ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




長くなるかもですけど・・・、よし、がんばって書こう。

 

先日の武道館のライブの朝、出かける前にテレビで長野での聖火リレーの中継をしていたので、準備をしながら見ていました。

案の定といいますか、何と言いますか・・・、やはり、トラブルはありましたね。

聖火を掲げて走る愛ちゃん(福原愛選手)のすぐ目前に、何かを必死に叫びながら男が乱入してきました。ビクッとおびえた愛ちゃん、そして、大勢の警備員に取り押さえられる男。他にも幾つかの妨害行為があって、騒動で流血をした中国人留学生の映像も見ました。あの物々しい雰囲気や、中継するアナウンサーの興奮気味のテンション感は、とても今までの聖火リレーのムードとはかけ離れていました。

翌日の朝も、繰り返し流されたこの映像。これを受けて、有名キャスターの○倉氏が、「しかし、良かったですねー。この程度で済んで。諸外国に比べて、大した混乱もなくて無事に終わって。」と言いました。・・・あれは本音でしょう。ある意味、解らなくもありません。死者が出たりしていたら・・・と思えば。でも僕は、このコメントにはものすごい違和感を感じました。「良かったの?これ?」

3月19日のブログで、チベット問題に触れました。あれからも、僕もずっと注目しているのですが、事態は好転していないようです。でも、確実にチベットという国の抱える問題が、世界中に知れ渡ることになりましたね。

あるジャーナリストが、「この聖火リレーは、もう一つの意味をもつ。それは、チベットを支援する人々の心のリレーだったということだ」と言いました。言いかえれば、「チベットという国の『命の火』のリレーだった」とも言えるように思います。それだけ、今、チベットという国の命が、本当に危ないのです。

おおげさな、と思われるでしょうか。でも、世界地図はいつも同じではないんです。10年前と今年とでも、もう国の数は違うんです。歴史を見ればお分かりになると思いますが、国は生まれ、国は無くなっているんです。アメリカだって、ほんの300年前には影も形も存在しなかった国です(勿論、陸地はありましたが)。同様に、たとえ1000年の歴史を持った国でも、あるとき、消滅することが、あるんです。地震や大津波で沈むのではありません。政治的な力によって、暴力によって、消されることがあるんです。

 

「パンチェン・ラマ」という名前を聞いた事がおありでしょうか。ダライ・ラマに次ぐ、チベット第二の指導者の名前です。ダライ・ラマも、パンチェン・ラマも、それぞれの死後、国中から「生まれ変わり」を探して、後継者とします。まるで超能力の検査のようですが、いつくかの物の中から、一発で先代の遺品を選んだり、予言にあったクセを持っていたりすることで、認定されます。

先代のパンチェン・ラマ10世が1989年に亡くなり、6年間の探査期間を経て、ゲンドゥン・チューキ・ニマという6歳の少年がパンチェン・ラマ11世として、ダライ・ラマ14世によって正式に認定されました。

しかし。その3日後。ニマ少年は、両親と共に、中国によって拉致・誘拐されました(最初は関与を否定していた中国も、翌年に「保護する目的で連行した」と認めています)。そして中国当局は、同年11月、ギェンツェン・ノルブという、まったく別の少年を「彼こそがパンチェン・ラマ11世だ」として、独自に認定します。なので現在、二人のパンチェン・ラマが存在してしまっていることになります。

そして、拉致から13年、ニマ少年と両親の消息はわかっていません。残されたのは、幼い頃の、一枚の写真だけ。チベットでは先週4月25日に、その写真を前にニマ少年の19歳の誕生日を祝いました(こちら)。

勿論これは、チベットの制度を逆利用した中国の策略です。

ダライ・ラマ14世は高齢ですから、この先、いつか亡くなる時がくるでしょう。その時、ニマ少年が見つからない限り、チベットの指導者は、一時的にとはいえ、中国側が独自に認定したパンチェン・ラマ11世、ノルブ少年ということになります(彼は現在、18歳。中国にいます)。実権の所在が、ぐらつくわけです。

しかし、当然チベットでは、すぐに新しいダライ・ラマ15世を探します。でも、それに何年かかるやもしれませんし、また見つけてもそれは少年ですから、本当の指導者として育つには、そこからまた長い年月を待たなければなりません。当然、チベットはその間、実質的に、リーダーが不在ということになるのです。強烈な宗教観を持つ人民の国ですから、これは、日本のように「総理なんて誰でもいいさ」というような考えとは全く違って、相当に精神的にピンチに陥るのは、想像に難くないと思います。国の、弱体化です。

そして、もしかしたら(いや、たぶん。一度やったし)、またもや中国は独自に「我々がダライ・ラマ15世を見つけた!」として、勝手に指導者として擁立してしまう可能性があります。

 

これ、お分かりでしょうか。そう、これこそが、「国の消滅」なんです。国の文化の、精神の消滅なんです。乗っ取り、って言うと分りやすいでしょうか。

 

