ここ数年、小型の扇風機を持ち歩いている人が増えました。
以前に比べると猛暑日とされる日数が増え、体温を超える危険な暑さを少しでも凌ぐには必須のアイテムとなりつつあるのかなと思います。
ただ、東洋医学的には直接身体に風を当て続けることはおすすめしかねます。
私たちの身体には防衛機能が備わっています。「衛気(えき)」という種類の気の働きが主に防衛機能を担っています。単純に、身体を覆っている皮膚自体のこととして考えてもらって構いません。
皮膚も呼吸をしています。このことを東洋医学では腠理(そうり=肌のきめ)の開闔(かいごう=開いたり閉じたりすること)と云います。
腠理(そうり)は毛穴をイメージしてもらうと良いと思います。暑い時は、熱や汗を放出するために開いて、適切な量を出せたらまた閉じる。寒い時は、体内から熱が逃げないように閉じて身体を温める。意識していなくても自動的に身体が調節して行ってくれています。
扇風機などで常に体表に風を当て続けてだるくなった経験がある方も少なくないと思いますが、これは腠理の開闔がうまくできなくなっている状態です。だるくなるくらいいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、これは身体からの大事なサインのひとつ。そのまま風に当たり続けていると皮膚の防衛機能が一気に低下して、外邪(がいじゃ)と呼ばれるウイルスや細菌などが体内に入り込む隙を作ってしまうのです。
特に今年は梅雨の長雨に加えて強風が吹き荒れる日が多いので、私たちの身体はすでに風の影響を受けてその隙が出来つつある状態とも言えます。
風を直接身体に当て続けないよう、上手に扇風機を使って頂けるといいかなと思います。
ところで、この防衛機能を担っている「衛気」ですが、飲食物から作られます。
東洋医学には食事を薬として摂る考えがありますが、旬の食材を中心にバランス良く食べることも大切です。そして、暑いからと冷たいものや喉越しの良い麺類ばかり食べていると、「衛気」を作る場でもある胃腸が弱ります。
私たちの身体を維持するために必要な食事の面からまず整えて、熱中症や夏バテにならないように過ごしましょう。