戸朝香(谷口志津/小料理屋の女将)、田中麗奈(神埼芳江/志津の店の常連のダンサー)、宮本信子(高橋嘉寿子/五十六の実姉)
[2011/12/11]鑑賞・投稿