はりぶろぐ

鍼灸師のブログです。東京都国分寺市にて孔和堂鍼灸院を開業しています。
http://kouwado.com

ストレスと鍼灸治療

2014-11-19 23:25:00 | 鍼灸
ストレスと無縁の生活をするのは至難の技。
一口にストレスといっても、精神的なものばかりではありません。
強風や大雨や強い日差し、厳しい寒さなど外側からの刺激もストレス因子となります。
また、体調が良くないときには、ちょっとした風でも体にとって辛い刺激となり得ます。

もちろん怒りや悲しみなど精神的なストレスは、内側から体にとって辛い症状を引き起こします。

多少のストレスがあることでモチベーションが上がり様々な活動が可能となることもありますが、やはりストレスはマイナスの印象が強いものです。


このストレスによって影響を受けやすいのは自律神経。

緊張した状態が続いたり、ずっと頭を使って考え事をしている時などは、交感神経の働きが優位となっています。
こういった時は、夜なかなか寝付かれなかったり、眠っても夢を沢山見て寝た気がしなかったりします

反対に、体が疲れ過ぎて頭が働きづらい時や、何もやる気がせずにだらだらと過ごしてしまう時は、副交感神経の働きが優位になっています。
体が重たくて何をするにも億劫に感じたり、一日中眠気が取れなかったりします

これら自律神経のバランスが崩れているときに鍼治療をうけると、自然にバランスが調整されて心身が落ち着きます。
どのツボでも用い方によってリラックス効果があり、中にはそういった効果が特に高いといわれているツボもあります。


頭がさえて眠れない患者さんや、緊張する状況に置かれている患者さんに治療すると、
反応が早い方だと治療中に眠気がやってきます
治療直後は反応が感じられなかった場合でも、帰宅したら急に眠気がきてびっくりした、とおっしゃる方が多いです。

身体が重だるく疲れがたまっている患者さんや、やる気がなかなか湧いてこない患者さんに治療すると、
頭がすっきりしたと感じる方が多いです
また、顔に赤みがさして、脈に力がでてくる方もいます。


日本人は働き過ぎだと昔からよく言われますが、患者さんのお身体を診ていてもつくづくそう感じます。


あと6週間後は大晦日!
年末に向けてさらに忙しくなっていきますが、一休みしながら乗り切りましょう







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東鍼祭

2014-11-07 00:38:30 | 鍼灸
先日、東鍼祭に行ってきました。
前回行ったのは何年前か思い出せないのですが、、、とにかく久しぶりでした!

東鍼祭では、1,2年生が合同で無料あんま・ネパール棒灸・模擬店などを行います。
パンフレットによると、今回は開催を中止する可能性もあったそうです。
(今年の1年生から昼間部の授業時間が変更になり、2年生との合同練習時間がとりづらくなったのかな?)
確かに例年に比べて小規模でしたが、途絶えることなく開催されて良かったです。


今年の講演会は、金子宗明先生による『小児鍼について』。
師匠以外の小児鍼の実技を見るのは卒業後初めてだったことと、少しずつ小児鍼をする機会が増えてきたこともあり、新鮮な気持ちでいろいろと学べた貴重な時間となりました。
隣の席に座っていた学生の方がメモをびっしり書きながら聴講されていて、その一所懸命さに学生時代の雰囲気を思い出しました。

東鍼祭には業者販売のコーナーもあり、様々な鍼灸道具や書籍が並んでいます。
気になる本をチェックしていた時に後ろから突然声をかけられてびっくり
振り返ると懐かしいクラスメイトの顔が
少しだけでしたが近況報告できてうれしかったです


一つ残念だったのは、今年はネパール棒灸のコーナーがなかったこと。
来年度復活してくれたら嬉しいですが、いろいろと変化していくのが常。
また新しい取り組みが始まるかもしれませんし、今後の東鍼祭を卒業生の1人として今後も楽しみにしたいと思います




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テレビを見て2

2014-10-30 08:44:56 | 鍼灸
先日、テレビ番組に畑美奈栄先生が出演されていました。

畑先生は東洋鍼灸専門学校の大先輩。現在75歳です。
ネパールで東洋医術(はり、きゅう、按摩マッサージ指圧)の技術者養成と普及、無料巡回治療(ヘルスキャンプ)など数々の活動をされています。

