朝倉 かすみ 著 「田村はまだか」を読みました。
3月4週の金曜日深夜、札幌ススキノ、小さなスナック・バー「チャオ!」の店内。
小学校のクラス会の3次会。
5人の40才になる男女が大雪で列車が遅れ、クラス会に間に合わなかった「田村」を待つ。
待ちながら各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たち。
今の自分がこうなったのは、誰の影響なのだろう―。
それにつけても田村はまだか?
小学校の同窓会の3次会のスナックで最後まで残った5人の中年男女とスナックのマスターの花輪春彦も加えた6人が、遅れて到着する予定の「田村」を待ち続けると云う 設定が面白い。
まるで舞台演劇を見ているような感覚で読み始めました。
しかもスナックの外の風景はHさんの故郷の札幌・ススキノの街並み・・・。
そう云えばこんな看板があったよな~、なんて懐かしく思い出しながら読み進めました。
6人それぞれが、過去にあった”痛い出来事”を思い出す。
それらは仕事であったり、不倫であったり、離婚であったり、ほのかな恋心であったりする。
40才という年齢に達した彼らの、彼らなりの心象風景が、あくまでさらりと描かれてゆく。
そして、果たして田村は来るのか・・・。
早く来いよ、田村。
2009年吉川英治文学新人賞受賞作。