チャオ・ダル・マーレ  CIAO dal MARE    (旧キッチン・マーレ)

Eat Well・Drink Well・Live Well
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バスク その5

2012-08-17 | グルメ色な日記

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このバスク旅行記を読みすすめてくれているみなさん、一体どれだけ食べてんの??といい加減に呆れていることだろう。実はそれほどでもないんだよ、写真が多いだけ!そして残念ながら食の話も終わりに近づいてきてしまった。

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サン・セバスチャンのホテルに着いた日、ホテルに置いてあった「ピンチョス・バー巡り」というチラシに目がいき、フロントのお姉さんに尋ねたらそのツアー会社に電話をしてくれた。電話に出たオーナーのジョンはイギリスから移ってきてフード関係のツアー会社を興した元シェフとかで、英語が話せるので電話を代わってくれた。説明によると地元ガイドと一緒に 6 軒のバルを訪れ、1軒につきピンチョス3 品とドリンクを飲み食いするそうだ。嫌いな食材があったら好みのものに作り替えてもくれると。

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でも話をしていると、ほかにも山の中のチーズ作り見学やリオハのワイナリー巡り、そしてちょうど次の日には料理教室が開催されるっていうから、友人と相談して料理教室に参加することにした。そうと決まったら、ピンチョス・バー巡りは自分たちでするかってことになったわけで、一晩に6 軒とはいかなかったけれど、バスク人にならって朝から晩まで頑張った。
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さて翌日集まったのはアメリカ、スイス、スコットランド、そして私達日本の10人ほど。カップル、母と娘、子供連れなど色々。英語が話せるガイドのエリーとワゴン車とタクシーに分れて乗り込み、町から15分東へ走った小さな漁港で渡し船に5分ほど乗って対岸へ。

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Dsc_1685_3サン・セバスチャンが物流の町として発展したのもこの河港のおかげだろう。対岸のサンファン San Juan には有名なシーフード・レストランが何軒かあり、そのうちの1 軒シァボガZiabogo (上の写真↑右手、ボート降ろし場のすぐ右)の厨房でシェフ 三人に色んなピンチョスを教えてもらうそうだ。天気はいいし、すっかり観光気分でウキウキ。参加した人達も料理人の卵だったり、食にこだわりがとってもありそうだったりで、会話も弾む。実は先回触れた『弾丸トラベラー』にもう一つ老舗シーフード・レストラン、カサ・カマラ Casa Camara というのが登場したのだが、そこはどこ?ってホテルの人に聞いても、ああ、そこは船でしか行けないよ、ちょっと遠いよ、と言われて断念していた。なんとその店が数軒隣にあったので(左上の写真)、目標貫徹した!って気持ちになった。

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オーナー・シェフとスー・シェフ(二番手)はどちらも全く英語が話せず、アイルランドから修行に来ている若いシェフだけが英語オーケー。三人がそれぞれ全く違う料理をするので、ぐるぐると好きなところについて回ればいい、となんとも楽ちん。アイルランドのシェフはマグロをさばくのでそれを学びたい人はどうぞ、って言われたけど、ここまで来てそれは別にいいかな~と、私と友人はなるべく労働の少ないところをぐるぐる。

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メニューは黒板に書いてあるけど、なんだか分んない、ただ凄い品数ってのは分る。通訳ガイドのエリーはあっち行ったりこっち行ったりで、すべてを網羅できない。行き当たりばったり的なレッスンが実に適当でスペインぽくて良かった。通訳がそばにいなくてもスペイン語でしゃべりまくられて、みんな適当にフンフン頷いてるし。レシピもなくて、あとで事務所に戻ったら渡すからって言われたからちゃんとメモを取らなかったら、あとでもらったレシピは全くこの日の料理に関係ない、この会社がみんなに渡しているレシピ集だった。おかげで今でもキツネにつままれたままの料理がたくさん。ま、舌で覚えて再現せよ、っていう昔の基本形だね。あんまり料理をしない友人はいまだに、メールしてレシピもらってよ、ってうるさいからそのうち請求してみようか。でもシェフたちは実に適当に調味料入れてたから、書き留めたレシピなんて元々ないと思うけどな。

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生徒の見本、ちゃんと私がノートに書き記したこの日のメニュー:

  • マグロのタルタル、ガスパチョソースかけ
  • 手長海老のカルパッチョ、グアカモレのせ
  • 野菜天ぷら、焼き鳥ソースかけ
  • 鴨のソテー、カラメル・アップル添え
  • 鱈科のヘイク、ポテト、カニ身のミルフィーユ、海老ソースかけ
  • パンチネータ(アーモンドクリーム入りパイ)

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その他に指でつまめるオードブルいろいろ。。。

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まさか日本人が参加しているとは思わなかったよ、と、野菜の天ぷら串メニューには少々恥じらいながらも、焼き鳥ソースの味はどう?とスー・シェフは心配そうに私に味見を促す。中国の黒酢、白ワインなど全く日本の焼き鳥ソースとは異なる調味料で作っていたけど、意外と美味しいいよ、と言うととても喜んでいた。

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あらかた料理が出来上がった2 時頃には店が通常のランチをはじめるので、私達は追い出されてテラスで優雅なランチ。

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Photo_2ところでバスクの微炭酸白ワインのチャコリ txacoli は、底の平たいグラスに随分と上から一気に注ぐのだが、その理由もやっとエリーに教えてもらえた。1年以内に消費しないとまずくなる若いワイン(ボジョレ・ヌヴォーもそう)、つまり、たいしたワインではないので飲むときに空気にたくさん触れさせて味をまろやかにしているのだった。酸味が強く、アルコール分の低いチャコリはアペリティフ(食前酒)として飲み、食事中は白ワインを飲みながらとってもリラックスしたランチを楽しんだ。

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岸辺に住む住人たちは自分側の景色が一番と信じているから対岸の景色を見たくないんだって。そして、お互いに最高の景色だと言うのが前を大きなタンカーが通って相手側が見えない時なんだよ、とエリーのジョークを聞いていたら目の前をタンカーが通過して行った ↓ 。

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こんなにたくさん食べるのに、バスク人はどうして太ってないの?とエリーに聞くと、一度に大量でなく、少量を1日に何度も食べるから、そしてたくさん歩くから、という返事だった。その通りだなぁ。町にはタクシーは見当たらず、ビルバオでもここでもタクシー乗りたいって言うとみんなに、ノーノー、近い近い、歩け歩け、といつも言われてきた。彼らの距離感と時間感は我々とは大分ずれてて、実際にはいつもその三倍はかかってしまって、毎日6、7時間歩く羽目に陥っていた。日本じゃ暑くて歩けないけど、なんて健康的な日々だったんだろう。

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