在学中私は東鍼祭(東洋鍼灸専門学校の学園祭)でネパール棒灸実演の担当だったこともあり、畑先生にお会いする機会がありました。
小柄なのにパワフル、明るい笑顔とさっぱりした語り口が特に魅力的で、2回お会いしただけなのに今でも当時の記憶が鮮明にあります。

テレビ番組内で紹介されていた数々のエピソード。
波乱万丈とはよく耳にしますが、本当にその言葉通りの人生を歩まれてきたのだと感じました。

ご自身に起こった様々な出来事を乗り越えられた後、ご自分へのご褒美として旅行したネパールで、鍼灸師を目指すきっかけとなる出来事があったそうです。
それは、トレッキング中に病院も薬もない山村を通りかかった時、病に苦しむ子供を抱えた母親に助けを求められたのに、何もできずにその場を立ち去ったこと。
手を差し伸べられなかった自分を許せなかった、と番組内でおっしゃっていました。
そして、その後しばらくしてご自身が高山病になり、たまたま同じホテルに宿泊していた日本人ご夫妻に症状を聞かれ、体をさすってもらううちに症状が改善していったこと。
薬や医療機器を使わずになぜこんなに体が楽になるのか?不思議に感じたそうです。
このご夫妻の職業は鍼灸師。
山中で出会った親子を助けられなったことをご夫妻に話したところ、
「もしそう思うのならあなた自身が鍼灸師になってネパールで鍼灸を広めればいい」
との一言が。

その一言で一念発起し、帰国後、46歳で鍼灸学校に入学し、49歳で鍼灸師の資格を取得後、再びネパールへ。
その5年後に鍼灸学校を設立。
(1人で鍼灸治療をしても知れている。1人が10人診るとしたら10人100人診れて、100人育てれば1000人診られる。というのが理由だそうです。)
58歳の時に無料巡回治療(ヘルスキャンプ)を始められ、現在も無医村や貧困層の多い地域で治療を続けられています。

畑先生にお会いした時に、日本に比べてネパールは湿度が高く、住居が土壁など湿気を含みやすい材質で建てられており、日本では見られないような重症の関節症の方が多いと聞いたことがあります。そのため鍼灸学校で学んだ技術では治せないことも多々あり、患者さんの症状や状況に応じて臨機応変に判断し、より良い治療法を編み出していくのだとおっしゃっていました。

状況に応じて判断し、最善を尽くせるように努力する。
これは鍼灸師だけではなく、すべての仕事に共通することだと思います。
実践していくためには、目の前のことにしっかり集中することと、強い意志を持つことが必要だと思いました。

自分がどうしたいのかを明確にして、その為に何をすればいいかを考え、努力を惜しまずにひたすらやり続ける。

畑先生は苦しむ親子を助けられなかった出来事を経験されて、2度と同じようなことを繰り返さないように、人の役に立てるようにと努力を重ねられてきたから、今もネパールの人々のために働き続けられているのでしょう。

私も今いるこの場所でご縁のあった患者さんに、より良い治療ができるようがんばり続けたいです!


ところで、ネパール棒灸は通常のお灸とはやり方がかなり異なります。
衣服を着たまま行うのですが、服の上にタオルを乗せて、そこに直接棒灸を当て、ミトンで熱を封じ込めるようにしていきます。
まるで温泉に入っているような心地よい温かさが魅力です。
東鍼祭で実演した時も、うとうとされる方がたくさんいました。
難点は煙が多くて、独特の匂いがあること。
通常のもぐさでも煙や匂いが苦手な方がいるので、治療に使うのは厳しいと思っていましたが、今回畑先生が代表を務めるよもぎの会のHPを見ていて煙を減らす道具があることを知りました!
久しぶりにネパール棒灸を購入して、まずは自分用に使ってみる予定です



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お灸の注意点

2014-10-12 11:15:00 | 鍼灸
台風が来る度に段々寒くなってきましたね
こういう季節には自宅でのお灸を患者さんにお勧めする機会が増えますが、その際に注意事項をお伝えしています。

先日このブログでも自宅でのお灸について書いたのですが、注意点についてお伝えしていないのに気付きました

お灸はとても気持ちの良いものです。
最近は台座の付いたお灸が実店舗でもネットショップでも購入可能で、気軽にお灸できるようになりましたが、火を扱う、ということを意識する必要があります。

