若者4人に除草してもらった庭に、毎日のように若い草同士が競争しているかのように顔を出してくる。近所の奥さんから紹介された軽いステンレス製の鍬で、珍しさもあって、自ら草を取っている。
今では、草を見ると気になり、髭剃りのように、草取りの習慣がつき始めたようで、鍬の使い方も上手になってきた。時々、今度生まれてくる時は「美しい花になって来いよ」と独り言を呟いたり。
草取りと言うと、故人となった近所のA婆ちゃんを思い出す。広い庭には、一年を通して色々な花を育て、周りは何時見ても草一つ見当たらない。よその庭の草でも、目に入ると取る人だった。
かがみながらの草取りと違って、老体になった腰への負担も少なく、楽に出来る一本の鍬のお陰で爺の心境に大きな変化があった。何時まで続くだろうか、涼しそうな庭を見るのが楽しくなった。