チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

魚の目の目ざめ

2022年04月28日 08時26分57秒 | 日記
いやー-痛いのなんのって
新芽の勢いにつられて、久しく鎮まっていた右足の小指の魚の目が、にわかに目覚めて、元気いっぱい
足袋は履けない、勿論靴は尚履けない

素足になれる季節なのでいぐさを敷いた下駄を履き、小指にイボコロリんのテープを張り包帯を巻いて動いている
昨日はジーンズに下駄履いて顔そりに行ったら「かっこいい」と褒められた
自信がついたから当分これで行こう

魚の目が出来るのは皮膚の摩擦を嫌がる細胞が、摩擦された皮膚の部分を防御しようとして皮膚を厚くするみたい

歩き方も問題で、どうも小指に負担をかけた歩き方をする癖がある
更に
足元を美しく見せたいがために、必死になって履かないといけないくらい細い足袋を誂えて履いていた
大体左と右足の大きさが半サイズ違うので、既製品の靴を買った場合は、左足に合わせると必ず右足の小指に負担がかかる

こうやって小指に我慢を強いていたら、魚の目の誕生
表面厚くなった皮膚はイボコロリんでとれるが、本当に魚の目のようにな穴が開いている芯はそんなちょろっこいことでは取れない

痛いのが死ぬほど怖いから皮膚科に行かずにいたらますますひどくなり、思い切って皮膚科で芯をえぐってもらった!
呼吸が止まるほど痛かった!

しかし
癖というのはある。またぞろ出てきたのだ
同じようにぴちっとした足袋をはいていればいづれはくる道
靴はハイヒールはやめているので、犯人は足袋、そして歩き方

然も芽吹きの時に出てくる、自然といっよなのだな魚の目も

「比佐子さんは脳腫瘍になる予定だったのが、足の魚の目になったのかもね」
慰めてるのか、脅しているのかわからない友の言葉がやけにリアルに響く
そうすると魚の目に感謝か


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時期が来たよ あなたの時節

2022年04月26日 07時31分23秒 | 日記
毎回感動する
桑の葉の芽吹きに合わせて蚕の「種」が孵化する
これは遺伝子の働き

昨年の6月から眠りについた蚕の種
自分の目覚めを知って起きてくる

本来なら桑の木に住みついているのだから
木の動き葉の動きを直に感じるのであろうが
人間が屋内で飼育するようになったら
人の手を借りねば桑の葉にありつけない

チャ子ちゃん先生は
種を保管していたことをすっかりわすれ
彼らの命を奪ったことも数度ある
干からびた屍を見てなんてむごいことをしたかと胸が痛んだ

一度ならず二度三度と
それは
チャ子ちゃん先生の中に自然との協調性が欠けていて
常に目に見えるものに心を奪われているからだ

蚕はもともと桑の木で生育していたのであるから
木や葉の脈音を聞きつけて
目覚める時期を察していただろう
だから孵化してすぐ食料にありつけた

しかし今は
人間が大量生産のために家屋で飼育するようになり
蚕は自ら食料を求められず
人の手に頼って桑の葉が与えられるのを待つしかない

自然孵化を待つ人は少なくなり
今は人工熱を蚕の種に与え無理無理孵化させている
中には一年中無菌の中に入れて孵化しているところもある

それでももともとの遺伝子を持った蚕の種は
一定の温度が来ると孵化する

「シルク」という素材はそうやってできているのが世界的現状
日本語の「正絹」はもうこの地球上から消え失せるのも時間の問題
自然孵化の蚕が吐いた糸を手で紡いで作った「正絹」の布は幻になる日も近い

その前に私達の遺伝子も組み替えられていることに気が付かねば


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男が輝くのは50代まで?

