(手の中にすっぽり納まるフィット感と携帯に便利な大きさが良い)
引き出しの奥から電気シェーバーが出てきた。
松下電器(現パナソニック)製のES-505。単2乾電池を1個使うタイプ。
実はこれ、45年前の昭和48年、
高校3年生の最後の春に、奈良の東生駒駅の近商ストアで確か1580円で買ったもの。
いや、買ったのでは無い。当時の彼女に買ってもらった進学祝いのプレゼント。
奈良を遠く離れて千葉で学生生活をするために必要だった。
幸いな事に電池は抜いてあったので液漏れはしていない。
接点を軽く磨いて新しい電池を入れたら回ってくれた。
乾電池1個で動くシェーバーは力強くは無いが、
たいした髭など生えてなかった大学時代はこれで充分だった。
週に数回の使用。使うたびに奈良を思い出していた。
千葉県松戸市小金の6畳間の下宿。
深夜になるとラジカセのダイヤルを回して関西の曲を探す。
夜だと雑音混じりだがラジオ大阪が聞こえることもあったのだ。
関西に帰りたくて帰りたくて仕方の無い4年間だった。
卒業して電気メーカーに就職し岩手県勤務になった。
秋田の得意先からブラウンのシェーバーをつき合いで買った。
だんだんそれが馴染んできていつの間にかES-505は使わなくなった。
髭が濃くなるにつれ、だんだんと奈良から遠ざかったようなものだ。
何だかんだと色々あって、また奈良に住んで20年以上が過ぎた。
人生、どこでどうなるか本当にわからないものだ。
出てきたシェーバーで45年前の思いが少しだけ蘇った次第。
(パナソニックの凄いところは、まだこれに合う内刃外刃が売っているということ)
(対応機種の中に、ES505と書いてあるのを見つけた時は嬉しかった)