勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
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1001グラム ハカリしれない愛のこと / 1001 Grams

2015年11月01日 | 洋画(その他)
第27回東京国際映画祭コンペティション部門出品。アカデミー賞外国語映画部門ノルウェー代表に選出。

ノルウェー国立計量研究所に勤務する計測のプロが、自分の人生は思い通りに“計測”出来ず思い悩み、人生を見つめなおす物語。

劇中「人の魂の重さ」に言及するシーンが有るんですが、実際に、人の死亡前後などの重量を測定してみると、死んだ時に抜けるガスや液体など、様々な現象を考慮しても、どうしても説明できない誤差があるらしく、それが『魂の重さ』と言われていたりします。この作品では、遺灰を測定するときにその重さを感じさせる様な演出がなされていますが、それはちょっと違うよねぇ。だって、遺灰にするときに全て抜けてるじゃん。まぁ、そんなツッコミは良いとして、厳密に計量することを旨とするノルウェー国立計量研究所に関わる話としては非常に興味深い話だと思いました。

それともう一つ。時間(秒)や長さの定義は、地球を基準とするとゆらぎや誤差の影響を免れないので、現代では物理現象を基準とするようになっているのですが、重さだけはまだキログラム原器に依っているんですよねぇ。だからこの物語のように、キログラム原器の破損(!)の様な出来事が描けるわけです、ただこれも、劇中で描かれているように、より確からしい物理定数による定義に変えようとはしているようで、それが実現されれば、この物語のようなことはなくなってしまいます。

どちらも実在する「ノルウェー国立計量研究所」と「国際度量衡局」での撮影されています。「国際度量衡局」って、あんな瀟洒な建物なんですね。いやぁ、国際的な研究機関とは思えないです。逆に、「ノルウェー国立計量研究所」はスタイリッシュ。それでいて機能美を感じさせる建物でした。

「計測」と言う事を描いた物語だからなのか、あるいは、ノルウェーと言うお国柄なのか、非常に淡々と物語が進みます。それだけに、主人公の人生の思い悩みを感じるような気がしました。

タイトル 1001グラム ハカリしれない愛のこと / 原題 1001 Grams
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/ノルウェー・ドイツ・フランス
監督 ベント・ハーメル
出演 アーネ・ダール・トルプ(マリエ・アーンスト)、ローラン・ストーケル(パイ)、スタイン・ビンゲ(アーンスト・アーンスト/マリエの父)