主要な山岳は前年の雪どけ後に初の積雪があると「初冠雪」という神々しい言葉で表現されるが、平地では「初積雪」と、なんだかありがたくもない普通の言葉で報道される。それだけ、日本人は山に畏敬の念をもって暮らしてきたのか。
わがアパートメンツの前庭も朝起きてみると真っ白な雪に覆われていた。植込みのサザンカの木にも3センチほど積もっただろうか、無防備な濃いピンク色のサザンカも花も寒そうに花びらをのぞかせていた。朝は氷点下の「冬日」だったそうだが、それでも真冬の花も葉も凍らないのであるからたくましい。
12月にもなって、雪が降って、冬のスズメたちもさぞや食探しに苦労するのではないかとの「老婆心」から、昨年同様手のひらに少し玄米をにぎってベランダにまいたら丸々と太ったスズメたちが十数羽の集団でやって来てすぐに啄みを始め、ものの5分でかたづけてどこかに飛んで行った。
心配無用なほど太っているのは、虫が減った分、枯草の実を啄んでいるからだろう。こないだ河原を歩いていたらススキの穂にスズメたちが群がっていた。「あんなものまでエサにできるのか」と感心した。積雪のほとんどない寒冷地は、まだいろいろな草の実には事欠かないのかもしれない。
今年は、冬眠前の食料探しに苦労するクマたちが里に下りてきて社会問題化しているが、案外野鳥たちの方が栄養素が少しでもあればどんなものでも口にすることができるみたいなので、美食家のクマたちより「生きる力」が強いのかもしれない。
今日は最高4℃と外出をためらわされたが、もう少しあったい日には植物や動物たちの「冬を生き抜く力」発見に、野山に出てみようか。