はりぶろぐ

鍼灸師のブログです。東京都国分寺市にて孔和堂鍼灸院を開業しています。
http://kouwado.com

休み明けの身体

2015-08-18 22:25:06 | 鍼灸
お盆休みが終わり、昨日から日常生活に戻られた方が多いのでしょうか。
当院は夏休みはないので通常通り営業しておりました。

お盆休みだから治療を受ける時間が取りやすい方もいらっしゃいますし、プライベートの予定がぎっしりで、休み明けにようやく治療を受けられるという方もいます。

連休を利用して旅行したり、自宅でのんびり過ごしたり、それぞれに過ごし方の違いはありますが、すっきりリフレッシュした後の身体には共通点があるような気がします。
仕事モードの時はある程度の緊張状態が必要。程よい緊張であれば快適に集中力を保って仕事に没頭できますが、緊張しすぎた状態になっていらっしゃる方も多いようです。
そのサインが現れやすいのが、お腹や背中。特に背中は、その人の状態をいろいろと現しています。
背中にはたくさんツボがあり、冷えていたり、凹んでいたり、張っていたり、緩んでいたり、黒ずんでいたり、さまざまな表情を見せてくれます。
そこで、私たち鍼灸師はそのツボの状態に合わせて鍼や灸をし、身体のバランスを調えていきます。

休み明けの方々の身体を診ると、普段現れやすいサインが消えていたり、少なくなっていたり、いつもと違うツボにサインが現れていたりします。
昨日は、ご家族と一緒に連休を楽しまれた方の背中の緊張感がほどよく緩んでいて、皮膚の色も明るくきれいになっていました。(その代わり暴飲暴食による冷えが新たに発生していましたが、そこは灸頭鍼で復活しました!)


これから夏休みを取られる方、しばらく休みはないよ、という方・・・8月も後半に入り、少しは暑さが和らいだ感じですがまだまだ油断はできません。
連日の残暑に知らずしらずのうちに体力を奪われていることがあります。仕事もプライベートも快適に過ごせるよう、休息はしっかりとってくださいね
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はり・きゅう・マッサージの日

2015-08-09 21:57:21 | 鍼灸
8月9日は「はり・きゅう・マッサージの日」。
鍼灸マッサージを少しでも知ってもらえるようにと、平成15年11月4日に設定されました。
鍼灸治療を受けている患者さんは人口の10%に満たないそうです。
鍼は注射針のイメージが強くて、怖いという印象を持っている方も多いようです。他の療法で効果が出なかった時の最終手段として考えているという声も聞きます。
また、灸は熱くて痕が残ると思っている方がとても多いです。「お灸をすえる」という言葉でそのような印象をもたれていると思いますが、実際は灸痕を残さないお灸がほとんどですし、熱いのを我慢するお灸でもありません。ほんわかと温かくなるお灸が現在のメイン治療となっています。


私が初めて鍼灸治療を受けたのは鍼灸学校に入ってから。先輩に練習として施術してもらったのをきっかけに、勉強会や授業でのデモンストレーション治療の患者役として様々な先生から治療を受けました。また、クラスメイト同志でも練習しあうので、学生生活の間はしょっちゅう鍼灸を受ける機会がありました。
学業と仕事の両立は体力的にも精神的にもきつかったので、ありがたかったです。

私は鍼灸治療を受けると、緊張がほぐれてエネルギーが充電される感じがします。
ベテランの先生方の治療を受けると、それぞれ治療方法は違っても、身体の中の気の流れの変化をはっきりと感じられることがよくありました。
「鍼は気を動かし、灸は血を動かす」と云われますが、その言葉は概念的なものではなく確かなものとして実感できました。
鍼灸治療は、副作用の心配もなく自然な形で身体に作用するとても優しい治療方法だと思いました。


そもそも鍼灸治療がどんな症状に効くのか知らない方も多いと思います。
肩こり・腰痛・膝関節痛などの運動器系の症状だけではなく、胃痛・便秘・頭痛・風邪・不眠などにも効果があり、鍼灸は何に効くのですか?と聞かれたら、たくさんあるのでどれから説明しようかと迷うほどです。

