昨夜、国営放送の某N○Kさんで、「ピアノ・華麗なるワンダーランドへようこそ」というタイトルの番組が放送されました。一応、ピアノ弾きの末席を汚している一人としては、それなりに気になるタイトルの番組だったので、観てみました。
ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、「おお、ワンダーだ!」というよりは、おおむね内容的にはピアノの構造とか、ショパンだ、ベートーベンだ、みたいな小学校の頃の音楽の授業のような感じでしたね。いや、別に変な含みはないですよ(笑)。僕みたいに「とびっきり、ワンダーなの」を期待して観たのは少数派でしょうし(笑)、あくまで、多くの視聴者の方を対象にしている公共放送ですからね。あれはあれで、色々と十分に楽しかったです。
だって例えば、
『ジョン・ケージというそのスジでは有名な作曲家に「4分33秒」という曲があります。これは、4分33秒の間、一切楽器を弾かない、音を出さない、という曲です。はい、では、聴いて下さい。』・・・これ、放送事故になりますね(笑)。えー、ちなみに放送事故ってのは、「10秒以上無音になること」なんですけどね。
まぁ、「その間の、あなたを含めた観客の咳払いだったり、服のこすれる音だとか、遠くで鳴いている猫の声を聴きましょう、それこそが、この曲なのです。」という詐欺まがいの曲なんですが(実際、客に訴えられかねなかった、とか。笑)。
はい、では観れる環境の方は、「どんなもんだか」、よろしかったらYouTubeでどうぞ。「4分33秒」(オーケストラ・バージョン。約55秒あたりから曲が「始まり」ます。別にピアノバージョンも「お聴き」いただけます(笑))。
ちなみに、このジョン・ケージという人には「0分00秒」という曲もあり、これも、「何もしない」という曲で、より短いです。だって、0秒ですから(笑)。本人の演奏(?)では、観客の前で水を飲んだり、タバコを吸ったり、文字を書いたりしたそうですが、詳細は良く判りません。実際にちょっと前にオーケストラでこれ一曲だけ『演奏』されたこともあるそうですが、「さすがにまずいだろう」と、アンコールでは何か他の音のでる曲を演ったそうです。面白いですよね。
また、エリック・サティという、誰もがきっとご存知の「3つのジムノペティ」という恐ろしいほどに美しい曲を書いた作曲家が、約1分ほどのモチーフ(断片)を840回繰り返す、という曲を書いています。840分といいますと、約14時間ですね。これは世界最長の曲としてギネスブックにも載っている「ヴェクサシオン(嫌がらせ」)という曲でして、これも実際に何度か演奏されてますが、大変だったでしょうね。注意書きには「大いなる静寂の中で、真剣に身動きをせずに弾きなさい」とも。
「さあ、それでは聴いていただきましょう!サティで、『嫌がらせ』です。」・・・はい、またしても放送事故ね、別な意味での(笑)。
さて、ここでひとつ、写真をご覧下さい。これは・・・ジョン・スタンプという作曲家の「妖精のエアと死のワルツ」という曲の譜面なんですが。楽器をされない方にもさすがにお分かりになるかと思いますが、これ・・・演奏は不可能です(笑)。でも、曲です。
えー、ほかにも演奏が事実上不可能な曲って歴史上にも結構ございまして。勿論、譜面はあるんですけど、作った作曲家が「一度も聴いたことがない」とかね。有名な演奏家が「一音たりとも理解できなかった」と投げ出した曲とか。他にも・・・あぁ、長くなるから、もうやめましょう。でも面白いですよね、ワンダーですよね。僕は、こういう話が面白いんです(←変人。笑)。
でも、こんな変なことばっかり放送したら、「なんじゃ、ワケわからん」って、みんなピアノ嫌いになっちゃったりしてね(笑)。
まぁ、とにかく音楽はワンダーということで。缶コーヒーじゃないですよってことで。
あ、ちなみに番組内で、大好きな上原ひろみさんが一曲披露してくれてましたが、これはもう実に、素晴らしかったです。
ではんだー。