2022年04月25日 10時21分45秒 | 日記
自立した男は70代でも90代でも美しくかっこいい
しかしわずか
「男は偉いのだ」
とチャ子ちゃん先生はずっと思っていた

しかし今改めて男を見渡すと、「男は寂しい」という感じを持つ
新しい教育の中で「男女共学」を押し付けられ、女は溌剌としたが、男は自分の軸を外されてしまった感がある

60年安保や学生運動までは、男がこれからの世をリードしていこうという気概があったように見えた
そこで燃え尽きたのかすっかりおとなしくなってしまい、見る相手は常に自分の上司かカミさんで近視眼的思考

一方でお金と権力の虜になった愚かな男たちが国を動かしはじめ、知恵ある男は国のことなど素知らぬ感じで、自分の行く道を行く、こういう人は学者や、経営者に多く、他国で成功を収める

上司の機嫌を損なうと出世の道が無くなるとおびえていたサラリーマンが、定年で会社を後にすると、今まで威張りくさっていた奥方に機嫌を取り始め、うざったいと冷たくあしらわれる

行く場のない男たちは友達作りもしていないので新しい世界に踏み出せない。会社で役職にいた男たちはさらに自分の世界が見いだせないでいる人が多い

男は最後まで凛々しい方が美しい

男は金と権力と女を与えることで権力者の思う通りの奴隷になると昔から言われていた

今まさに全世界の国を代表する政治家やマスコミ、また企業家の男たちが、その罠にはまっている。居心地いいのだろうか?

50代以下の男たちが自分の力で世の中を変えたいと、起業する人が増え、猛勉強を始めている人を多く見る。その人たちの根底に自然との共存共栄があり、「競争より分かち合い」とはっきり口にする
日本はいい国になる
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光が闇を照らす日々

2022年04月24日 10時32分19秒 | 日記
いやー-世界ってなんて複雑なのだろう
この複雑さを簡単明瞭にするのは、誰かがその複雑さに飛び込んでいって、破壊させるのが手っ取り早い
一二三神事によると世界でその勇敢たる人物が三人と予言されているが、二人はすでに表で世界の大掃除をしているが、後の一人は誰なのだろう?

二人の大掃除で、過去や現状が解明するたびに、驚くような事柄がはっきりと見えてくる。

何で戦争が起きるの?
戦争を放棄した日本だけど、どうして片方の国だけに救援物資を送るの?
其れって戦争に加担してることにならない?
両方の国に同じように救援物資を送るのであれば、双方の国民を主に考えている平和主義国となるのだがー-

大東亜戦争を少し垣間見ているチャ子ちゃん先生としては、日本人が一つの方向に突っ走る姿を思い出す
「大本営発表」がそれ
まだラジオのない家も多々あった時代、その放送を聞くために多くの人がラジオを持つ家に集まっていた
電気屋は人盛りがしていた

我が家は父が大本営発表を信じていなかったので、あまり聞くこともなかった
時々聞こえる内容は敵の駆逐艦を滅ぼしたとか、敵機を数多く打ち落とした、という内容のアナウンサーの声が、今でも耳に残っている

であるのに表に出ると敵機襲来でどんどん爆弾が落ちてくる
子供心にラジオでいってることと現実の違いに混乱するばかり


街に出ればモンペに割烹着をつけた普通のおばさんが街角に立っていて、袂の長い着物を着た娘たちの袖を「この戦時に不心得」だと鋏をもってちょん切っている
姉たちがお稽古帰りに袖を切られたと母に告げていた
普通の人が異様な行動を起こすのが戦争だと強く思う
それは人を洗脳する側のうまさだ

事の起こりは多くの人々が「神」から離れてしまったからだろう
人間が神より力を持ったと思う傲慢さが、戦争を引き起こすのだろう

それを止めるのは
私たち一人一人が神を神として、謙虚に感謝しながら暮らすことが、闇を光に替えることかもしれない
もう少しでそういう日が来ると信じている
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細胞さんをきれいにしたい