もちろん、症状の程度や病気によっては病院に行くことを優先した方がいい場合もあります。
ただ、病院に行っても治療方法が特に見つからない場合や、いろんな方法を試したけれどいまいち楽にならない場合は、鍼灸治療を受けることも良いかもしれません。
患者さんの症状の程度やその日の体調に合わせて行う鍼灸治療。まだ受けたことのない方は、ぜひ一度お試しいただけたらと思います
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弟、来院

2015-08-07 22:27:46 | 鍼灸
滅多に連絡の来ない弟から電話があり、何事かと思い話しを聞いてみると頚椎ヘルニアになってしまったとのこと。

仕事にも行けないほどの痛みで、趣味の楽器演奏もできる状態ではなく、処方されている鎮痛剤もあまり効果がないそう。
今回止むに止まれず姉の治療を受ける決意をしてくれたようで、ここしばらく治療に来てくれています。

弟には鍼灸学生時代に無理やり練習台になってもらったことがあるくらいで、きちんと治療したことはありませんでした。
改めて脈、お腹、舌を診てみると、東洋医学的に気になるところが盛りだくさん。体質改善+一番辛い痛みをとることをメインとした治療をしました。

私の場合、初回の治療はこちらが思っている7,8割の刺激量の治療を心掛けています。ごく軽めの刺激で患者さんにとってはちょうどいいことが多いようです。

弟の場合は鍼灸治療による反応が強く出やすい体質であることが分かったので、慎重に治療しました。
1回目の治療後、肩甲骨周りの痛みはやや減少。動きやすさは改善。
2回目の治療後、最も気になっていた肩甲骨上部の痛みはかなり減少。
肩甲骨の痛みが軽くなったことで、今度は腕の付け根付近の重だるさが出現。
3回目の治療後、腕の重だるさはやや減少。
気になっている患部の症状が改善してくると、それまで隠されていた痛みや重だるさが出てきやすくなるのですが、今回は典型的な症例です。

子供の頃の記憶による印象が大きいのだと思いますが、姉の治療を怖がっていた弟も、鍼灸治療の効果を多少は感じてくれているみたいで一安心

弟が住んでいる所は少し遠いのですが、今後しばらくは週1回の治療を受けてもらう予定です。

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父への治療

2015-06-28 22:47:22 | 鍼灸
鍼灸治療に対するイメージで、鍼を刺すってなんだか怖い、と思う方は少なくないと思います。
そして、女性よりも男性の方が、鍼に対して抵抗を感じる方が多いような気がします。

私の父もその一人。
父にはこれまで治療をしたことがありませんでした。
何度か治療を薦めてはいたのですが、「治療をするほど体調は悪くない」とか「一人前になってから」などと、様々な理由で断られていました

ところが、最近病気をしたことをきっかけに、初めて治療を受けてくれることに!

治療しようと鍼を用意した矢先、父に電話が。急遽出かけることになったから治療は次の機会で構わない、と父。
これを逃したら次の機会は来ないだろうと思ったので、せっかくなので短い時間でも、と説得して治療を開始しました。

時間がないのでお灸は使わず、全身の主要なツボを軽く刺鍼しました。
父にとっては生まれて初めての鍼灸治療。この後すぐに出かけなければいけないことも考慮し、刺激量を少なめに調節しました。
治療時間は10分足らずだったと思います。

治療前は顔色が優れずにしんどそうにしていたでのすが、治療が終わり起き上がって出かける支度をし始めた父が、「なんだか身体が軽くなって歩きやすい」との感想。
声にも張りがでてきて、顔色も随分良くなっていました。

ここ最近の父は、病気による身体への影響と、病気をしたことによる気持ちの落ち込みにより、気血のめぐりが滞りがちになっていたと考えられます。
今回鍼灸治療を受けたことによって、気血のめぐりがスムーズになり、身体に軽さを感じたのだと思います。
また、気血のめぐりが良くなると気持ちもすっきりします。気落ちしている時は声が小さくなりがちですが、声に張りが戻ったということは、少しは気持ちも楽になったのだと思います。

言葉通りの親子の触れ合いというのは、お互いが大人になるとなかなかないもの。鍼灸師になって良かったことの一つに、自然にスキンシップができるということが含まれるかもしれませんね。

親と離れて暮らしていると出来ることも限界があると感じるこの頃。これを機に、帰省の度に治療を受けてくれたらいいなと思いました
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次の一手を考える

