川天使空間

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『てつほうの鳴る浜』 森川成美・著 小学館

2022年07月20日 04時53分39秒 | 創作・本の紹介
森川成美さまの戦国時代ファンタジー。
元寇の時代、ひとりの武家の小年が異国の大船団に立ち向かう話。
なのだが、まぎれもなく私が心底愛している「森川ワールド」。

 12歳になった竹崎長種(後に『蒙古襲来絵詞』で有名な竹崎季長の弟という設定)。
 武士をやめて商人になりたいと家を飛び出し、水軍の長である竜玄のもとに。
 そこで大商人の鳥飼二郎(張英)のところに行くように言われ、博多に向かう。
 塩田で鏡で未来を読めるふしぎな少女いとに出会い、賊から張英を救う。
 張英は宋国の皇子で、血が絶えないよう異国に離されていたのだ。
 張英が筥崎宮に参内したとき、いとの予言でまた長種が賊から救う。
 てつほう(陶器の玉の中に硫黄と炭と鉄の欠片を入れて爆発させるモンゴルの武器)材料の硫黄を、
 フビライ側に渡したがって、谷田部という武士が賊を手引きしたのだった。
 手を縛られ牛車に乗せられた長種といとは、牛車から脱出し、ふたたび竜玄のもとへ行く。
 四年後、はじめて船長として船出し鷹島に帰る海上で、長種は遠くに無数の船団-元の軍勢をみつけて……。

いやあ、面白かった。ページをめくる手が止まらなかった。
この本の中にも「一枚めくるとき、次に何が書いてあるか楽しみに…」とあったが、まさにそれ。
第一章のラストで敵とも味方ともわからない白木の舟に望みを託し、小舟で近づく。
「合言葉を言え」「上げ潮に」……「入舟!」ぞくっとした。

冒頭が、「これはいわゆる、しのびこみ、というやつだ」。
冒頭からもうやられていたし。

竜玄の言葉。「運を楽しむのだ」。
深い言葉があちこちにあって、その度にぐっとくる。
謎の少女いとのふるまいも興味深い。もしかして200年前からいる精霊?

そしてこの空気感。
元寇の時代の空気感(当然森川ワールドの空気感)に浸っていられた。
この世界から抜け出したくなかった。
もうおわっちゃうのと、残りページが少なくなると悲しかった。

森川さま、やっぱりすごい。思っていた以上にすごい。
ますますのご活躍!

なんですかこれはという森川ワールド。
またアサギシリーズをも読みたくなった。やばいなこれは。
新型コロナ患者さんもどんどんやってくるけど、そんな鬱憤は蹴散らされそう。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)
コメント (3)
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