【ブラジル原産、アオイ科アブチロン属の半つる性常緑低木】
アオイ科アブチロン属(イチビ属)の植物は熱帯~亜熱帯に100種以上分布する。そのうちブラジル南部原産で半つる性の「アブチロン・メガポタミクム」に、「ウキツリボク(浮釣木)」という和名が付けられている。ただ、一般には「チロリアンランプ」という名前のほうが広く親しまれている。
花はその名の通り、小さなランタンを吊り下げたような形。和名の「ウキツリボク」は花の形を魚釣りのためのウキに見立てた。長さは5cmほどで、袋状になった赤い萼(がく)の先端から黄色の花弁が顔を出す。鮮やかな赤と黄の色のコントラストが目にも鮮やか。その花冠からさらに雄しべが花柱を包み込んで突出する。
花期は長い。初夏から晩秋まで次々と咲き続ける。熱帯性のアブチロンの仲間の中では寒さにもなかなか強く、関東以西なら戸外での冬越しも可能。繁殖力も旺盛。発根しやすいため挿し木で容易に増やすことができる。この写真を撮らせてもらった庭の持ち主の男性は「特に梅雨のこの時期が挿し木に最適」と話していた。
同じ仲間の「アブチロン・ストリアツム」は「ショウジョウカ(猩々花)」という和名を持つ。葉に黄色の斑(ふ)が入る「キフ(黄斑)アブチロン」はその園芸品種。ウキツリボクとショウジョウカの交配によって生まれた「ヒブリドゥム」からは多くの園芸品種が生まれている。花の色は多彩で、花は傘状に広がる。大輪のものもある。単に「アブチロン」という場合、このヒブリドゥムとその仲間を指すことが多い。