ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




レッスンに、「昔聴いていたものですが、久しぶりに手にしたもので」と、

アナログレコードを持ってきてくださった方がおられました。

僕の大好きなキースジャレットの「ケルンコンサート」と、

ビリージョエルの「ビリー・ザ・ベスト」

 

やっぱりね、大きなジャケットはいいですよ。

そして、盤も素晴らしい。

歌詞も、ページを捲らなくてよいのも、改めて良かったです。

 

一目で全曲の歌詞が見える、そして、盤を見れば、溝が見える。

なんだか、「このアルバム全体で、こういうものなんだよ」という、

俯瞰した目で見れるのが、とっても心地よく思えました。

 

よく、CDは飛ばすのが簡単で・・・といいますが、もうそれは本当にそうなのですが、ちゃんと聴くにしても、

ディスプレイで「今どのくらい聴いたかな」「あと何分あるかな」なんてのがすぐにわかってしまって、

「ああ、もうすぐ終わりだ」とか(見なければいいんですけどね)。

 

なんとなくですが、先の見えないワクワク感のようなものが、

そして同時に、全体でこのくらい、という先の見える安心感のようなものが、

アナログ盤を聴いている頃にはあったように思います。

 

とにかく、アルバムを通して聴きましたから、

いわゆる「捨て曲」「穴埋め曲」なんてのがあったとしても(全て名曲、というアルバムも勿論沢山あります)、それも好きになってましたし、

流れで聴けていたので、アルバム毎のトータルの印象のようなものが、今よりもしっかり残っていたように思います。

 

 

で、音質も最高に良い。

 

CDはかなりの部分を犠牲にしているのはご存じの通りですし、

MP3やAAC(よくiPhoneやiPodなどで使われる圧縮形式)などは、さらにその10分一くらいまでデータを削っています。

 

僕たちミュージシャンは、多くの場合、音楽を資料として聴くことがありますので、そういう場合でしたら、圧縮されてたっていいわけです。要は、そのメロディであったり、フレーズであったりが聞き取れれば、資料としては良いのです。

 

・・・が、鑑賞するとなると、これは別物です。

 

できることなら、アナログで聴きたい。

前にも書きましたが、一年に一度でもいいから、アナログの音をしっかりと身体に刻み付ける日を作りたいものです。

あの、太くて、圧倒的に暖かくて、気持ち良い音を、浴びてみたいものです。

 

思えば、小学生、中学生の頃から、高校、大学生の頃まで、

ずっとアナログレコードの音(あとはカセットの音ね)を聴いてきたわけですからね。

 

いわば、僕(や、僕たち世代)にとっての、音楽の「オフクロの味」的なものは、アナログの音なわけですよね。

 

ずっと、いつのまにか、

プラスティックの容器で、インスタントのものを食べているような、

ちょっとだけ、そんな気すらしてしまいます。

 

 

あとは、ライブが頼り、ですかね。

これは、まだまだ、生の音が聴けますね。

 

アナログレコードを(これはジャズ喫茶や名曲喫茶とかかな)、

そして、ライブを

そう、本物の音を、

聴く時間を、できるだけ作りたいですね。

 

耳に、サプリメントではなくて、本物の栄養を摂らせてあげなきゃな、

なんて、アナログ盤を眺めながら、

 

・・・じっと1分くらい、考えてしまいした。

 

ではー。

 



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