【ツバキ属初の黄花として脚光、今では中越両国で50種以上も】
ツバキ科ツバキ属の常緑中低木。50年前の1965年に中国南部のベトナム国境に近い広西チワン族自治区で発見された。ツバキ属の仲間は中国の中南部から日本、東南アジアにかけて広く分布するが、黄花はそれまで知られていなかった。それだけにキンカチャは大きな注目を集めた。
和名は漢名「金花茶」の音読み。学名は「カメリア・クリサンタ」。ラテン語で「金色のツバキ」を意味する。英語でも「ゴールデン・カメリア」と呼ばれる。半日陰の暖かく湿った場所を好み、冬の初めから終わりにかけて、径3~7cmほどの色鮮やかな盃形の黄花を付ける。葉は長楕円形で長さが15cmほどもある。
黄花ツバキは今から100年以上前、フランスの植民地だったベトナムで最初に採取され標本としてヨーロッパに送られた。だが、その後の長い戦乱もあって実物が確認されず「幻の花」といわれていた。そんな中で発見されたのがこのキンカチャ。その後、中国で新種が続々と見つかり、1990年代半ばから調査が本格化したベトナムでも発見が相次いだ。これまでに両国で見つかった黄花は50種を超える。
園芸関係者の悲願は交配によって耐寒性に優れた色鮮やかな黄花ツバキを作り出すこと。日本では1880年代から主にキンカチャとヤブツバキの掛け合わせで交配が盛んに行われ、新品種が次々に発表されてきた。だが、その多くは黄色というよりクリーム色がかったもの。観賞価値の高い黄花の誕生にはもうしばらく時間がかかりそうだ。