2015-04-23 22:52:51 | 鍼灸
人の身体にはたくさんのツボがあります。
私達鍼灸師はそのツボを用いて、様々な症状に対応しています。

例えば腰痛を改善するために用いるツボはいろいろあります。
全身にいくつもの経絡(ツボの通り道)が通っていて、各ルートは必ずどこかでつながっています。
極端な言い方をすれば、どのツボを用いても腰痛を改善させることができる、とも言えるのです。

たくさんある候補の中から、特に効果を出せるツボを探し出すのも、鍼灸師の楽しみの一つ。

私はその醍醐味を、師匠のところで学んでいた3年間の中で知りました。そして今は日々の臨床の中で味わっています。

師匠は数十年臨床経験を重ねられながら、日々学びを繰り返されています。より効果を出せるツボ、より効かせられる方法などを編み出し続けられています。
私はその姿勢と志の高さに感動し、自分もそのようになりたいと憧れるようになりました。


師匠はよく、常に次の一手を考えることが大切だとおっしゃいます。

ある人に劇的に効果が出たツボが、他の人にも同じように効果があるとは限りません。
また、前回効果があった方法を続けて試しても同じように効果が出ると決まっているわけでもありません。

患者さんの状態を把握しつつ、身体に現れている反応点を見つけ出し、適切な刺激を与える。
けして一つのやり方だけにこだわりすぎないように、その瞬間に直感したやり方を試すことも大切。
はっきりとした効果が出ない時は、上記のことを念頭において、次の一手を考え続けます。

患者さんの体質や症状によって刺激量の上限が異なるので、それをしっかり見極めつつ、最善を尽くせるように心がけています。
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痔に鍼灸

2015-04-08 21:02:59 | 鍼灸
以前、夫の痔(初期のいぼ痔)の治療をしました。

痔って、なかなか人には言いづらい症状の一つですよね。
鍼灸は痔にもよく効きます。

治療する時に用いるツボはいろいろあります。例えば頭のてっぺんにある「百会」は痔に効くツボの代表です。ここへお灸をすると症状の変化を速やかに感じる方が多いです。
ちなみにこの百会というツボは、婦人科疾患や不眠など、様々な症状で使うことがあります。実は痔があったんだけど、鍼灸治療に通うようになってからいつの間にか治っていた、との嬉しいご報告をしてくださる患者さんが時々いらっしゃいます。


夫の治療をする時に使用したのは、「腎兪」「承山」。
杉山流三部書という本に記載されています。
本来は「腎兪」「命門」「長強」「承山」の4穴ですが、2穴で効果が出るか試してみました。

夫によると
「1日目 なんか効いた感じがする。痛みがよくなった。でも、痔は引っ込んでいない。」
「2日目 鍼を刺している間に、患部がムズムズしてきた。痛みはほとんどなくなった。痔も引っ込んだみたい。」
「3日目 ほとんど症状がなくなった。痔はなくなった気がする。」

鍼灸治療は一定の期間に集中して受けることで効果が出やすくなることが多いのですが、今回はまさにその通りでした。


トイレでいきんだり、刺激物やアルコールの摂取が痔を悪化させる要因にもなります。
身近な生活習慣を見直すことでも予防や症状の改善につながると思います。
症状が軽いうちに速やかに治したいものですね
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鍼灸師の不養生

2015-03-13 22:27:47 | 鍼灸
今年の花粉の飛散量、ここ数年では一番多いかもしれませんね。

私は2,3歳の頃には花粉症と診断されていたようで、スギ・ヒノキ・イネ・ブタクサなどいろんな植物の花粉に反応します。
高校生までは内服薬、点眼薬、点鼻薬が手放せず、少なくとも週に一度は耳鼻科に通って吸入をしていました。
日中は薬の副作用の一つである眠気との戦いでしたし、目も鼻も痒くてついついこすってしまい、余計に症状が悪化することもしばしば。
大人になり症状は自然と軽減していったので、ここ最近では花粉をほとんど気にせず過ごせるようになっていました。
症状が出た時はすぐに鍼灸治療で対応して即効性があったのですが、今年はそうはいきませんでした

