「闇の列車、光の旅」
公開:2010年
出演:エドガー・フロレス, キャリー・ジョージ・フクナガ
南米ホンジュラスで暮らす少女サイラ。
よりよい暮らしを求め父と叔父とともにアメリカを目指すことにした彼女は、移民たちがひしめきあう列車の屋根の上でカスペルというメキシコ人少年と運命の出会いを果たす。
彼は、強盗目的で列車に乗り込んだギャングの一員だったが、サイラに暴行を加えようとしたギャングのリーダー、リルマゴを殺しサイラを救う。
組織から追われることになったカスペルと、彼に信頼と淡い恋心を寄せ行動を共にするサイラ。
二人は、国境警備隊の目をかいくぐり、組織の待ち伏せをかわしながら命がけで国境を目指すのだが・・・。
「ここには何もない。未来も。」というホンジュラス
貧困から脱出する為、命がけで列車の屋根に乗り、雨風をビニール・シートでしのぎ、ひもじい思いをしながら北を目指し旅を続ける移民たち
そんな移民たちから金品を略奪しようとするギャング団と密入国を取り締まる国境警備当局という二つの組織からの身を守りながらもひたすらアメリカを目指す。
旅の途中では果物の差し入れをする人がいるかと思えば、逆に石を投げつけて罵倒する輩もあらわれる。
ホンジュラス出身の不法移民たちの決死行がそのまま映像化されていて、生々しい。
「アメリカを目指す」という”命を賭けた”夢の切なさ、切実さ。
余り知られていない中南米の現実、過酷な救いの無い物語の中にギャング団の組織から追われ命を狙われる少年を慕う不法移民の少女のひたむきさが一筋の光りとなって心を暖めてくれる。
この映画のお勧め度:☆☆☆☆