石垣島のどこかの漁港や林道に今日も停まっている古いくすんだ金色のスバルフォレスター。
廃車の日は、来年3月半ばと持ち主に言い聞かされているのだから、あと4箇月のいのち。
西表にも、沖縄本島にも、もちろん九州や本州にも連れて行くことはできなかった。
でも、中古で買った時、この車、初登録は新潟で前の持ち主は神戸の人だと分った。
だから、平成13年からもう17年、雪国や港町を旅して、もう十分美しい風景を見てきたのだろう。
だから、最期の土地として、石垣島で4年間を過ごせて満足したことだろう。
あと、4箇月、できるだけ、美しい水平線や稜線の見え隠れする場所まで、連れて行って、留め置こう。
古い車には、AI頭脳など搭載されていなくてよかった。あの宇宙船のように。
野底岳にむかう林道には、サキシマフヨウが恥らうように咲き始め
コウトウシラン(紅頭紫蘭)の花が燃え盛る。石垣島が北限ということで、哀切極まりなし。