5月 22日
いつもの床屋でした。
散髪に行ったわけじゃないんですよ。数日前に留守電が
あり「ちょっと聞きたいことが」でした。
つうことで、土曜に行ってきました。
「たまおちゃんのところは留守電を聞かないの?」
「電話機の本体は見えにくいところに置いてあるから、
留守電に気がつかないんだよ。で、どんなことを知りたいの?」
「たまおちゃんはエンジニアでしょ。電話のこと分かる?」
「通信関係の仕事してるから、多少は知ってるけど、どう
したの?」
「光回線で、電話を2回線使ってるんだけど、FAX専用
みたいにして使っている1回線を廃止したいのよ」
「まずは116に電話して、『これこれこういうふうに
したいけど、1番安くできるようにして』って相談するのが
近道だよ。『光回線を廃止して、メタルに戻して使いたい』
なんて言うよりも、ズバリと<どうやれば安くなる?>って
聞いたほうが、相手も応えられると思うよ」
「そうよね。コッチがいろいろ言わないほうがいいかもね」
「ところで、どうしてFAXの回線を廃止することにしたの?」
「たまおちゃんも知ってると思うけど、ここでいっしょに
床屋をやってた弟がいたでしょ。弟は理容師よりも別のことを
やりたい人だったから、床屋をやめて別の仕事を始めたんだけど、
奥の部屋を事務所として使ってたのよ。
それで、仕事の連絡用にFAXが置いてあったんだけど、その
弟が4月に死んだのよ。」
「そうなんだぁ。たいへんだったねぇ」
「急だったからね。会社関係とか役所の手続きとか、いろ
いろ整理があったわよ」
20~30年ぐらい前らしいんだけど、この弟が謝金の保証人に
なって、借りた人は逃げたので、肩代わりすることになったんだ
そうです。その借金を返済するために、おねぇさんが昼間は床屋、
夜はスナックでコンパニオンのバイトをやって、なんとか返す
ことができたんだよね。(おねぇさんはお酒が飲めないのに
それでも夜の仕事してましたからね)
そのあと、今から10年ぐらい前に、もう一回借金のことが
あって、おねぇさんは自分が住んでいたマンションを売って
また肩代わりしたんです。
「あんなことがなければ、家を2軒ぐらい持ってたわ」と
言ってますよ。
それほど苦労して助けた弟があっけなくコロッ。と逝って
しまって、客の前ではいつも明るいおねぇさんですが、さすがに
半分放心状態でしたよ。
別の話になって。
「わたしさぁ。こんどカテーテル入れるのよ」
「どしたの?」
「血管にコブができて、それの検査というか、治療をやるの」
「動脈なら、その瘤が破裂したとたんに死んじゃうよ」
「そうなる前に手当するのよ。そんなに難しい治療じゃない
って医者は言ってるけど、こればっかりはやってみないとねぇ」
「それじゃ、まだ髪は伸びていないけど、今のうちに切って
もらおうかな」
「あれぇ、たまおちゃん。もしかして私が生還しないんじゃ
ないかと思ってるんじゃないのぉ?」
「わかった?」
「ばぁか、ちゃんと元気に戻ってくるわよ。散髪は来月で
いいからね」
ちゃんちゃん。(^^)/
いつもの床屋でした。
散髪に行ったわけじゃないんですよ。数日前に留守電が
あり「ちょっと聞きたいことが」でした。
つうことで、土曜に行ってきました。
「たまおちゃんのところは留守電を聞かないの?」
「電話機の本体は見えにくいところに置いてあるから、
留守電に気がつかないんだよ。で、どんなことを知りたいの?」
「たまおちゃんはエンジニアでしょ。電話のこと分かる?」
「通信関係の仕事してるから、多少は知ってるけど、どう
したの?」
「光回線で、電話を2回線使ってるんだけど、FAX専用
みたいにして使っている1回線を廃止したいのよ」
「まずは116に電話して、『これこれこういうふうに
したいけど、1番安くできるようにして』って相談するのが
近道だよ。『光回線を廃止して、メタルに戻して使いたい』
なんて言うよりも、ズバリと<どうやれば安くなる?>って
聞いたほうが、相手も応えられると思うよ」
「そうよね。コッチがいろいろ言わないほうがいいかもね」
「ところで、どうしてFAXの回線を廃止することにしたの?」
「たまおちゃんも知ってると思うけど、ここでいっしょに
床屋をやってた弟がいたでしょ。弟は理容師よりも別のことを
やりたい人だったから、床屋をやめて別の仕事を始めたんだけど、
奥の部屋を事務所として使ってたのよ。
それで、仕事の連絡用にFAXが置いてあったんだけど、その
弟が4月に死んだのよ。」
「そうなんだぁ。たいへんだったねぇ」
「急だったからね。会社関係とか役所の手続きとか、いろ
いろ整理があったわよ」
20~30年ぐらい前らしいんだけど、この弟が謝金の保証人に
なって、借りた人は逃げたので、肩代わりすることになったんだ
そうです。その借金を返済するために、おねぇさんが昼間は床屋、
夜はスナックでコンパニオンのバイトをやって、なんとか返す
ことができたんだよね。(おねぇさんはお酒が飲めないのに
それでも夜の仕事してましたからね)
そのあと、今から10年ぐらい前に、もう一回借金のことが
あって、おねぇさんは自分が住んでいたマンションを売って
また肩代わりしたんです。
「あんなことがなければ、家を2軒ぐらい持ってたわ」と
言ってますよ。
それほど苦労して助けた弟があっけなくコロッ。と逝って
しまって、客の前ではいつも明るいおねぇさんですが、さすがに
半分放心状態でしたよ。
別の話になって。
「わたしさぁ。こんどカテーテル入れるのよ」
「どしたの?」
「血管にコブができて、それの検査というか、治療をやるの」
「動脈なら、その瘤が破裂したとたんに死んじゃうよ」
「そうなる前に手当するのよ。そんなに難しい治療じゃない
って医者は言ってるけど、こればっかりはやってみないとねぇ」
「それじゃ、まだ髪は伸びていないけど、今のうちに切って
もらおうかな」
「あれぇ、たまおちゃん。もしかして私が生還しないんじゃ
ないかと思ってるんじゃないのぉ?」
「わかった?」
「ばぁか、ちゃんと元気に戻ってくるわよ。散髪は来月で
いいからね」
ちゃんちゃん。(^^)/