私は酒は飲むが酒博士では
ない。
酒の種類や歴史等を知識の
コレクターのように並べた
ててバーでバーテンダーに
蘊蓄垂れている客が時々い
るが、暗愚だと思っている。
それは、銀行経営者に自分
が持っている小銭の額を示
して「俺は金持ちだ」と言う
ようなものだからだ。
私は酒の事はよく知らない。
一般的知識程度しか知らない
し、カタログ数値を並べてて
物が解ったようになる思考法
には全く興味が無いからだ。
酒は「美味しい、不味い」と
「自分に合う、合わない」し
か無い。
そして、美味い酒に出会った
時には、その来歴所以を知り
たくはなるが、それを知って
酒の味が変わる訳ではない。
これ、動かしがたい事実だと
思う。
世界5大ウイスキーの一つと
して世界的に認知される日本
のジャパニーズウイスキーだ
が、私は「ジャパニーズウイ
スキー」としての日本のウイ
スキーの味が分からない。
バーボンとスコッチの違い程、
日本のウイスキーの特異性を
感じ取れないからだろう。
日本酒と焼酎の違いは飲めば
誰でも分かるだろう。
だが、私はジャパニーズウイ
スキーとスコッチの違いは
あまり感知できない。味に
おいてジャパニーズウイスキー
の存立基盤は何だろう、と
今でも思っている。
ウニとイクラ程に判る差異を
私はまだ見つけられない。
酒で一番好きなのはウイスキー
だが、酒蘊蓄を語りながら酒
を飲むようにはなりたくない。
目の前の酒について感想を述
べるのとは別な意図をそうい
うことをやりたがる人たちに
は感じるからだ。
日本刀について友人と話すと
延々と互いに刀の話で長話に
なる。
それは、自分の見解、所見と
作刀技法のどの部分がどうか
という事に関して相互に話が
広がるから。歴史論含めて。
こうしたのは、物知り顔の蘊
蓄語りとはまるで異なる。
所見が中軸にある。
酒についての蘊蓄を語りたが
る人は、酒を愛してその酒に
まつわる事や香り風味味わい
と作者の世界について語るの
ではなく、モノの本に書いて
ある事をただ覚えて語ってい
るケースが異様に多い。
バーでそれらはよく見かける。
根本的に何か違うと感じる。
そして、「俺とも違う」と。
多分、別な種族だろう。
二輪の世界でもそうしたカタ
ログ人間は結構多かったりす
る。キリンにぶん殴られたり
してたが(笑