お位牌と並んでお供えしてある過去帳には、余りにも短命だった3人の弟の名前が両親よりも先に記載されている、写真がないので顔に覚えはないが、子供心に悲しかった思いは忘れてはいない。
次男は疫痢で4歳、3男はシフテリアで3歳,5男は未熟児で生後22日で亡くなる、「兄ちゃんのように長生きしたかったよ」と、85歳になった爺を羨ましく思っているかも。
昭和13年、爺と年子だった次男は一緒に疫痢になった、爺の枕元には鉄砲が、弟の枕元には戦車が、買ったばかりの玩具を覚えている、戦車で遊ぶことが叶わなかった次男はお墓の中へ持って行った。
昭和20年、3男は汽車で20分ほどの専門医の居る町まで母におんぶして行く途中で亡くなり、未熟児の5男は、昭和21年当時は助からないと諦めていた、今だったら3人とも助かっていたのにと。