チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

魂が美しい「お乞食」さん

2022年06月08日 10時29分46秒 | 日記
昨日のこと
チャ子ちゃん先生は「御乞食」さんにお情けを頂戴した

地下鉄に乗っていて扉上の映像が天気予報を伝えるニュースを見ていたら、東京は夕方から雨マーク
朝は曇り、昼近くはお日様が覗き、地下鉄に乗ったとき銀座は晴れていた
新宿5丁目の駅に着き、エスカレーターで地上に上がると、雨、小雨ではあるが通行人はみんな傘をさしている
「ありゃー-、ま大島紬を着ているから家まで速足で歩こう」

人々を通り越して足早に歩いていた
そこにありったけの財産をブラさげて歩いている「女お乞食」さんを追い越しながら女の人って珍しいなあと、ちょっと振り返ったら目が合って会釈した、と思ったら、彼女の肩に、剣客風に背負っていたビニール傘を一本私に差し出し
「着物が濡れるよ是ほら持っていき」
「えっ私に?」
「そうだよ、綺麗だねえ」
「お借りするね、アッ此れ受けって!」
と懐からポチ袋を彼女の手に渡す
「いいのかえ」
「もちろんうれしいわ、じゃあお先にね」

信号を渡って振り返ると彼女が立ち止まってポチ袋を胸に抱いてじっと見ている、チャ子ちゃん先生小さく手を振って歩き始めたが視界がぼやけ、胸が詰まる
大きく深い心をいただき、それをお金で返した自分を責める、悔やむ、ではどうしたらお礼の心を相手に伝えられたのか、其れもわからない。

日々の生活に大変な思いをしている方からの温情はあまりにも清らかすぎてその深い慈愛の受け止め方が分からない、その思いをお金で伝えることではないと悔悟するが、でも私にはそれしか思いつかなかった

彼女はきっと過去に着物を着て過ごした日があったのだろう、とっさに着物を雨から守ろうした行為が、彼女の大切な財産の一部を提供してしまう行動に出てしまった。

今度で会うことが在ったら、ゆっくり話をしてみたい

コメント
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