患者さんにも花粉症の方が多く、主訴が花粉症ではなくても、日常的に鍼灸治療を続けられた方からは花粉症が楽になったとの声を頂くことがよくあります。
花粉症に対する鍼灸治療の効果は十分知っているにもかかわらず、いつでもできるし、と自分のことは後回しになりがち。医者の不養生ならぬ、鍼灸師の不養生だとつくづく感じました
(本来は1月中に治療を始めるとかなり効果があるので、患者さんにはそうお勧めしています。)

思いの外症状が出てしまったので、このところ慌てて夫に治療をお願いしております
そのため、辛さは大分治まってきました。


こちらはスノークリスタルというチューリップとミモザ、そして先日から飾り続けているムシカリです。


玄関に飾っていた時はチューリップらしく閉じていましたが、暖房の効いた室内に数時間置いたら満開に!


花粉は辛いけれど、春は美しい花が次々に見られるので嬉しいです

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お灸の思い出2

2015-03-07 22:45:35 | 鍼灸
愛媛で生まれ育った私にとって、子供の頃からお灸は身近な存在でした。
(ちなみにお灸のことを地元では「やいと」といいます。)

以前このブログで祖母とお灸のことを書きましたが、お灸と聞くと思い出す人もう一人います。

その人は私の祖父の叔母で、ばあば、と呼んでいました。
子供の足でも歩いて行けるところに住んでいたのでよく遊びに行きましたし、ばあばも家によく遊びに来てくれました。
いつ会っても綺麗で優しい笑顔のばあばが私は大好きでした。

私の記憶では、生まれて初めてお灸を見たのは、ばあばが私の家で母にお灸をすえていた時です。
ふわふわしたもぐさが入った箱。もぐさに火を付ける線香。気持ち良さそうに寝ている母の姿。
いつも1時間くらいかけてお灸をすえていたような気がします。
部屋中に煙が充満するので、「けむい、くさい」とよく言っていたのも覚えています。今思えば本当にくさいと思っていたのではなかった気がしています。逆に、その匂いで何だか分からないけれど落ち着いた気分になっていたのかな、と思います。

当時、母は弟を出産した後で体調が思わしくなく、ばあばのやいとのおかげで少しずつ元気を取り戻していったと聞いています。母の背中には、その時のやいとの痕がまだ残っています。(昔のお灸はしっかりと焼ききっていたので残るのですが、最近はなるべく痕を残さないようなお灸に変わってきています。)
母曰く、ばあばは灸点をおろす(お灸をすえるツボを見つけること)のが上手だったとのこと。そしてやいとが終わった後に背中や腰をさすってくれる時の手が、とても気持ち良かったと言っていました。

それから随分時間が経ち、私が鍼灸師になろうと決心し、ばあばにお灸のすえ方のコツや、灸点のおろし方、上手な触り方などを聞いてみたのですが、何度聞いても教えてもらえませんでした。
いつもの優しい笑顔で、「ばあばのやり方は自己流で適当。大したことないから何にも参考にならないよ。あなたはこれから学校でしっかり勉強するのだから大丈夫。」と言うだけ。

ばあばは私が鍼灸学校在学中に亡くなり、結局何も聞けずじまいになってしまいました。
しばらく残念で仕方がなかったけれど、今はばあばが教えてくれなかった理由がなんとなく分かる気がします。

お灸のすえ方も、灸点のおろし方も、触り方も、長年の経験の中で培ってきたもの。言葉で説明できるものではなかったのでしょう。
そして、何よりもばあばの優しさが手から伝わることによって、心地良さがうまれていたのではないかと。

もうすぐ鍼灸師になり6年経ちます。少しずつですが経験を重ねて、微妙な調整もできるようになってきたかなと思う今日この頃。
ばあばの優しい手に近づけるよう、さらにこつこつとやっていきたいです。
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いいかげん

2015-02-21 21:30:34 | 鍼灸
私は12年ほど前に整体の勉強を始めて、鍼灸の資格を取得するまでは整体師として働いていました。

整体師としての初めての職場は、私の師匠の一人でもある地元愛媛の治療院でした。
整体の学校で学んだだけでほとんど臨床経験のなかった私は知らないことだらけで、この先生から手技に関して様々なことを教わりました。現在もその時に学んだことや経験したことに助けられています。