以前、友人が自宅でお灸をしていた時、フリースの袖口が気付かないうちにお灸に当たって溶けていたことがあったそうです
化学繊維は熱に弱く溶けやすいので、長袖や、重ね着をするこれからの季節は特にご注意ください。

また、台座の付いたお灸は直接肌に触れないのでやけどすることはほとんどないとされていますが、体質によっては水ぶくれになったり茶色く着色してしまったりします。
冷えなどに効果のある三陰交というツボの辺りの皮膚は白くて薄い部分なので、水ぶくれや着色が起こりやすい可能性があります。
比較的丈夫な、足三里(足のすねの部分にあるツボ)辺りで試されるといいかもしれません。

治療していても時々自宅でのお灸によるやけどの痕を見かけるので、どうぞご注意くださいね
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抜歯のタイミング

2014-10-02 20:30:58 | 鍼灸
ずっと通ってくださっている、女性の患者さんのお話です。


調子が良くない時はもちろん、メンテナスとしても月に1,2回通って頂いていて、今回来院された時も特別辛い症状はないけれど、とのことでした。

いつも通りに脈診・腹診・舌診をしたところ、普段と違う状態になっています。

いつもと違うサインが出ている場合、自覚のあるなしに関わらず、必ず体調が変化するきっかけがあったはずと考えます。
最近特に何も変わったことはないとおっしゃっていましたが、治療を始めてしばらくすると、
「そういえば2週間ほど前に親知らずを抜歯をしました」との言葉が!
詳しく伺うと、その時生理中だったことも判明しました。


女性の体にとって毎月の生理はとても大切です。
生理中は体外に血液が排出されますが、東洋医学的には血とともに体内の熱が出ていくとも考えることから、
特に体が冷えやすい時期と解釈されます。

また、この方は仕事柄、常に目を酷使しています。
東洋医学的には、目を使い過ぎると目を栄養している血を使いすぎて、血の量が減っている・血の栄養分が薄くなっている状態と考えます。

つまり、この時の患者さんの状態は、
生理や目の使い過ぎで血の量が減って身体が冷えているところへ、抜歯によって更に血が少なくなってしまったということ。
もちろんそのような状態から2週間経っているので、ある程度血の状態は改善しているにせよ、まだまだ回復してはいなかったのだと思います。

なので、血が元気になるように、気血のめぐりが良くなるように、鍼とお灸をしました。

鍼灸治療というと、痛みをとることが主なものだと考えている患者さんも多いのですが、実は、こういった女性ならではの症状にも対応できます。


先日、その患者さんが2度目の抜歯の後に来院されました。
脈診・腹診はいつも通り、舌診は多少疲れのサインが出ていましたが、前回のように気になるほどではありませんでした。
今回も前回と同じように鍼とお灸をしましたが、短期間に2回抜歯が続いていることも考慮して、いつもよりお灸を多めにすえました(東洋医学では鍼は気の調整を、お灸は血の調整をするという考えもあります)。

治療後はすっきりしたとおっしゃってくださいました


これから抜歯を受ける方、タイミングには気を付けてくださいね。




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おうちでお灸

2014-09-22 22:50:32 | 鍼灸
朝晩だいぶ涼しくなってきました。

夏は素足で過ごすことが多かった方も、そろそろ冷え対策として靴下やレッグウォーマーが恋しくなる季節ではないでしょうか?

冷え対策として、ここ数年、自宅でお灸をする方が増えてきているようですね
わたしも患者さんに自宅でのお灸をおすすめすることがあります。
火を使うので初めは抵抗を感じる方も多いのですが、お灸をすえ始めるとその効果を実感して習慣になる方もいます。

台座のついたお灸はドラックストアやネットショップでも購入できますし、火傷の心配も少ないので気軽にできるかと思います。
もちろん、もぐさを使ったお灸の方が刺激量の調整も出来て慣れるとすえやすいのですが、日々手軽に続けられる方法が一番だと思います。


