(ブレイク・エドワ-ド監督、1963年、米)アラブの王室に伝わる、 世界一大きいダイヤモンド=ピンク・パンサ-。所有する王女に、 ハンサムな大怪盗が甘い言葉で近づき、パリ軽視庁の名物警部 クル-ゾ-は、それを阻止すべくトンチンカンに大奮闘・・・。 酒好きである。どのくらい好きかというと、家で独りで飲むのが一番 好きだというほど好きだ。と話すと、最初はたいてい冗談だと思われ る。次に、「それ何が楽しいの!?」と驚かれ、時には真顔で「・・・寂し いの?」と聞かれたりする。まあ確かに、多くの人にとって「飲む」と は「飲み会」のことであり、酒は楽しく話したり思いっきりグチったり するためのコミュニケ-ション・ツ-ル(道具)。あるいは、イヤなこと や悲しいことを忘れて現実逃避するための妙薬。「それだけ」を楽し むなんて、風邪もひいてないのに風邪薬をのむようなものと思うのだ ろう。そういう人からは、こんなセリフも出る。「私はお酒を飲みません。 現実に満足していますから」怪盗紳士に勧められた酒に、王女が答え る。対して彼は、こう応じる。「私も現実に満足しています。私の現実 には、酒も含まれていますが」そうそう。私にとっても酒は現実生活の 一部。だから、酒を飲んだときの自分も自分、と認識している。が、 この認識も、人に話すとよく反論される。「酒の席でのことは、酒が やらせることだから」てな理屈だ。しらふに戻って「酒のせいだ」と誤 れば、何でも許されると思っているらしい。「酒が人を別人に変える」 という言い方は、半分しか当たっていない。酒が知性と理性の脳= 大脳新皮質の働きを鈍らせ抑えるから、欲望と感情の脳=大脳辺縁 系の働きが表に現れる。つまり、増長され「変えられた」のではなく 本性が「出てきた」のである。失言、暴言、からみ上戸、泣き上戸、 暴力・・・。それをするあなたが本当のあなた。その現実のぬれぎぬ を、酒にかぶせるのはやめてくれ。(重田サキネ=ライタ-)
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