指導中に教えていただいたアドバイスの中で繰り返し言われたのは、患者さんに触れる力加減のことです。
「決して押しすぎてはいけない、コリをとらえたらそのコリがどういう状態なのかを指先で把握し、適切な圧をかけていくこと。最初は分からなくても、意識して触り続けているうちに必ず分かるようになる。」というものでした。
患者さんを施術する度に、その方のコリがどういうものなのか、どのような力加減が良いのかを一つ一つ教えていただき、その中で強押しされ続けて硬くなった筋肉の感触とその対応の仕方も学びました。ただそれは、そう言われると何となくそうかも、と思う程度で、自分ではっきりと分かるようにはなかなかなりませんでした。

その後、上京してから数年間整体院で勤めました。その整体院はお客さんの要望どおりの力加減で施術するスタイルだったので、かなりの強押しもしていました。けれど、先生の言葉は忘れないようにいつも意識し続けていました。
多くの患者さんの身体を触っていくうちに、だんだんと適切な力加減が分かるようになり、強押しされ続けている人特有の筋肉の硬さにも気付くようになりました。また、そういった硬さのある人は強い刺激に慣れているために、身体に合わせた適切な力加減では物足りなさを感じているということも分かってきました。

あまりに強い刺激を受け続けていると、身体はその刺激に慣れていきます。でも、実は身体は過剰な刺激に悲鳴をあげていることが多いのです。
そういった強押しの刺激に慣れて特有の硬さになった方でも、適切な力加減、適切な刺激の施術を受け続けるうちに身体本来のしなやかさが戻ってきます。そうすると、今までよりも軽い刺激で疲れやコリがとれるようになりますし、刺激が物足りなく感じていた鍼灸治療にもよく反応するようになります。

刺激の強弱は時と場合により様々で、なかなか難しいものですが、これからもいいかげん=良い加減を心がけていきたいです。
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灸頭鍼(きゅうとうしん)

2015-02-12 20:30:38 | 鍼灸
愛媛へ帰省する度に治療している患者さんが3人います。

1人目は祖母。若い頃から自分でお灸をすえてたのでお灸が大好き。鍼は苦手ということもあり、毎回お灸のみの治療をしています。


2人目は高校時代からの友人。
友人は子育て真っ最中ということもあり、毎回お子さんの動きを見計らいながら治療しています。今回はご家族の協力に加えて雪が味方をしてくれて、子供は外に元気に飛び出していったので、その隙に初めて灸頭鍼ができました!
彼女の体質や症状に合うやり方なので、いつかできたらいいなぁと思いつつ数年が経ち、ようやくできたので良かったです。

灸頭鍼とは、鍼をツボに刺した後、鍼の持ち手にもぐさのかたまりを付けて点火し、温める方法です。
身体の深部まで温める力があるとされています。
とても気持ちが良いので、施術中にうとうとされる方も多いです。
私も時々夫にしてもらいますが、身体の緊張が緩み、冷えが温かさによって取り除かれて、何ともいえないリラックスした気持ちになります。
冷え症の女性の患者さんには好評な方法なのですが、もぐさのかたまりが燃えていくため、近くに元気なお子さんがいたりする状況では安全に最後まで行うことが難しく、断念せざるを得ないこともあります。

友人にはたまにしか治療できないので、できる限り効果が長持ちするようにしたいですし、これからもタイミング良く灸頭鍼を行っていきたいです。


3人目は母。昔から腰痛持ちで、少し前に胃腸炎にかかっていたこともあり、今回は背中のツボが大きく凹んで元気がない状態になっていました。
そこで灸頭鍼の出番。治療が終わった後は凹みもだいぶ回復し、腰痛も改善したようで一安心です

灸頭鍼は鍼と灸の両方の力が同時に発揮される、素晴らしいやり方だと改めて思いました
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テレビを見て3

2015-01-26 21:14:09 | 鍼灸
鉄腕DASHで、TOKIOの城島さんがお灸をしている様子を見ました。
もぐさはよもぎの葉の裏にある腺毛というもので作られるのですが、今回番組の中で使われていたのは、よもぎに付いた虫こぶというものでした。
私は番組を見て初めて知りましたが、ご存知の方もいらっしゃるのでしょうか?

