確たる表現の意図もなく、例によって漫然と、あっちでパチリ、こっちでパチリと写真を撮っていく。
たまに、この場所を誰にも渡すものかとばかり、同じ場所でずっと写真を撮っている人がいる。
構図を変えて何枚も撮っているのか。露出を変えて何枚も撮っているのか。光の変化を待っているのか。
本人でないとわからない。
撮るたびにモニターでじっくり確認している。
ひょっとしたらその場所が空くのをじっと待っている人がいるかもしれない、なんて発想は微塵も無さそうだ。
「ちょっと一枚ぐらい撮っとくか」程度の僕は、しばらく待ってその人が動きそうにないと、諦めて次の場所へと移動する。
なんとなく、フィルム時代の、写真がマイナーな趣味の時代はよかったなーとつくづく思う。