勝手に映画評

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ヒトラーへの285枚の葉書 / Alone in Berlin

2017年07月08日 | 洋画(ドイツ系)
ナチス政権下のベルリンに住む平凡な労働者のオットー&エリーゼ・ハンペル夫婦が、反ナチスのポストカードを作って抵抗したという事実を下にした作品。

ハンペル夫妻(劇中ではクヴァンゲル夫妻)の静かな抵抗が始まったのは、1940年。ナチス・ドイツの転落が始まるソ連侵攻作戦のバルバロッサ作戦前で、まだまだ、ドイツの強力さが目立っていた頃と言うのが非常に興味を引きます。そもそもの発端が、一人息子の戦死と言う衝撃的な出来事ではありますが、それで一転、権勢を誇っていた時の権力者への繋がるとはね。なんか、そう言う所も凄い気がします。

第二次大戦時の日本でも、「お国のため」と言って出征し、そのまま戦死してしまった子供がいる家族が数えきれないほど居たわけですが、時の政府に対する反感は(ほとんど)心の中に秘め、公然と反旗を翻したという事は無いと思います。国民性の違いと言えば、そうなのかもしれませんが、それにしても極端な気がしますね。

だからと言って、ハンペル夫妻(劇中ではクヴァンゲル夫妻)のやった事に反対な訳ではありません。むしろ逆。当時は、残念ながら、広く国民の中に広がるような運動には成らなかった様ですが、試みとしてはアリだったと思います。現代なら、SNSで拡散するという事になるんですかね?当時は広がりを止められたかもしれませんが、現代は・・・無理かもね。

ラストシーンが印象的。エッシャリヒ警部も、この捜査を通じて、思うところがあったんですね。

ドイツを舞台にした作品にもかかわらず、全編セリフが英語なのは気になりました。小道具の、書類や、この作品のテーマである葉書はドイツ語で書かれていたんですけどね。

タイトル ヒトラーへの285枚の葉書 / 原題 Alone in Berlin ( Jeder stirbt fur sich allein )

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2016年/ドイツ・フランス・イギリス
監督 バンサン・ペレーズ
出演 エマ・トンプソン(アンナ・クヴァンゲル)、ブレンダン・グリーソン(オットー・クヴァンゲル)、ダニエル・ブリュール(エッシャリヒ警部)、ミカエル・パーシュブラント(プラール/親衛隊将校)、モニーク・ショーメット(ローゼンタール)、ヨアヒム・ビスマイヤー(フロム判事)、カトリン・ポリット(エヴァ・クルーゲ)、ラルス・ルドルフ(エノ・クルーゲ)