                          
虫こぶ(または虫えい)とは虫などから出される何らかの刺激によって、植物の一部の細胞が増殖したり肥大したりして、異常な形状になったものを指すそうです。
主に、その年に新しく出た新芽や新葉・蕾・花・根などへ(虫えいを作る)虫達が産卵して作られるとか。

よもぎにできた虫こぶには、もぐさのような薬効成分があるのかもしれませんね。

城島さんはくるみの上に乗せて「くるみ灸」、びわの葉の上に乗せて「びわの葉灸」の二種類をされていましたが、あまりに危なっかしいやり方にドキドキしながら見ました。
予想通りに危険な展開となり、TOKIOのみなさんも大騒ぎ。
城島さん自身は効果を感じられたようですが、「お灸って気持ち良いものなんじゃないの?」との声が・・・

そう、お灸はとっても気持ちの良いものです!
番組をご覧になったお灸を見たことがない方が、誤解したり偏見を持ったりしなければいいなと思いました

ちなみに、くるみ灸やびわの葉灸は隔物灸といわれるもので、他にも生姜灸、塩灸などいろんな種類があります。
鍼灸師が施術する場合は、ゆっくりじわっと熱感が伝わり気持ちの良い温かさを感じられるものなのでご安心くださいね~
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女子会を終えて

2015-01-22 22:40:29 | 鍼灸
1月21日の夜、母校の東洋鍼灸専門学校での女子会に行ってきました。
「女性鍼灸師と語ろう」というコンセプトで、入学を検討している女性を対象としたイベントでした。
冷たい雨の降る中、会場に足を運んでくださった参加者のみなさま、どうもありがとうございました

女子会には卒業生ゲストとして私を含め3名の女性鍼灸師が招かれており、鍼灸師を志したきっかけや学生時代の思い出、現在の状況などをそれぞれ話しました。
1年ほど前に同じく女子会のゲストとして招かれて以来だったので、前回と同様に緊張しすぎるかなぁと心配でしたが、程良い緊張感を保ちつつ話が出来たので何よりでした

参加者はもちもん全員女性。
どの方も真剣に話を聞いて下さり、質問もたくさん出て、活気のある女子会となりました。

私自身もそうでしたが、鍼灸師になろうと決意して実際に挑戦するかどうかを決断するまで、個人差はあれど様々なことを考え悩むと思います。
どの道を歩んでいくにしても云えることですが、何となく決めて進み始めてしまうと「あの時にこうしていれば…」という後悔につながりやすくなります。
実際、鍼灸師になるにはたくさんの時間が必要ですし、学費も決して安くはありません。しかも、入学してしばらくは地味で根気のいる勉強や基礎訓練が続きます。夢や憧れの気持ちだけで選んだとしたら、心が折れてしまう可能性もある資格の一つだと感じています。

自分がどうしたいのかをしっかり考えて決めたことは、その後にどんなに壁にぶつかっても必ず乗り越えられるし、少なくとも後悔はしないと思います。
必要なのは覚悟することと、その道をまっすぐに歩んでいく勇気を持つこと。

今悩んでいる方は自分が納得するまで悩み抜くのが一番だと思います。しかし、独りでは考え込まずに、既に鍼灸師になっている人などに気軽に何でも相談するのをおすすめします。

楽しい女子会はあっという間に終わってしまいました。もっとお話ししたかったなというのが正直なところですが、また何かのご縁でお会いすることがありましたら嬉しいです。

今回お話ししようかと幾つか考えていた中で、会場で話せなかったことがあります。
それは私自身これまでのことを振り返り、本当に大切だと感じたことで、これからも忘れないようここに書いておこうと思います。

『守破離』
しゅはりと読みます。
武道や茶道などにおける、師弟関係のあり方の1つとされています。
私には師匠がいるので、そのまま自分に当てはめやすいのですが、師匠を学校などに置き換えてもいいと思います。

守・・・師匠から教わった型を守る。修行の始まり。
破・・・教わった型を自分と照らし合わして研究し、自分に合ったより良い型をつくることで既存の型を破る。
離・・・師匠の型、また自分自身が造り出した型から離れる。そうすることで自在になれる。

