゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

バイオプラスチック「田口 精一さん」

2009-02-23 15:32:41 | 人物100選

北大大学院工学研究科教授 特殊な酵素大腸菌に導入

100_1090 力や熱が加わると変形するプラスチックは使い                              勝手の良さから暮らしに欠かせない素材だ。た                              だし、原料である石油の有限性などから、植物                              由来のバイオプラスチックが注目を集めている。                              遺伝子工学を用いて特殊な酵素機能を組み込                             み、微生物の体内でバイオプラスチックの合成                              に成功した北大大学院工学研究科の田口精一                             教授(バイオ分子工学研究室)は「次は植物。                              最終的にはススキなど雑草でバイオプラスチッ                              クを直接合成させたい」と話す。

バイオプラスチック研究は約80年前、フランスの                             ルイ・パスツ-ル研究所の研究者が、納豆菌の                              仲間が体内でプラスチック(ポリヒドロキシアルカ                              ン酸=PHA)を作っているのを発見したことに始まる。実用化されてい                 る乳酸プラスチック(ポリ乳酸=PLA)は植物由来の糖や植物油を乳                             酸発酵させ、金属触媒で化学重合(ポリマ-合成)する複雑な過程                             が必要だったが、田口教授はトヨタ自動車、豊田中央研究所と共同                              で大腸菌だけで乳酸プラスチックを重合させることに成功、基本特許                             を出願した。「カギは乳酸をつなげる機能を持つた、生体触媒である                             乳酸重合酵素を2006年に発見したことです。その酵素遺伝子を大                             腸菌に導入し機能発現させると細胞内でポリマ-を合成し始めます。                             体外に排出していた乳酸をつなげて蓄積するのです」遺伝子操作さ                             れた大腸菌は人間の体脂肪率に例えると80~90%までポリマ-を                             ため込む。あとは界面活性剤で生体膜を壊し、漂白剤できれいにする                            とパウダ-として成形可能で、使用後は微生物によって分解可能だ。                            今は培養液1㍑から数十㌘の抽出レベルだが、この「微生物工場」の                            生産効率は徐々に上がっているという。

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乳酸重合酵素のもとになつたのは理化学研究所(理研)時代に建設                             会社と調査中に土壌から見つけたシュ-ドモナス属菌。「基質特異                              性が広い、いわば浮気性で節操のない性格」の酵素から着手し、試                             験管内で人為的に誘導したところ、アミノ酸配列6百個のうちわずか                             二つが別のアミノ酸に置き換わることで、本来は重合できなかった乳                            酸を連結できるス-パ-酵素に変身したのだという。精巧な酵素分                              子の構造と機能、そして進化が魅力だという。「細胞内にぷかぷか                             浮かんでいる多彩な生体物質には情報転換、物質転換という独特の                             生体反応があります。生物は進化の過程でソフィストケ-トされ、完                             成度がものすごく高い。生体反応は機械以上に正確、精密。それを                             研究するのがバイオテクノロジ-の醍醐味なのですが、やればやる                             ほど生命現象の奥深さに感心します。」理研時代に実験植物のシロ                             イヌナズナやタバコの葉にPHAを直接合成させることに成功しており、                            今年は北大北方生物圏フィ-ルド科学センタ-と強力してススキなど                            非可食性の植物での合成を目指す。「将来は水と二酸化炭素を原料                             に、太陽光を浴びながら畑でプラスチックが取れるかも」という話ぶり                             は環境バイオテクノロジ-時代の本格的な到来を感じさせた。

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