私は体調管理や症状の改善に、もぐさを使ってお灸をすえています
冷え対策としてよく使うツボは、三陰交(さんいんこう)と太谿(たいけい)です。

三陰交は女性におすすめのツボです。
足の内くるぶしの一番高い所から膝に向かって指4本分(親指以外の指をそろえる)上にあります。
女性特有の症状、例えば生理痛の軽減や妊娠の安定・更年期障害の諸症状などに対してよく使われます。
足の内側を3つの経絡が走っていて、三陰交1つだけで3つの経絡の流れを良くすることができるといわれています。

太谿はオールマイティなツボです。
足の内くるぶしの一番高い所とアキレス腱との間のへこんでいる辺りにあります。
肩こり・腰痛・足の疲れ・精神安定・喉の痛みや咳などの呼吸器系の症状、手足の冷え等々、いろんな症状に効果があります。


どちらのツボも、お灸の場合には正確な場所を見つけないと効かないというわけではありません。
お灸をすえる前にまず自分の目安となる辺りを触ってみて、他の場所に比べて凹んでいたり冷えているように感じる所にすえれば大丈夫です。

興味はあるけれど勇気が出なくて・・・と迷っている方は、ぜひ一度気軽に試してみてくださいね~

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鍼灸師、鍼灸治療を受ける

2014-09-15 21:37:42 | 鍼灸
普段は鍼灸治療を行う側の私も、時々鍼灸治療を受けます。

夫が鍼灸師なので、いざという時も、そろそろメンテナンスしておこうかなという時も、とても助かってます!


鍼灸師は沢山いますが、全く同じ治療をする人はいないと思います。

ちょうど山頂に向かう登山道が幾つもあるように、症状や体質を改善するというゴールに向かう治療方法は様々、どの方法でも結果として体が楽に元気になるということです。

私と夫の場合も然り。
どのように鍼をするか、どのツボを使うか、治療を受けていて新鮮に感じることがよくあります


今回はかなり疲れがたまって体が重く感じていたのですが、おかげさまでスッキリ楽になりました!

やっぱり鍼灸はいいなぁ
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祝!開業

2014-07-18 17:31:53 | 鍼灸
友人が治療院を開院しました



かわいいデザインの名刺ですよね

場所は東急の日吉駅から徒歩4分、うちと同じ、隠れ家的な雰囲気の治療院です。

彼女とは同じ整体院で働いたのが縁で知り合い、お互い猫好きということもあり仲良くなりました

出会った当時は二人とも鍼灸学生でした。通っている鍼灸学校が違ってたので、いろんな情報交換をしたりしてました。
時が流れるのは本当に早いです。

私は経絡治療、彼女は中医学に基づく鍼灸治療を学んでいて、同じ鍼灸だけれど治療内容はかなり異なります。
治療に関することを話す度に、お互いのアプローチの違いに驚くことがよくあります。
使用する鍼の太さも違いますし、同じツボでも使う理由が違っていたりして、
治療へのアプローチは真逆といってもいいくらい異なることがあります。
でも、患者さんが本来持っている自然治癒力を高めて元気になるお手伝いをするという目的は一緒

長年、中医学を勉強している彼女の話を聞くと、私ももっと頑張ろう!とやる気が高まります


彼女の自宅にいる猫さんです



素敵な治療院を見学できて、久しぶりにたくさんお話しました。
これまた久しぶりに猫さんたちとも触れ合えて、とても楽しい一日でした



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温灸読本

2014-07-12 00:01:54 | 鍼灸
「温灸読本」を購入しました。
著者は、宮川浩也先生。
鍼灸学校での授業や以前参加していた勉強会で、お世話になった先生です。

私が東洋鍼灸専門学校に入学しようと思ったのは、学校説明会での宮川先生のお話を聞いたことがきっかけです。
在学中に受けた授業は先生の人柄の良さがいつもあふれていて、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。

「温灸読本」はタイトル通り温灸のやり方が解説されている本です。
温灸入門書とされていますが中身はなかなか本格的で、かつて授業で教えてくださった経脈に関する解説もしっかりされています。
イラストや写真もたくさん掲載されていて、より理解しやすいと感じました。
変わらない先生の優しいお顔にもほっとします


これを機に今一度基本を学んで、日々の臨床に役立てたいと思いました

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テレビを見て

2014-07-04 21:56:32 | 鍼灸
先日、テレビ朝日で「林修の今でしょ講座 東洋医学VS西洋医学 日本人が悩む8つの病気と症状を解決3時間SP」が放送されました。
東洋医学に関わる仕事をしている方は、ご覧になった方が多いのではないでしょうか。


