夏の森には
不思議な魔法がかかっている。
木々の梢の先から降ってくる
日の光が森の緑を幾重にも透明に折りかさね
森の中はどこまでも透き通って明るいのに
夏の森の緑の重なりは
どこか悲しみのような空寂を抱いている。
〜長田弘「静かな木」〜
夏の森
へ
行きましょう
短く
も
眩しい
季節
の
終わり
を
見届け
に
行きましょう
一歩
踏み入れた
なら
頰
撫ぜる
風
も
降り注ぐ
木洩れ陽
も
耳
に
吹きかける
虫の声音
も
もう
待てないよ
って
いつのまにか
塗り替えられて
いるコト
に
気付くでしょう
ガッカリ
しなきゃ
いけない
筈
なのに
何処か
ホッ
と
している
自身
に
も
気付くでしょう
そう
いつも
そう
終わり
なんて
知りたくない
から
終わり
なんて
見届けたくない
から
気がついたら
次
の
章
へと
不意
に
風
が
ペイジ
を
捲るよう
に
日々
は
短篇集
だと
云い聴かせましょう
ずっと
もっと
と
欲張ってみたり
しがみついたり
する
よりも
何度
も
何度
も
出逢えたらいい
だけ
だから
夏の森
へ
行きましょう
始まり。
を
確かめ
に
さぁ
手
に
手
を
とって
一緒
に
行きましょう