させぼ moonlight serenade

自身の取扱説明書です
きっと

早春散歩 〜中原中也にふれて 其の二〜

2017-01-25 09:38:06 | 日々のこと



どんなに

寒い冬にでも

ヒトは

やがて訪れる

春の日を

見越して

たくましく

生きる





どんなに

高い木も




どんなに

低い木も



上を

目指す前に



先ずは

足下を

固める




根を張るコトに

懸命になる






早春散歩 〜中原中也〜



 
空は晴れてても

建物には蔭があるよ




早春は心なびかせ

それがまるで薄絹ででもあるように

ハンケチででもあるように

我等の心を引千切り

きれぎれにして風に散らせる


私はもうまるで

過去がなかったかのように

少なくとも通っている人達の

手前そうであるかの如くに感じ

風の中を吹き過ぎる

異国人のような眼眸をして

確固たるものの如く

また隙間風にも

消え去るものの如く


そうしてこの淋しい心を抱いて

今年もまた

春を迎えるものであることを

ゆるやかにも茲に

春は立返ったのであることを

土の上の日射しをみながら

つめたい風に吹かれながら

土手の上を歩きながら

遠くの空を見やりながら




僕は思う




思うことにも慣れきって



僕は思う
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湖上 〜中原中也にふれて〜

2017-01-25 08:31:33 | 日々のこと


だれか



ともに

生きたい



願う



きまって

意識が

朧げに

なるのは

如何してだろう



握りしめるはずの

手に

チカラを

込めるコトなく



然りと

地に着けるはずの

爪先は

いまにも

フワリと

浮かび上がりそう



オールを漕げば

早く

辿り着けると

解っているのに



いっそ

流れに委ねたくなるのは

何故だろう





もはや

何処へも行けないなんて

諦めてしまうのは

何故だろう







湖上 〜中原中也〜



 
ポッカリ月が出ましたら

舟を浮べて出掛けましょう

波はヒタヒタ打つでしょう

風も少しはあるでしょう



沖に出たらば暗いでしょう

櫂から滴垂る水の音は

昵懇しいものに聞こえましょう



あなたの言葉の杜切れ間を

月は聴き耳立てるでしょう

すこしは降りても来るでしょう



われら接唇する時に

月は頭上にあるでしょう




あなたはなおも語るでしょう

よしないことや拗言や

洩らさず私は聴くでしょう

けれど漕ぐ手はやめないで




ポッカリ月が出ましたら

舟を浮べて出掛けましょう

波はヒタヒタ打つでしょう

風も少しはあるでしょう
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