番組では、腰痛・肩こりには鍼灸治療が、風邪・冷え性・アトピーには漢方が有効であるとされていました。

腰痛・肩こりの鍼灸治療の講義は、明治国際医療大学・片山憲史教授。
腰痛については、ぎっくり腰の治療風景が流れ、15分ほどの施術で痛みが取れて可動域が大きくなった様子が映されました。
また、スタジオで片山教授が腰腿点(ようたいてん)というツボに鍼を刺し、立位体前屈の結果が大きく変わるという実験をしました。
肩こりについては、合谷(ごうこく)というツボを指圧することで症状の改善がみられるという説明でした。

鍼をしてなぜ症状が良くなるのかという質問に対しては、鍼を刺すことで生じた傷に白血球等が集まり修復力を高める、とのことでした。
経絡っていったい何なの?ということに関しては、いろいろと研究されていてもいまだに解明ができていないことや、それでもどうやら経絡の通り道が神経や血管の流れに近いことが分かっているということでした。
また経絡を電車の路線に例えていましたが、やはり分かりやすいなと感じました。
多くの鍼灸師が経絡の説明を電車の路線で例えることが多いです。鍼灸学校の先生も電車で例えていました。私もその一人です(笑)

東洋医学は言葉にして説明するのが難しいところが多々あります。
限られた放送時間内で説明するのは大変だと思いましたが、西洋医学に基づいた説明は、まだ鍼灸治療を受けたことがない方々にも理解しやすかったのではないでしょうか


漢方は新見正則医師が講義されました。
西洋薬は1つの原料から本当に効く成分だけを抽出して作り出される引き算の知恵であるのに対して、漢方薬は足し算の知恵であるとの説明でした。
また、漢方薬は経験の蓄積で出来上がったものだとも言われていました。
漢方薬を構成する一つ一つの生薬は身近なものが多く、それ単体を服用してもそれほどの効果はない。けれども、それらたくさんの生薬の中から適切な組み合わせを見つけ、それぞれの症状に合った処方内容を見つけていった、という途方もない作業を昔の漢方医はしていたんですね


東洋医学について記されている古典を目にするたび、漢方も鍼灸も実地で何度も何度も試しつづけた方々がいたおかげで、今の私たちが東洋医学の素晴らしさを味わうことができているのだと実感しています。今も昔も誰かをなんとかして治したい、という思いは一緒なのかもしれません。

こうした番組がきっかけとなり、鍼灸治療を受けてみたいと思ってくれる方が増えるとうれしいです
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帰省してきました2

2014-07-01 21:15:59 | 鍼灸
1日目に引き続き、2日目はさらにいい天気

まずは祖母にお灸をすえに行ってきました。
以前このブログにも書きましたが、祖母は以前は自分でお灸をしていたこともあり、いつもお灸をとても楽しみにしてくれています。

地元に帰るとお灸よりも「やいと」と言う方がしっくりくるので、祖母には「やいとすえるね」と声をかけて始めました。


身体の状態とツボの反応をみて、今回は、湧泉・三陰交・太谿・足三里・百会を選択。

昔の話を聞きながら、ゆったりとした時間を過ごせました


午後は小学生の頃に行ったきりになっていた松山城に行ってきました。

何十年?ぶりにリフトに乗って松山城へ


石垣がきれいに積まれてます
昔の人はすごい!


天守閣から撮影


夫が松山城に行きたいと言ってくれたおかげで、すっかり忘れていた記憶も蘇えり、観光気分も味わえたりで、とても楽しい時間を過ごせました

帰路に着く前に、ちょこっと友人宅へお邪魔して、ここでもお灸を。
出産を再来月に控えているので、少しでもお産が楽になるようにとお灸をすえました。

今回はいつも以上にハードスケジュールでしたが、いろんな所に行って、おいしいものを食べて、いろんな人に会えた、充実した2日間でした
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医は仁術

2014-06-15 18:52:10 | 鍼灸
上野・国立科学博物館の「医は仁術」展に行ってきました!
3月に始まってから、いつか行こうと思いつつギリギリになってしまいましたが、間に合って良かったです

江戸時代の医療は東西の医学がそれぞれに発展した時期だったのだと思います。

東洋医学では、鍼灸や漢方の分野で日本独自の道具や方法が編み出されていった時期。
西洋医学では、日本初の人体解剖や解体新書の翻訳など、それまで全く知らなかった分野が入ってきて現代医学への発展が始まった時期。

当時の人々が真剣に医学を深く学び、病で苦しんでいる人の為に努力を重ねられた痕跡が、様々な資料に見られました。

鍼灸師にとって親しみのある書物・展示品も沢山あり、ついつい見入っているとかなりの時間が経っていてびっくり!

