ドノスティアDonostia、とバスク語の愛称で呼ばれることも多いサン・セバスチャンは「ビスケー湾の真珠」と呼ばれる美しい町で、19世紀にハプスブルク家の王妃マリア・クルスティーナが保養地として以来、避暑地として世界中に名が知られるようになった。扇形に広がる海岸の両端にふたつの丘がそびえる。東側の丘モンテ・ウルグルに建つ城の上からはキリスト像が町を見下ろしている。そのふもとの旧市街には、信じられない数のバルとレストランがひしめきあっている。
海岸沿いを歩いて西側の丘モンテ・イゲルドにむかい、フニキュラ(ケーブルカー)で頂上に登ると息をのむような絶景!青い海と丘陵にまで広がる町並みがとても美しい。てっぺんにある遊園地も真っさおな空と海に映えてとても絵になる。時間を忘れてしまうのは木造の古いフニキュラも同じか。行きも帰りも、いつ出発するのか分らないほど中で待たされたよ。のどかすぎだな。
シエスタ(昼寝)のある国スペインでは、午後1:30 ~4:30 ぐらいは商店がみな昼休みになる。皆家に帰ってランチを食べ、本当に昼寝をするのだろうか?ビーチもそのせいか、4時頃に丘を登る前に通った時は海水浴客もまばらだったのに、丘から降りてきた夕刻には芋の子を洗うほど混雑していた。スペインでは昼食は2時頃から、夕食は9 時頃からなので、少し涼しい夕食までの数時間、大いに太陽をエンジョイする国なんだろう。ちなみに午前11 時と夕方6 時頃には、メリエンダというおやつタイムがあるそうだ。
日本を発つ前に、『弾丸トラベラー』というテレビ番組でタレントがサン・セバスチャンに1泊4日の食べ歩き旅をするのをYouTubeで見た。そこに出てきたセルーコ Zeruko というピンチョ・バーには絶対行きたくて、ホテルのお姉さんにしっかりと場所を聞いておいた。
町でも話題の店らしく、パフォーマンスは期待を裏切らないものだった。まるで理科の実験のような前衛的ピンチョスだらけ!一体何なのか分らないものがほとんど。残念ながらここで食べたものでうまい!って思うものはなかったけど、創造力に感心しに行く価値は十分あった。
ところで、どこのバルもカウンターはものすごい混雑をしていて、注文を紙に書き留めるわけでもない。なのに、ドリンクやピンチョスを受けとってもお金を請求されることもなく、帰る時に自己申告すればよいようす。絶対に注文を全部覚えているバーテンダー、バーメイドはいないよな~って思うこと、何度もあった。セルーコでも、こんなに安いはずないよな、ってびっくりしながら店を出てきてしまった。スペインの他の町ではここまで人間を信用しないだろうなぁ。スリはいないし、しつこいジプシーの子供の物乞いや花売りはいないし、本当にバスクは最高だった。
教会の時計を見ると、この明るさで夜の9:45↑
ピンチョスじゃなくて、ちゃんとしたディナーを食べようか、とお勧めのレストランに予約を入れて行った。バスクは肉も美味しいんだからステーキを食べるべきだったんだろうけど、前の夜、延々とピンチョ・バーをハシゴして午前零時前に食べた、たった5ユーロほどの下の写真の牛ステーキ↓ と豚肉の煮込みでもう肉は十分だわ、って気になっていたので、蟹身とアンチョビが載ったサラダと、生簀のロブスターのウィスキー・ソテーにした。サラダはちゃんとロメイン・レタスの芯だけを使った正統派、焦げたソースが殻にからまったロブスターもなかなかだった。でもやっぱりこのグリル担当シェフが焼く肉は食べるべきだったかな。
午後10時を過ぎるとどんどんとレストラン街は賑やかになってくる。どの店も長蛇の列で、座席待ちの子供連れが11時頃から入ってくるっていうのにはびっくりする。シエスタで子供達は十分睡眠取れてるってわけなのか?
夜も更け、旧市街から続く海岸は高級ホテルの灯りや遊歩道の街灯が波に光って美しい光の競演。食べつくしたあとは、豚にならないために新市街のホテルまで遠周りしながら歩いて帰る。これ絶対不可欠。。。