火曜の夜は繁昌亭へ。
割と早くチケットを入手していた松葉の十七回忌追善公演。
パンフに略歴が書かれていた。
昭和27年に生まれ、平成8年に44歳で亡くなり、
平成9年に七代目松鶴を追贈された松葉。
今年、十七回忌を迎え、
生きていれば丁度60歳になる勘定。
「軽業」(鶴二):△+
前座だが「独楽」で上がってくる。
持ち出囃子だから当然といえば当然なんだが、
やはり松葉を思い出す。
松葉の思い出話、習ったネタということでこのネタ。
「もぎ取り」は「1間のイタチ」と「取ったり見たり」のみ。
サゲは「軽業中が痛い」ではなく、「長口上は大怪我の元」。
出来はごく普通で、全体にあっさりやっていた。
パペット落語「がまの油」(鶴笑):△
鶴二と一緒に稽古に行った話など。
このパペット落語は初めて見た。
「がまの油」の仕込を少しだけ見せ、
酔っ払ってからの口上を刀やガマを出しながらやっていく。
どうせバカバカしくやるのだったら、
刀で切った血が止まらないところを、
ビニールテープか何かで見せても良いかな、と思った。
生々しくなってしまうとマイナスだろうが、
マンガチックに出来るのでは、と思う。
「京の茶漬」(春若):△
同期の話などをして、岩田寄席の思い出からネタへ。
大阪からやってきた男の喋り方をかなりクサくしてウケを取っていた。
この演り方が良いとは全く思えないが、
現在このネタで多くのウケを取ろうと思ったら、
こうするしかないのかなあ。
クサくすればする程不快感が増すし、
爆笑をとろうと考えてこのネタを演ることが正しいとも思えないのだが。
「蛸芝居」(松枝):△+
「ためいき坂、くちぶえ坂」の話を少し。
あまり変わらない人で、さして上手いとも思えないが、
昔に比べて変なアクやクセが気に障ることは減ったと思う。
この芝居噺も丁寧に演っており、
特に不満は持たず。
「音曲漫才」(姉様キングス):○-
久し振りに見た。
あやめがバラライカではなく小さな三味線を持っていた。
「都々逸」「松竹梅」「アホダラ経」。
松葉追善に合わせたネタをきっちり入れているのは、
当然と言えば当然だが、流石。
「繁昌亭ラブソング」(福笑):△+
少しマクラを振り、よく演っているこのネタ。
最初の方に松葉にちなんだ替え唄等を入れていたが、
特に大きくいじってはいない。
まあ、こんなものかな、という印象。
大喜利
伯枝と岐代松が出てきて少し思い出話などをして、
回答者を呼び込んで始める。
「謎かけ」「1から10まで」。
遊びと言えば遊びだが、落語が全て終わって
出演者の意識が散漫になっていた印象。
途中で文福が飛び入りで答えたり、
松枝が普通に携帯で写真を撮っていたり。
「一から十まで」、まあ面白かったが
「億」「兆」「京」と進めていた。
回答の質としても、また客の意識からしても、
「兆」(「ちょうど時間となりました」)で切れば良かったと思う。
全体に「追善」のお祭り、という雰囲気ではあるが、
落語会としては別段良いものとは思えなかった。
あと、松葉と言えば太鼓の名手であったのに、
太鼓を含めてお囃子があまり良くなかったのは残念。
特に笑福亭を好む者としては、
大喜利の出囃子で使った「舟行き」はもっとちゃんと叩いて欲しい、と感じてしまった。