今朝のNHKFM「音楽の泉」は、武満徹さんの映画音楽やソングブックを特集していた。
知らなかったが、あの武満さん最良の映画音楽「波の盆」の挿入曲が武満さん自身の編曲により20分ばかりの演奏会用に作品化されていたということで、この作品を尾高忠明さん指揮、N響の録音で聴く。ただし、聴いたのはうだるような暑さの午後で、NHK「らじるらじる」の聞き流し版である。
ハワイの波の音を聴いたりや浜辺に吹く風を受けたような心地がして、すうっと暑さが引いていく。武満さんの音楽もバッハのように真夏にきく音楽だな、と一人思った。
「波の盆」以外にも「夢千代日記」や、ギターによる「ミッシェル、ヘイジュード」、「小さな空」や「翼」なんかのソングブック、どれもこれも聴き入ってしまい小時間ばかりの避暑を楽しむ。
聞き逃しは1週間ほど何度でも聴けるので、窓を開けて、扇風機の風を当てて、イヤホンの向こうの蝉しぐれを少し聞きながら、目を閉じて涼やかな夏の旅に出かけよう。
涼しさや 武満徹 波の盆
今、野草園には8月の花たちが盛りと咲いている。少し撮って来たので、盆に手向ける花としたい。「俳句歳時記」から秀句を添えて、なきひとびとをなぐさめよう。
ミソハギ科ミソハギ 漢字で「溝萩」だが、「聖霊花」とも「千屈菜」とも書き表される。
盆に添える花だから「聖霊」というのだそうだ。
千屈菜や若狭小浜の古寺巡り (湯下量園)
ナデシコ科カワラナデシコ
撫子や狂へば老も聖童女 (福田蓼汀)
キキョウ科キキョウ
仏性は白き桔梗にこそあらめ (夏目漱石)
ユリ科コオニユリ
山霧の引きゆく迅さ小鬼百合 (星野恒彦)
アヤメ科ヒオウギ
ひあうぎの咲くとここより山の風 (伊藤三十四)
イネ科ススキ
金の芒はるかなる母の禱りをり (石田波郷)