「天災=免責ではない」製品供給の損害賠償
契約、特に米国法の契約には、不可抗力事項を必ず織り込む必要がある。
今だ、東日本大震災で被災した工場の復旧は進んでない。一部操業はしたものの、まだ完全復旧に向け懸命の努力が続いている。
未曾有の「天災」は、取引上の免責事項に当たるのか?契約書になければ、免責にならない可能性すらあるという。記事が日経ビジネス誌に掲載されている。
誰もが経験したことのない未曾有の「天災」だから、製品をし出荷できなくなるのはやむを得ない、あるいは当たり前だ。日本人なら誰でもそう感じるところだろう。
だが、場合によっては、「天災=免責」にならない可能性があるという。その理由を、法律の専門家は、次のように解説している。
今回の大震災で損害賠償が発生しないとほぼ確実に言えるのは、「取引の契約書に、天災地変が生じた場合に当事者の免責を認める「不可抗力事項」がある時だ。」そうだ。不可抗力事項がなくても、「契約が日本法に基づいていれば、日本の民法では債務者(この場合日本の部品メーカー)の責めに帰すべき自由によらない債務不履行について、損害賠償の義務は発生しない。」とされているそうだ。ところが、米国法に基づく契約で、不可抗力事項がない場合は、免責にならない可能性があるという。米国でも契約において、予期できない出来事が起こらないことが前提条件となっている場合には、免責になることがあり、この場合には、納品が遅れたり、できなかったりすることを取引先に通知することを要件としている。
取引先企業が米国の裁判所で損害賠償請求訴訟を提起し認められた場合は、日本の民事訴訟法は、この勝訴判決の内容が日本の公序良俗に反する場合は、日本での効力はナイトしているが、それを判断できる判例はないという。日本の民法は「不可抗力を理由に、金銭を支払う義務を免れることはできない。」としており、「日本の公序良俗の中に不可抗力による免責を常に認めるという考え方は入っていない」といっており、実際には、不可抗力も含めてリスクを負うという考え方もあるだけに、米国での勝訴判決を覆すには一定のハードルがある。ということらしい。
大災害の教訓の一つとして、覚えておく必要があるのではないでしょうか。いずれにしても、工場が被害を受けた際には、工場が出荷できないほど被害を受けたことを立証する必要があるので、写真など、被災の具体的な証拠を保存しておくなど気をつける必要があるようです。
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