1.平成26年度労働保険の年度更新手続等について
2.ストレスチェック制度の効果的な活用法(株式会社アドバンテッジリスクマネジメント 神谷学氏)
3.第12次労働災害防止計画と改正労働安全衛生法案(東京会・北岡大介社労士)
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1.平成26年度労働保険の年度更新手続等について
労働保険の保険料は、毎保険年度(4月1日から翌3月31日まで)を単位として計算する。
その年度における申告の際に保険料を概算で申告・納付し、
翌年度の申告の際に確定申告の上、保険料を精算する仕組み。
申告・納付の期限は7/10。
・今年度の一般拠出金率は1000分の0.05から1000分の0.02に引き下げられている。
・算定基礎額は、
「平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に使用したすべての労働者に
支払った賃金総額(支払うことが確定している賃金を含む)」。
⇒
※従って、例えば末日締翌月25日払いであれば、
平成26年4月25日に支給した給与までが労働保険料計算の対象になってくる。
※これは社会保険の「算定基礎届」
(4月、5月、6月に実際に支給した金額が計算の対象)とは異なるので注意が必要。
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2.ストレスチェック制度の効果的な活用法(株式会社アドバンテッジリスクマネジメント 神谷学氏)
「ストレスチェック制度」が義務化される方向だが、
その中でどのように活用されるべきか、という紹介。
□ストレスチェック制度の活用法としては、労働者(個人)と事業所(組織)の2つに大別される。
個人では
・「休息をとる」などのセルフケアによりストレスを軽減できる
・制度の基本フローで「希望する労働者は医師との面接を受けることができる」とされているので、
医療の専門家にアクセスしやすくなる
組織では
・パワーハラスメントや過重労働などが高ストレスの要因と把握できた場合は
会社としてストレス要因が除去されるよう働きかけることができる
・管理職のラインケア研修に繋げることができる
□ストレスチェックの効果を測定する指標としては
「メンタルヘルス不調者数や休職者数の減少」が挙げられる。
但し、労働者が自分のストレス状況に気付いて医師への相談件数が増えるため、
多くの場合、導入当初は不調者数や休職者数がかえって増加する。
□ストレスチェックを生産性向上に繋げることが必要。
ストレス度は高過ぎてはいけないが、低ければ良いというものではない。
そのため、労働者のストレス度に加え、モチベーション、コンピテンシーなどの
指標も測定し、改善することが重要。
このような項目を含むストレスチェック・システムを導入することで、
組織の生産性向上を視野に入れることができる。
※労働安全衛生法が改正される中で、「ストレスチェック」の必要性は高まるだろう。
その中でのストレスチェックの活用法が記載されている。
ただ筆者が「メンタルヘルス業界」の上場企業の取締役であり、
若干「商売っ気」を感じなくもない。
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3.第12次労働災害防止計画と改正労働安全衛生法案(東京会・北岡大介社労士)
「労働災害防止計画」とは、労働災害を防止するために国が重点的に取り組む5か年計画。
この計画に盛り込まれる労災防止対策の一つとして注目される
労働安全衛生法案で新たに設けられる施策について紹介。
□メンタルヘルス対策の強化
現状の対長時間労働者に対するものと同様、
「(1)事業者がストレスチェックを行い、
(2)労働者の申し出に応じて医師による面接指導等を実施し、
(3)必要な措置を講じること等」
を新たに設ける。
ストレスチェックの目的は「ストレス状況の把握」であり、
個々の労働者の精神疾患等の発見ではない。
またストレスチェック結果は労働者個人のプライバシー情報にあたるため、
まずその内容は労働者本人のみに通知させ、
本人の同意なく当該結果を会社側が知ることができない仕組みとする。
ただ労働者個人が特定されない形での、職場ごとのストレス状況の評価結果については、
労働者の同意は不要、という方向。
面接の申し出(2)を理由として、労働者に対して不利益な取扱をしてはならない。
「不利益な取扱」と判断される行為等は、今後、指針等で定められる予定。
当初は全事業場・労働者に適用される予定だったが、
以下のような法案修正がなされた。
・労働者50人以上の事業場に対してのみ、メンタル健診義務化。
50人未満の事業場については努力義務
・希望する労働者のみに検査実施義務。
労働者の受診義務規定は削除。
※このあたり、「努力義務」とされている事業場でメンタル健診を実施した場合の助成金等も
新設・或いは現状の「中小企業労働環境向上助成金」の拡充、といった形で
為されるかも知れない。
□企業単位で安全・健康に対する意識改革を促進する仕組みの導入
第三次産業(社会福祉施設、小売業・外食産業)で労災が増加していること、
同様の重大な労災が同一企業の別の事業場で繰り返し発生する事案が見られることから、
・法令に違反し、
一定期間内に同様の重大な労働災害(死亡災害又は後遺障害7等級以上を想定)を
複数の事業場で繰り返し発生させた企業に対し、
・再発防止対策のための体制整備や具体的な対策を講じる計画策定を
厚生労働大臣が指示できる仕組みの創設
・労災を繰り返し発生させた企業が労災再発防止対策に取り組まず、
同種災害が再発する事態が想定されるとき、
必要な勧告を行う
これに従わないときは、企業名公表などの仕組みを併せて設ける
□受動喫煙防止対策
受動喫煙を防止するため、
事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずることは
事業者の「努力義務」にとどめる。
一方、受動喫煙防止対策に取り組む事業者に対し、
「国は、喫煙専用室の設置の促進等の必要な援助に努める」規定を設ける。
これを根拠に受動喫煙防止対策助成金の継続実施、
無料相談、たばこ煙の濃度等の測定機器の無料貸出などの
施策を実施する予定。
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