2022年04月22日 09時56分45秒 | 日記
ああいえばよかった
あの時ほんの少しでも笑顔を見せればよかった
ああ あんな上げ足取らなければよかった
一言のねぎらいの言葉が出なかった
目礼もできなかった
一言言葉を添えればよかった
ちょっとでも立ち止まって言葉を交わせばよかった
ああーああー

と反省したり後悔したりすることが多かった
それをいちいち思い出しては自分を責める日もあった
ノートに書いてハンセイ
そうするうちにちょっとした気遣いが身に付くようになり、あまり自分を責めることもなくなった。とおもいきや
その悔いが実は体の細胞にたまっている ということが先日分かり仰天した

細胞はああらゆることを記憶している
それを「あーま」という毒素のことだとアーユルベーダ―で教わった、その毒素はお湯でも流せるし、自分をいつも愛していればいつか流れ去っていくと教わった

ところがどっこい、そんな軟ではないらしい
その悔いを一つ一つ思い出して手放していると、肩が軽くなり(自分で勝手にしょい込んだ重荷が開放)また足からは(人を足蹴にした悔いが開放)胸からは(自分を責めていた悲しみ)お腹からは知らぬ間に食べてしまった体に悪い食物の怨念が出ていき、便通がきてお腹が軽くなる

いやー-
自分をこんなに痛めていたのかと、ごめんごめん
どうも体重も減るらしい

どうなる、どうしよう、どこに向かったらいいのか、世の中は二極化がはっきりしてきた
まず自分を身軽にし、そこから世界を俯瞰して眺むれば、見えてくる、見えてくる。その自分が感じた真実を信頼して前にすすめばいい

細胞を綺麗にして自分が身軽になり、自信と誇りをもっていきていれば、「聖」なる道を歩むことになると感じる
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珈琲は生鮮食品だって

2022年04月21日 08時50分31秒 | 日記
珈琲の生豆を購入し、炒って摺って静かに湯を落とし、朝日浴びながらゆっくり珈琲を啜っている至福の時間
珈琲をさほど好きとも思えなかった
人形町にある「かうひいや」の珈琲が最も口に合っていて、自分の中では15時過ぎてから飲んではいけない、眠れなくなると決めつけていた

珈琲を嗜んだのは次姉のデートに付き合わされた中学生の時で、画廊のある喫茶店の店主がゴリゴリ珈琲の豆を挽き、静かに静かに湯を注いでもったいぶって、コーヒーカップを姉たちのテーブルに運び、私にはさらに薄めたコーヒーを持ってきた

それでも一口飲んで
「うえー苦い」
と口に出し、それ以来私には紅茶がでた。紅茶は家でも飲んでいたのでなじみがあり、これにクッキーでもついていれば万々歳だと思っていたが、口には出さなかった

というわけで珈琲は苦手と思い込んでいた

30代の初め初めてローマに行ったとき、食事の後に「カプチーノ」が出て「なんとおいしい」と思った
それで日本に戻ってカプチーノを注文するとこれまた苦い、ぺっ!と吐き出したくなって、珈琲はご勘弁となった

ある時友人宅に招かれた、その家の息子が
「比佐子さんのために究極の珈琲を入れるからね」
ああどうしよう、と内心うろうろ、でもー--

卓上コンロを持ち出し、コーヒー豆を炒り始めた
「いい香りね」
「炒った豆は3日以内に摺って、摺り上げた粉は30分以内に飲むのが一番おいしいの、珈琲は生鮮食品だからね、待ってね」
「ふー-ん生鮮食品なの?」
「そうだよ、そしてさらにね前頭葉を刺激するから、比佐子さん認知症になりにくくなるんだよ」
「あらそう!」

出来上がった珈琲をロイヤルコペンハーゲンのコーヒーカップに静かに注いでくれた
「うワッおいしい、本当においしいありがとう」
というわけで
一式そろえて毎朝至福の時間を過ごしているわけ