何より大事なのは、まずきちんと「守」を実践すること。そこらかしか道は始まらないですし、「守」抜きではその後どんなに自分なりに経験を重ねても土台は脆いまま。だから全ての基礎となる学びをしっかりと行う。
次にその基礎を生かしつつ、型を「破」り自分に合う型に変えていくこと。いつまでも型を破らないままでは、それ以上の進歩が望めないと思います。
そして、学んだ型、築き上げた型、両方から「離」れて自由自在になる境地を目指すこと。これは一生涯をかけるものになります。
私の師匠も常に新しいことに挑戦し、その歩みは止まることがありません。その姿を見て、私もひたすら精進し続けていきたいという気持ちになります。

女子会の中での治療のデモンストレーションで、教員の方が簡単そうに治療されていましたが、それは「守」をきちんとされてきたからこそ。確かに学生でも鍼灸の効果は出せるようになりますが、ツボを探す精度を高め、より高い効果を持続させるような治療は、更なる学びと経験を経てからとなります。
学校選びはとても大切ですが、学校に入ったからといって何もかも教われるということはありません。むしろ、自分の意志がなければ、何も学べず時間が流れていくだけになってしまう可能性もあります。状況に関わらず、自分がどうなっていきたいのか理想や目的を常に明確にしていくことが大切だと思います。

今回参加された方々の中にも、今年、もしくは来年以降に鍼灸学校に入学される方がいらっしゃると思います。
3年間は長い様にみえて、あっという間に過ぎ去って行きます。
不安を抱えたり焦ったりすることがあるかもしれません。自分だけが出来ていないと感じることがあるかもしれません。でも、今回参加された皆様の真剣さは素晴らしく、一人一人が熱意を持って学ぼうとしているのを感じたので、きっと大丈夫でしょう!

いろいろと書きましたが、鍼灸、東洋医学を学ぶのは本当に奥深く、とってもやり甲斐があります。何より楽しい!

在学中はいろんな出会いがあります。
みなさまにとって素晴らしいご縁がありますように
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鍼灸師、胃痛になる

2015-01-19 22:05:46 | 鍼灸
昨日、久しぶりに食べ過ぎて、夜、激しい胃の痛みに襲われました

中学生の頃から胃痛に悩まされ、疲れすぎたり食べ過ぎたりするとすぐに激しい痛みが出て辛かった時期があったのですが、鍼灸師になってからは全く縁がなかったこの痛み。
まっすぐ仰向けになって寝ることも厳しい状態だったので、すぐに夫に治療をお願いしました。

食べ物による胃痛には、裏内庭というツボがよく効きます。
今回はまずこの裏内庭にお灸をすえてもらいました。
熱く感じるまですえてもらうのですが、右足はかなり沢山すえてもらっても熱くなく、しばらくして熱さを感じたところで終了。反対に左足は1壮すえてもらっただけで凄く熱く感じました。(お灸を数える時は~壮といいます。)

次に足三里と上巨虚に鍼を刺してもらいました。(どちらも胃に関係する、足陽明胃経という経絡に属します。)
私は元々かなり鍼の刺激に敏感な体質。覚悟はしていたものの、調子がわるいためにいつも以上にツボに反応が出ていて、予想以上の刺激にびっくりしました

ちなみに私たち夫婦は鍼灸師同士なので、症状を速やかに治すためにはお互い容赦なく治療をすることが多いのです。だからお灸も半端なく熱い昔ながらのやり方をしたり、鍼も遠慮なく刺したりします。
患者さんへの治療には基本的に用いませんので、ご安心を


おかげさまで治療して10分ほどでほぼ良くなり、ぐっすり眠れました

翌朝、多少胃の辺りに重い感じが残っていたので、2回目の治療をしてもらいました。
今度は打鍼という刺さない鍼での治療。受けたのは久しぶりだったので、その独特の響き方と症状に対する効果の現れ方が新鮮でした。

たまに体調を崩すと自分自身でいろいろと治療方法を試すことがありますが、やはり人に治療してもらった方が良く効きます。
特に今回のような急性の症状の場合、数回の治療で良くなることがほとんどです。
慢性的な症状に関しては、気長に治療を続けて頂く必要があることも多いのですが、短期間で体質が変わって良くなることもあります。

