さよなら渓谷
たよりない
吊り橋の上に
いるみたいな
たよりない
ふたりの日々
不幸になるための
覚悟を
きめた筈なのに
きみが
片方落とした
お気に入りの
サンダルが
あまりにも
鮮やかに
渓流に
吸い込まれて
いったから
ぼくらは
護られた気分に
なってしまったんだ
ただ
歩いているだけなのに
たよりなく
吊り橋は
揺れるから
きみも
ぼくも
ここに
とどまるほか
ないんじゃないかって
言い逃れて
しまうんだ
さよなら渓谷
渡り切ってしまっても
流れはなにも
変わらない
ただ
そこに
きみが
居ないだけ
シアワセには
なれない
シアワセなんて
いらない
さよなら渓谷
さよならの警告