ちょっとした手間でこんなにうれしい時間が作れる


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着物が繋ぐもの 485

2022年04月20日 08時26分54秒 | 日記
東京代々木公園では、毎年この季節になると「アースデイ」という企画が繰り広げられる
24日の日曜日は渋谷の宮下公園で行われる催しに、チャ子ちゃん先生登場
「着物文化」の魅力ー日本の伝統に見る文化の多様性
やや硬いタイトルでのお話
着物から自然との共存共栄を学んだことを話したいと思っている

モデレーターの秋元真理子さん(アースデイジャパンネットワーク共同代表)母親の影響もあり着物に触れていたが、背が高く母親の着物が着られなくて、その相談にわが秋桜舎に来社
チャ子ちゃん先生が提案している「骨格着付け」をマスターして、着物をさらに美しく着たいと日本舞踊や長唄を始めた。着物産地にもチャ子ちゃん先生と一緒して真剣に着物のことを学んでいる方

本業は大手の会社のOLだが、其処でも日本文化の集まりを率先して企画しているようだ

着物に手を通したことから、日本の文化のすばらしさに心酔して、今回のようにアースデイにも着物を取り上げてくれている
また絵本にも興味を持っていて、先週のアースデイでは歌舞伎俳優の市川海老蔵さんの登場を実現させ、彼の子供に聞かせる絵本の話が話題の中心になったらしい

チャ子ちゃん先生は、着物を着ることによって、日本の文化に目覚める人を多く生みたいという思いがあるので、秋元真理子さんの応援は全身で協力

新しい着物や帯も、何をどう着るか、何を選ぶか、どこの物を選ぶかなどアドバイスさせてもらっている
日本舞踊を始めただけに真理子さんの着物姿に曄が出た。嬉しい

着物はまさしく循環思想のもとに作られている
一ミリも捨てない裁断で、カーブになるところはみんな折り紙のように折り曲げていく
この様な仕立て方の衣類が他にあるだろうか?ない

この着物の仕立ての思想が、日本人のみんなの根底ある。
「もったない」
自然からいただいたものを使い切るこれが着物の仕立ての極意だと思う

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ここまでやる?

2022年04月19日 06時50分59秒 | 日記
昨日銀座三越の前を通っていたら、三越の象徴ライオンさんがマスクをしていた
というよりマスクをさせられていた

面白いと思うか
可哀そうと思うか
ライオンさんがマスクの強制に一役買っていると思うか
ライオンさんもやっているので私達もやらねばと思うか

ほとんどの方がライオンさんに見向きもしないで通り過ぎていた
銀座四丁目に降り立ったのは久しぶりなので
ライオンさんのマスクに目が行ったチャ子ちゃん先生だが、多くの方がたは見慣れた風景なのだろう

ライオンさんはマスクをするという国家行事に一役買っているのかもしれない

「この像の作者「西望氏」はどう思われるだろう?」
とチャ子ちゃん先生が写真を投稿したFBに上記のようなコメントをいただいた

作品を勝手に茶化していいものっだろうか?
三越のライオンは三越の象徴としてみんなに親しまれている
「ライオンの前で待ち合わせね」
と一昔前までは待ち合わせの場所の象徴でもあった

雨に濡れながらマスクをかけて鎮座しているライオンさんに胸が痛んだ

地蔵さんに帽子かぶせたり、前掛けさせたりするのとはまた違っていると思うけど、なんだか腑に落ちない気持ち
日本人の感性というものを信じたいのだが

ライオンに心移していたら、いきなり銀座に雨
着物の裾が濡れないように帯締めに着物の裾を引っ掛けて、青い長襦袢を見せながら歩いていたチャ子ちゃん先生、こちらの方に視線を向ける人の方が多かった



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頻尿にも効く湯文字

2022年04月18日 07時19分42秒 | 日記
昔の女が愛用していた「湯文字」
きちんとした湯文字の制作はいまわが「秋桜舎」でしか作っていない
40年前までは京都のメーカーが作っていて、銀座の小物屋さんでも売っていたが、今湯文字として市販されているほとんどは、似て非なるものになっている
さらに
この「湯文字」の付け方を指導できるのは、「秋桜舎」で修業した者しかできない、その者たちに教わった方々が出来ているがどれくらいの人数かはチャ子ちゃん先生把握していない