先日いらした患者さんが、「鍼ってすぐには効果が出ないイメージがあったのだけれど、即効性がある症状と、じっくり治療を続けることでじわじわ効果が出る症状と、2種類あるような気がします。」と話されていました。
まさにその通りです。

どんな症状の時に鍼灸治療を受けたらいいか分からない方、これまで鍼灸治療を受けてもなかなか効果がでなかった方、ご自宅でのお灸をするのも含めて、東洋医学をぜひお試しいただけたらと思います
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鍼灸治療を受けたあとの身体のいろいろな反応

2015-01-15 23:26:37 | 鍼灸
鍼もお灸もとても小さな道具なのですが、その小ささからは想像できないほどの大きい力を持っています。

肩こりや腰の痛みが軽くなるといった比較的分かりやすい変化を起こす力もありますし、その人の体質自体を変える力もあります。
私は、どのような症状を抱えている方にも体質改善を目的に治療しています。そうすることで、その人自身が持つ自己治癒力が高まり、症状が改善するのが早まるからです。


鍼について説明する際に、鍼の太さは髪の毛ほど、と表現することがあります。
人によって髪の毛の太さが異なるように、鍼も0.02mm刻みでいろいろな太さがあります。(たった0.02mmでも、治療を受ける時の感じは変わります。)
どの太さの鍼を選ぶかは鍼灸師によってそれぞれですが、私の場合、通常使用する鍼は直径0.12~0.18mm。
患者さんにできるだけ傷みを感じないように施術していますが、やはり鍼は体にとっては異物。刺激に敏感な体質の方にはさらに細い鍼を使用します。

鍼灸治療を受けるのが初めての方や、以前鍼灸治療を受けた際に痛くて辛かった経験をされた方には、特に慎重に施術をしています。
体質も、刺激に対する感じ方も人それぞれ。
鍼の刺激に敏感で、効果をすぐに感じやすい方。
鍼の刺激には敏感だけれど、すぐには効果を感じない方。
鍼の刺激は平気で、効果もすぐに出る方。
鍼の刺激はなんとも感じなくて、効果も出づらい方。
と、様々なタイプの方がいらっしゃいます。

敏感な方は治療による変化が早いことが多く、ほんの少しの刺激でも身体が勢いよく変化していくことがあります。
何となくだるくなる、トイレが近くなる、尿量が増える、下痢をする、とても眠くなる、などといった症状が出ることがあります。
これらは好転反応といわれるもので、全てが一時的、長くても1~2日で自然に治まります。

体質が変わっていくサインとしても現れるので良い兆候ですし、患者さんにはそのことをしっかりお伝えしていますが、そうはいっても驚かれる方、不安になる方もいらっしゃいます。(私自身も学生の頃に何度か思わぬ変化にびっくりした経験があります。)
そんな時はまず治療を担当した鍼灸師に相談して頂くのが一番。
施術後に身体の変化で気になることがある方は、悩みすぎずに、ぜひ相談して下さいね
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あたたまる

2014-12-20 23:55:06 | 鍼灸
一ヶ月ほど前の天気予報では暖冬傾向となっていましたが、寒さが厳しい気がします。
美しかった紅葉もすっかり落ちて枯葉が舞っているのが、いかにも冬といった感じです

国分寺駅から治療院まで殿ヶ谷戸庭園沿いの緩やかな坂道を通るのですが、駅から来られる患者さんにとって、行きは下り、帰りは登りとなります。
膝や股関節や腰などに症状がある場合は、下りも登りも関節に負担を感じやすいと思います。
この季節はそれに加えて寒さによる冷え症状も出ますので、強ばりや痛みをより感じやすくなるかもしれません。


そんな辛さが少しでも軽くなるよう、鍼とお灸を使って治療をします。お灸は寒い季節の方がより温かく気持ち良く感じる方が多い気がします。

定期的に来られている患者さんが、前回ここを出てからしばらく足がポカポカしていつもより楽に歩けた、とおっしゃってくださることがあります。
その言葉で私もほっこりあたたまります


ここ数年、クリスマスらしい飾り付けはしなかったのですが、今年はブルーバードという木とサンキライでツリーっぽくしてみました



今年もあとわずか。みなさん大忙しで、あっという間の毎日だと思いますが、時々一休みを入れてくださいね

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