2007年春のこと、74歳だった爺は家内と市内の小さな民芸館を訪れた。経営者は県衛生部の先輩で新潟県衛生研究所臨床検査技師のクニスケさんだと知り、趣味で集めた民芸品を公開していた。
小生も家内も衛生部の後輩だったことから、初対面なのに現役時代の共通話題に花が咲いてしまった。クニスケさんは91才、84才の奥さんと共に年齢を感じさせない若さと元気にびっくりした。
その後も折に触れ訪れて食事やお喋りしながら親しい間柄になってしまった。何時も帰りには家内の手を両手で握り締めながら「また来いや」と、すっかり家内が気に入られてしまった。
2015年2月、綺麗な仏様になって行年100歳で旅立たれた。前年の秋にお会いしたのが最後、今に思えば別れの挨拶だったのか、よく来てくれたと初めて涙を流して喜んだ姿が忘れられない。