この付け方にコツがあり、それを習得すれば「月経血のコントロール」と「頻尿のコントロール」もできる

わが先人たちが日常で使っていた湯文字が、西洋式パンツに代わって、月経の処理や頻尿の人が増えて行ったようだ
加えて子宮や卵巣関係の病気が多くなっている

食べ物に気を付ける人は多いけど、自分の肌に気を使う人のなんと少ないこと
肌に入る記憶は、そのまま細胞にとどまることを知ってほしい

私達の苦哀は意識の中では忘れていても、細胞がきちんと?覚えている
その為にある時、同じような状況が現れると細胞が敏感に反応し、それを体に入れまいと緊張して、肩が凝ったり腰がだるくなったり、気がめいったり、風邪をひいて熱を出したりするらしい

体はすべてを知っているので、心地いものに関しても同じように反応し、いつも心穏やかにいられる
それが湯文字一枚の付け方の極意で会得できればこんなうれしいことはない

長いこと着物に「聖」を持って着ていると、様々ないいことを着物が教えてくれる。そういうことをお話ししているのが「比佐子つれづれ」であり「チャコ
ちゅうぶ」

さて4月23日(第四土曜日)は「比佐子つれづれの日」
12時から15時30分
場所 銀座ゆうき丸 中央区銀座8-9-15 ジェルボックス銀座7階
八丈島の魚をいただき、お話会は一時から
会費 8000円(税込み)
申し込み 秋桜舎ホームページかメールにお願いします

メール info@kosmos-chako.com
ホームページ http://www.kosmos-chako.com


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原田の耳かき

2022年04月17日 10時42分20秒 | 日記
巣鴨のとげぬき地蔵の境内が興味深い
薩摩の本ガツオをその場で削ってくれるところあり
耳かきをその場で作ってくれる人もいる

かねて「原田の耳かきはいい」と聞いていて、どこにあるのか知らなかったけど、昨日
「アッココだ!」
と勇躍ジャンプ

あることが在り、「聞きたくない」という思いが耳を難聴にしてしまい、今はきちんと聞こえることを望んでいるが、なかなか昔に戻らない
「年齢のせいもあるね」
と友人にいったら
「耳の掃除も怠っていない?」
と言われ床屋に行って耳かきをしてもらっている今日この頃だった

「原田の耳かきは日本一高額」
と教えてもらっていたが、床屋で掃除してもらっていれば何本か買える値段(人に掃除してもらうのも捨てがたい)

煤竹という最も耳かきに適した竹で作ったのが上等、普通の竹の物の倍の値段だ。触って耳に当てると煤竹の方が柔らかくて気持ちがいい
携帯用をお願いすると
「耳を見せて」
と念入りに耳を見て、耳の奥まで覗いて
「これから作りますので、地蔵商店街をお散歩してきてください」

同行の友と
かの有名な赤パン屋に立ち寄ったり(一人では気後れするものね)乾物屋や魚河岸の出張所で店の大将の口車に乗って、あれこれ購入したり、漬物屋に入ったら、季節の漬物を出してくれて、其れに一口たけのこご飯もつき、お茶までご馳走になる。店のお姉さんの軽快な楽しい説明に笑っているうち、口だけではなく、財布の口まで空いてしまい、たくあんなど購入
紙袋も黙ってついてくる。「袋何円」などどこの店にも書いていない
せんべい屋に顔出したら、其処の女将さんは飴を片手に握りしめていて、学校帰りの子供に手渡している
客よりそちらが優先

「こういうお店は心の器量よしが多いのね」

境内に戻ったら手仕事は完成していて、耳に当てて感想を聞く
「いいです、うれしい」
耳かき一本のつもりが両手に紙袋の巣鴨遊びになった



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