これはアライと並び世界トッ
プレベルのヘルメットメーカー
であるショウエイの風洞実験
の画像だ。
テスターは極めて適正なライ
ディングフォームを取っている。
これが通常のクルージング時の
頭の位置と角度、背骨の自然な
円弧、下半身でのホールド、上
体の脱力、顎を引いてGを天頂
部から尻に逃すフォームである。
決して、上半身伸ばし起こし、
背骨真っ直ぐ硬直、両腕伸ばし
突っ張り、頷出し顔起こし、
ステップへのただの足載せの
ノーマシンホールド、とい
うような硬直した不適切な
乗車姿勢は取っていない。
風洞実験は空気の流れの空力効
果を測定するだけではなく、視
界確保や安定性などの安全性も
多角的に検証する。
OGKカブトの場合、この程度の
ささいな前傾でも開口部上部が
前方視界を塞いでしまう。
まして、カウルの中に身を沈
めるこのようなフォームでは、
OGKヘルメットは全く100%
使えない。アライ、ショウ
エイ、AGV、BELL党は一切
問題が無い。
アライ、ショウエイはどのモ
デルでも、最大限界前傾のこ
こまでのタンクにヘルメット
を密着させる位置まで伏せて
も、視界は良好に確保させる
設計になっている。ヘルメッ
トはアライ、ショウエイが
そうした視界確保の面では断
然信頼ができる。
SSモデルやレーサーレプリカ
のタンクの上面一部がへこん
でいるのは、あれはこのよう
なベタ伏せのレーシングフォ
ームの際に、ヘルメットの顎
下部分を少しでも沈ませる
ようにタンクに密着させる
ための造形だ。
車自体がいくらそのように工
夫された造り込みになってい
ても、肝心のヘルメットが
前傾姿勢で前面投影面積を小
さくした乗車姿勢の時に前方
視界が遮られるようでは、そ
れは乗車用ヘルメットとして
全く意味を持たない。
こうした確たる方向性の定め
は、ものづくりにおいては、
極めて製作者としての大切な
視座の在り方が厳しく問われ
ていることを物語っている。
道具とはかくたるものだ。
峻厳だ。
これは、実は、刃物一つであっ
ても同じ事がいえるのである。
人に寄り添わない、人間工学
を無視した物体は、いくら作
り手が自己自慢で俺の製品、
作品は天下一と盲信したとし
ても、たちどころに実力判定
の世界ではふるい落とされて
しまう。
現実は厳しい。
人に寄り添う、人と共にあら
んとせんとしないモノヅクリ
などは、何の価値も無ければ、
物としての実力も有しては
いないのである。
軍用銃などが徹底した過酷な
トライアルテストに供される
のは、作り手の絵空事の自惚
れなどは一切通じない本物の
力が要求されるからだ。
人の生き死に、国家の存亡と
いうマジもんの世界に俺様大
将のタコくそ頭は通用しない。
本物のみが評価される。
ヘルメットも人の生き死にと
深くかかわる道具だ。
命のためには、本物を選びた
い。