チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 441

2021年07月29日 11時04分23秒 | 日記
着物を型にはめてしまったのはだーーれ?
形には戒律がいる
戒律がいつの間にか形になっていく

何事も形から入るのは易しい
形通りに進めばいいからね
しかしその形から抜け出せないでいると、人の形が気になって、人にも形を突きつけていく
形通りにならないと怒りを覚えてしまう
着物緒に限らず教育の場でも、仕事の場でも同じことが起きている

今回のオリンピックに着られなかった振り袖に関していろんな事実が表に出てきた
形から抜け出そうとして形にこだわったことも一つの原因なのかなとチャ子ちゃん先生は思う
着物はそれを私達に教えてくれている
其れなのに権利や名誉を主張して裁判沙汰になっている現実は、着物の美しさと遠く離れた人間の欲しか見えない

着物は美しい
と誰もが言う、だれもがそう思う
でもきものは美術品ではなく(技術や表現は芸術だけど)着る人があって初めて完成する衣類でもある

若い頃
サル著名な染色家に「着物はしょせん着るものなのですよ、芸術品ではありません。人が着て初めて着物は生きるのです」と言ったら
「このあまー」と灰皿が飛んできた

また今では国宝になっている方のところに取材したとき
「手袋をはめてください」
「なぬ?」
そのまま深々とお辞儀をして立ち去った

若さの無礼だったかもしれないが
着物を無条件に日本の民族衣裳だからすごいとか、だから残さねば、色彩のすばらしさは美術品とか世界に誇れる芸術品と言っているだけで、これからさき着物をさらに美しいものにいして行く努力をどれだけしているだろうか

絹や麻の代わりに化学繊維が出て、手仕事の技術をいかして模様を描く代わりに、印刷染めが横行している
着物はそれを我慢しているが、ここオリンピックで「ノー」を突きつけてきた気がする
繋いでいくものをしっかりと見極めなさいという忠告だ

着物で稼ぐのならしっかり着物と生きてほしい
着物で儲けようと思うからおかしくなる、着物はただの「もの」ではない
コメント
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