勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

感染列島

2009年01月17日 | 邦画
未知のウイルスが襲った日本。感染はあっという間に広がり、歯止めが利かず、都市機能は低下していく。そんな絶望的状況の中、市立病院に勤務する医師とその医師の元恋人でWHOメディカルオフィサーの、未知のウイルスに対する戦いを描く。

新インフルエンザの脅威が現実味を帯びつつある今、タイムリーなテーマの映画と言えます。作品冒頭の導入部で、フィリピンでの新インフルエンザの発生も描いており、その意味では、リアルにシミュレートしようとした努力の跡はうかがい知る事が出来ます。

妻夫木聡と檀れいが、元恋人同士ですか・・・。劇中では、妻夫木聡が学生で檀れいが助手だったという設定にしてありますが、それにしても、この二人の年齢差はちょっと無理があるのでは・・・。むしろ、佐藤浩市あたりを主人公にした方が、(医師としての経験とかと言う意味で)良かったのではないかと思います。

先に、“リアルにシミュレートしようとした”とは書きましたが、そこはやはり劇映画。ちょっと、物語を作っているところはあります。ネタバレになってしまいますが、妻夫木聡演じる市立病院医師が、何故か感染源の特定のために海外まで行ってしまうとか、国仲涼子演じる看護師が発症したかと思うと、劇症的に症状が進みあっという間に死に至るとかね。途中までは、いい感じでリアルだったんですけどね。

それと、全般的に話が冗長です。今回のような、感染症のエピデミック(いや、アウトブレイクと言うべきか?)を描いた映画といえば『アウトブレイク』がありますが、それの緊迫感に比べ、こちらの作品は全体に流れる緊迫感が今ひとつ。ある意味、その緊迫感の無さは、現実の日本を忠実にシミュレートしているのかもしれませんが。もう少し話を絞り、物語全般的に緊迫感を持たせたほうが、いい作品になったのではないかと思います。

あ、銀座や新宿などの繁華街が、廃墟と化しているシーンが有りますが、CGが甘いですね。セリフも反響して聞こえて、スタジオでブルースクリーンの前で演じている事バレバレです。

そうそう。試写会のとき、妻夫木聡に相方太田と名前を間違えられた田中ですが、医療従事者の配偶者と言う役どころを、結構いい味出して演じていました。本当に、あんな感じなんかもしれませんね。最後に彼が泣くシーン(とその時の、娘の無邪気な姿)は、ちょっと泣けました。

劇とリアルなシミュレーションの狭間で苦労した事は感じます。突っ込みどころは沢山ありますが、劇映画として割り切れば良いのではないかと思います。

タイトル 感染列島
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/日本
監督・脚本 瀬々敬久
出演 妻夫木聡(松岡剛)、檀れい(小林栄子)、国仲涼子(三田多佳子)、田中裕二/爆笑問題(三田英輔)、池脇千鶴(真鍋麻美)、佐藤浩市(安藤一馬)、藤竜也(仁志稔)、カンニング竹山(鈴木浩介)、金田明夫(高山良三)、光石研(神倉章介)、夏緒(神倉茜)、キムラ緑子(池畑実和)、嶋田久作(立花修治)、正名僕蔵(田村道草)、ダンテ・カーヴァー(クラウス・デビッド)、馬渕英俚可(鈴木蘭子)、小松彩夏(柏村杏子)、三浦アキフミ(小森幹夫)、太賀(本橋研一)

[2009/01/17]鑑賞・投稿


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