中国は、チベットの僧侶を大量に虐殺してきました。寺院も大量に破壊してきました。そして、自国民を大量に送り込み、言葉も、仕事も、奪いました。「チベット人に任せていたら、国がダメになるよ。だってチベット人は、オレたちがいないと、働かないから」だそうです。・・・開いた口が塞がらないとは、このことです。100%きっちり、大きなお世話だと思いますが、どうでしょう。そもそも、チベットを作ったのはチベット人だというのに。

 

聖火リレーに話を戻します。1964年の東京オリンピックでの最終聖火ランナーには、スポーツ選手でも有名人でもなく、あの広島原爆投下の日に生まれた大学生、坂井義則さんが選ばれました。勿論、世界平和と、核の廃絶を願う、という日本から世界へのメッセージが込められていたのは言うまでもありません。

しかし、なんとその東京オリンピック開催中の10月16日、中国は、初の核実験を行ったのです。

オリンピック停戦決議、というのがあります。オリンピック期間中だけは、あらゆる戦争をやめよう、という、古代ギリシャ時代からの約束です。エケテイリア(聖なる停戦)ともいいます。が、彼らは「今、我々はアメリカの脅威に脅かされている。だから、わが国も核を持つ事で、自衛をし、それを世界平和の為の抑止力とする。」と発表し、原爆を爆発させました。

 

何すんだよー、もー。です。

 

・・・チベットの方々も、そう思っているでしょうね。しかも、あれから50年以上も、ずっと直接的な被害に遭われているのですから、極まりなく。

とっても、もどかしいです。

 

昨夜は、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」という映画を観ました。ブラッド・ピットは好きなのに、何で今まで観てなかったんだろう、と思いましたが、昨日見て正解でした。この映画が公開された1997年では、僕はこの映画の価値が、半分も解らなかったと思うからです。映画の舞台は、60年ほど前のチベットです。

世界最高、最大のチベット高原。富士山よりも高い、平均標高4500mのこの高原こそが、ほぼ丸々、チベット自治区です。その自然の美しさには目を見張ります。遮るもののない故、陰影のくっきりした太陽の光。満天の星空。当時のラサの様子。そして、役者による演技とは言え、若き日のダライ・ラマ14世の聡明さと透明感、そして抱きしめたくなるような人懐っこさ。一見の価値はあると思います。そして、一歩踏み込んでチベット問題を考えるにも、良い入り口になる映画かもしれません。

後半、歴史にあるように、中国軍が侵略してきます。しかし、それをも笑顔で暖かく迎え入れようとするダライ・ラマ少年の善意を、無残にも踏みにじる、中国。非道、ここに極まれり、といえます。その冷たさは、見ていてゾッとするどです。

そして、この美しいチベット高原には、現在、中国の核廃棄物処理場が点在してるのだそうです。

この映画は、勿論、といいますか、案の定、中国では上映禁止になりました。そして、主演のブラッド・ピットと、もう一人の助演男優デビッド・シューリス、そして監督ジャン=ジャック・アノーは、中国に生涯、立ち入りを禁止されたのです。

 

「中国、もー、なんかイヤ」という人が、世界中にすごい勢いで増えてきているようです。僕も、昔「西遊記」を見ていた頃は憧れすらあったのに、正直、最近見方が変わってしまいました。別に、悪い人ばっかりとは思わないし、そんなはずはないんですけれどね。どうしたものでしょうか。

しかし、もはやアメリカと同じ額の貿易を中国と行っている日本としては、なかなか強く、はっきりとはモノが言えないようですね。前も言いましたが、今の日本は「国家という商売」という一面が、精神性に優先していますから。経済って、必要なものだとは思いますが、怖いですね。

仲良くできるなら、するべきだし、したいけれど。そのためには、まず、話をしなければなりませんよね。しかも、本音で。

今のような、上っ面のへつらい外交と、世間に広がる嫌中の雰囲気の板ばさみの中では、いつまでもお互いが解らないし、それじゃ、仲良くはなれないと思うのです。「おまえ、間違ってるよ。ちょっと、座れ。」と言ってくれる友達こそが、本当の友達だと思いますしね。日本と中国が、チベットが、皆が、お互い、そう言い合って「そっかー、なるほど。わかった。じゃあ、どうしたらいいかな。」って、お互い笑顔で前向きに話し合える日が来ると、素晴らしいんですけど。

・・・と、ちょっと高望み過ぎの理想論で締めておきましょうかねー。でも理想は、理想ですから。でも、今のままじゃなー。・・・あんまりネガティブな事は言いたくないですが、オリンピックまでもが「良かったですねー。この程度で済んで。」な感じじゃ、なんか嫌ですよね。ちゃんと大成功してもらいたいですよね。テレビでのスポーツ観戦はあまりしませんが(相撲以外は)、そんな僕でもオリンピックは、毎回とっても楽しみにしてるんです。ロビー活動とか、草の根外交とかしかないのかな。ちゃんと話し合える、いい中国人の友人が欲しいです。

どう、思われますか?

長くなりましたが(・・・いつものことかな(笑))、でも大切な話、読んでくれて、ありがとうでした

ではー。



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