昨年、鍼灸師の友人にすすめられて、『素直なカラダ』という漫画を買いました。
東洋医学の世界に興味を持ってくれている患者さんたちにおすすめしたり、待合室でご家族を待っている方に読んでもらったりしています。読んだ方からは分かりやすくて面白いと好評です。
作家の東野柚子さんは、漫画家であり鍼灸師。
作品の舞台である盛岡のご出身だそうです。
東洋医学の基本的な考えをしっかり踏まえつつ、親しみのある物語で鍼灸治療の魅力が描かれています。
この漫画に登場する患者さんたちは、鍼灸治療院においてよくみられる症状を抱えています。
各症状の特徴を捉えて分かりやすく表現されていて、東洋医学についての説明も所々に描かれており、とても読みやすい作品となっています。
一口に鍼灸治療といってもさまざまな治療方法があるので、鍼灸の持つ世界観をどう表現するか、考えるのが大変だったのではないかと思います。
鍼灸治療を受けたことのある人はまだまだ少ないのが実情。興味はあるけどやっぱり抵抗がある、といった方も多いようですが、この漫画は鍼灸治療っていいかも、と思わせてくれるきっかけになると思います。
これは私の考えですが、本のタイトルになっている通り、本来身体というものは「素直」であることが理想だと思います。
仏教用語に「身心一如(しんじんいちにょ)」とありますが、東洋医学においても、身体と心の状態は切り離せない1つのものという概念があります。
身体と心の状態が一致した状態は「素直」といえます。身体が辛い時にはそれに応じた反応がツボに現れるし、身体が元気な時にはツボに反応はありません。
ストレスを感じて体調がわるくなったり、低気圧の影響で頭痛が出たり、状況に応じて変化するのが「素直」な身体です。初めは日常生活に大きく影響が出ていても、治療と養生を続けることで速かに症状や体質が改善することが多いです。
無理しすぎるのが当たり前の生活になっている方は、疲れのサインすら身体に現れづらくなっている場合があります。それは身体が「素直」でなくなっている状態で、治療しても効果が出るまでに時間がかかることが多いです。
すぐに体調を崩しがちな方はそれを気にして落ち込んでることもありますが、「素直」な体であることにまず自信を持っていただきたいです。
現代医学の進化により救われる命が増えて治せる病気も増えましたが、病院に行くほどではないけれど気になる症状を感じている方は、この漫画を読んで東洋医学における診断と治療の世界をのぞいてみてください。