傷寒論という書物です。赤字で沢山書き込んで勉強されてますね。


脈机。脈診(手首の脈に触れて体質や病状をみること)する際に使われていたようです。


江戸時代に使われていた鍼灸道具。
今のものと比べるとかなり太いです。


舌診(舌の色や形などで体質をみること)についての資料。かわいいイラストです。


木で作られた骨格模型。日本人の器用さ、技術の細かさはすごいと思います!


とても良い刺激を受けて、私自身もさらに精進したいと思いました!
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感謝

2014-02-22 22:50:21 | 鍼灸
今朝、末期がんの患者さんがお亡くなりになりました。
最初の治療が昨年の11月、約3ヶ月半私の治療を受け続けてくださいました。

ここしばらくはホスピスに通っていたのですが、昨日が最期の治療となりました。

いつもご自分よりも周りの人のことを心配されていました。
痛みのコントロールがうまくいかずお辛そうな時も度々ありましたが、常にあたたかく気遣いをされている姿が強く印象に残っています。
本当に優しい方でした。

私は人として、鍼灸師として、とても多くのことを学ばせて頂きました。


この方から頂いたたくさんの優しさを忘れずに、これからも鍼灸師としてできる限りのことをしていきたいと思います。

本当にありがとうございました。




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基本が大切

2013-08-24 12:56:17 | 鍼灸
先日、師匠の誕生会に行ってきました。

60代後半になってもますます精力的に活動され、大ベテランになった今でも鍼灸に対する熱心な学びの姿勢は一切変わりません。

今回印象に残ったお話の一つは、常に基本を学び続けるということ。
学生の頃は頭の中にいろんな知識が詰まった状態でも、卒業後は少しずつ抜けていきます。
ベストな状態を保つには、ひたすら学びを繰り返す。
特に一番の基礎となる、正しい経穴の位置や、その経穴の持つ特性を理解し、臨床でより良く使えるようにするということです。

経験を重ねると様々なケースに対応できるようにはなるけれど、それは基礎がしっかりあってのこと。

日々忘れずにしっかりやっていきたいです
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初めての患者さん

2013-08-19 23:44:01 | 鍼灸
私の初めての患者さんは、母です

物心ついた頃から、母の肩をもんだり、足を踏んだりしていました。
記憶がはっきりしているのは小学3年頃からですが、もっと小さい時からやってたのかな。
それから現在に至るまで、施術を受け続けてくれています

子供の頃はいやいや行うことが多かったのですが、気持ちいい、とか、楽になった、とか言われると嬉しくて、段々と真剣に行うようになっていきました。
自然にツボにも興味を持って、中学生の時に初めてツボの本を買い、その面白さにはまっていきました。
この頃から人の体に触れる訓練が出来ていたことになるので、母にはとても感謝しています

子供の頃から不器用だった私が鍼灸師になると言い出した時、母は反対しました。
何をするにも時間がかかり、失敗する場面をたくさん見てきた親として、心配で仕方なかったのでしょう


良い師匠に出会えたこともあり、今は無事鍼灸師になることができましたが、勉強し始めの頃から鍼の練習台になってくれたのは母でした。

率直に厳しい感想を言ってくれたのも身内ならでは。
時には悔しい思いをしながらも、早く一人前の治療ができるように頑張れたのも母のおかげです。
本当に有難い存在です


元々身体が丈夫ではないのに、じっとしているのが苦手で常に動き回っている母。
還暦を過ぎてからは少しは私の意見も聞き入れてくれるようになりましたが、まだまだ気は若く頑固です!

しょっちゅうは会えないので、帰省した時に集中して治療していますが、普段の養生が何より大切だと思うので、
昔のような無茶はせずに穏やかにすごしてもらいたいなぁと、いつも願っています
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