船戸 与一 著 「砂のクロニクル」を読みました。
民族の悲願、独立国家の樹立を求めて暗躍する中東の少数民族クルド。
かつて共和国が成立した聖地マハバードに集結して武装蜂起を企む彼らだったが、直面する問題は武器の決定的な欠乏だった。
クルドがその命運を託したのは謎の日本人“ハジ”。
武器の密輪を生業とする男だ。
“ハジ”は2万梃のカラシニコフAKMをホメイニ体制下のイランに無事運び込むことができるのか・・・。
以前から読みたいと思っていた作品を本屋で見つけて早速購入!!
かなりの長編ですが、GW期間中なので比較的時間に余裕を持って読めました。
80年代末期のイランを舞台にした小説です。
中東の少数民族クルド人。
その独立のための武装蜂起を話の中心にして、
クルド・ゲリラのハッサン、革命防衛隊副部長ガマルと隊員のサミル、複雑な過去を持つ女シーリーン、日本人の武器密輸業者「ハジ」、そして別人だが同じ名前を持つもう一人の「ハジ」
それぞれが思惑を心に秘めて、運命の糸に操られるかのように聖地マハバードに集まってくる。
彼らの行く末には一体何が待っているのか・・・。
実際の事件、出来事、歴史上の史実などを踏まえ進んでいく物語は”このまま一気読みしたい!”と思うほどの面白さでした。
また様々な中東の政治情勢や宗教感や民族の考え方が良く分かる一冊です。
第5回山本周五郎賞と第10回日本冒険小説協会大賞国内部門大賞受賞作。