シルバー川柳の入選作品「もったいない気づけば我が家はゴミ屋敷」は、昭和一桁生まれの老夫婦の生活そのもの。二階にある品々は、捨てられる日を待っているものが大半である。
デパートの包み紙や紙袋、お菓子の空き箱や空き缶、段ボール等々、何かに使えるからと捨てずにとっておく。あとで利用するのは稀で、たまに利用しながら増えるばかり。
食べ物も、衣類も不足の時代を体験した世代である。形あるものを捨てることが、粗末にするという罪悪感さえ覚え、勿体ないという固定観念に凝り固まっている。
結婚63年目の老夫婦ともなれば、着ることのない衣類、読むことのない本、使うことのない瀬戸物で埋まっている。処分する気持ちになれないまま、息子たちに引き継ぐことになる。