「高野和明」の本を紹介します。
「13階段」
高野和明のデビュー作にして、
平成13年に江戸川乱歩賞を受賞した作品です。
犯行時刻の記憶を失った死刑囚。
その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。
だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。
処刑までに残された時間はわずかしかない。
2人は、無実の男の命を救うことができるのか!
タイトルが暗示するように「死刑」がメインテーマになっています。
日本の法制度、刑罰制度、司法制度、死刑制度、保護観察 制度など罪と罰、更正に関して、考えされる事が随所にちりばめられて います。
死刑制度という重いテーマですが、
推理小説としても巧みなストーリー展開で
ぐいぐい引き込まれます。
宮部みゆきが
「手強い商売仇を送り出してしまったものです。」
と絶賛したのもうなずけます。
平成15年、反町隆史主演で映画化されました。
「グレイヴディッガー」
「グレイヴディッガー」とは英語で「墓掘り人」という意味です。
この小説の主人公は八神という三十二歳のヤクザ。
改心した八神は、骨髄ドナーとなって他人の命を救おうとしていた。
だが移植を目前にして仲間が惨殺されているのを目撃したことから正体不明の殺戮者の執拗な追跡を受けることになる。
白血病患者を救うべく、命がけの逃走を開始した。
首都全域で繰り広げられる決死の追跡劇。
謎の殺戮者、墓掘人の正体は?
著者いわく、
「この小説では、ホラーに近いスリラーに重点を置いて書きました。
とくにこだわったのは疾走感です。全部で十四時間の話しです」
この言葉通り
十四時間、ノンストップで展開する
カーチェイスのような追撃と逃走の物語。
逃げる主人公、追う殺戮者、そこに警察の捜査も加わって、緊迫感はハラハラ、ドキドキです。
読み始めたら止まりません!!
「K・Nの悲劇」
若くして成功した夫との新しい生活。
だが予期せぬ妊娠に中絶という答を出した時から、
妻:夏樹果波の心に異変が起こり始める。
自分の中に棲みついた別の女―精神の病か、それとも死霊の憑依なのか。
治療を開始した夫と精神科医の前には想像を絶する事態が待ち受けていた。
人間愛とは・・・
母性愛とは・・・
命の大切さを考えさせられます。
ミステリーとホラーが融合したような作品です。
ちなみに、作者は小説を書く前、約十年間、映画、テレビの脚本家として活躍してました。
そして、あの映画監督岡本喜八の門下生でもありました。
全作品にこの経験が十分生かされてます。
どの作品も読み出したら、
はまる事、間違いなしです!