目下、米価の高騰に国民の多くが憤っている最大の理由は、‘悪徳業者’によって価格操作が行なわれているからに他なりません。お米をため込んだり、転売するだけで利益を得ているのですから、生産者並びに消費者の怒りを買うのは当然のことです。米価が2倍にも跳ね上がったにも拘わらず、日本国政府の対応は後手後手であり、「買い占め等防止法」が存在しながら、これを適用しようともしていません。政府やマスメディアの不審な行動の背景には、常々、グローバリストの陰が見えるのですが、今般も、米先物取引との関連性が強く疑われるのです。
先物取引という言葉は、一般的には馴染みが薄いのですが、人類史を振り返り、かつ、何故、今日、グローバリストが強大なるマネー・パワーを有するに至ったのかを考えますと、その重要性が自ずと理解されてきます。それは、先物取引、即ち、その本質とも言える‘未来の結末’に対する賭けが、莫大な利益を生むからです。例えば、今日、グローバリストの代表格とも言えるロスチャイルド財閥が巨万の富を得たのは、ナポレオン体制に終止符を打ったワーテルローの戦いにあって、逸早く‘未来の結末’を知り得たからです。「ネイサンの逆売り」と呼ばれるネイサン・ロスチャイルドの作戦は、自らの情報網からイギリス勝利を知りながら同国の国債(コンソル公債)を大量売却し、市場における同債権の投げ売りを誘発した後に、これらを安値で買い漁った上で、イギリス勝利によるコンソル公債暴騰で大儲けをする、というものでした。
同事例に留まらず、‘未来の結末’が分からない戦争もまた、先物取引的な要素があり、戦時国債の売買にはギャンブル的な一面があったことには留意すべきです。そして、上述した「ネイサンの逆売り」は、‘未来の結末’を知っていた者には、確実に利益が転がり込むことを示しています。つまり、それは、既に‘賭け’ではなく、謀略の舞台となるのです。この点、昔ながらのサイコロを用いるルーレットなどの方が、余程、偶然の運に任されていると言えましょう。何らの人為的な操作を施す隙がなく、一瞬において勝敗が決まるからです(もっとも、ずる賢いプロのギャンブラーは、サイコロに細工を加えて勝敗率を操作したとも・・・)。
そもそも、ギャンブルや投機とは、一分一秒でも未来における変化に賭ける行為であり、この側面においては、スポット取引も先物取引も変わりはないのですが、先物取引には、未来を操作するだけの十分な時間が用意されるという違いがあります。ワーテルローの戦いにあっても、ロスチャイルド財閥がその潤沢な資金力をもってイギリスを支援すれば、‘未来の結末’を裏側から操作できたはずです。日本国も、日露戦争に際してジェイコブ・シフ(クーン・ローブ商会)に戦時国債を引き受けてもらっていますが、同戦争での日本国の勝利は、日英同盟を背景としたイギリスの隠密支援が功を奏したとも指摘されていますので(バルチック艦隊の航行を邪魔する・・・)、ユダヤ系金融にとりましては、戦争、とりわけ、‘逆張り’ともなる敗北予測国側の勝利は、一刻千金の利益獲得のチャンスなのでしょう(その後の国債の償還や利払いを考えれば、日本国は、シフにそれ程恩義を感じる必要はないのかも知れない・・・)。
戦争もまた‘賭け’の対象となったとき、人類は、人為的な‘未来操作’のリスクにも直面することとなります。しかも、この脅威は今日あってもなくなったわけでなく、今般の米価高騰をはじめ、ウクライナ戦争を機とする石油価格や穀物価格の操作疑惑など、様々な場面において同様の‘投機ビジネス’が繰り返されているようにも思えるのです。ヘッジ・ファンドは世界各地でビジネスチャンスを狙っていますし、不可解な出来事や現象の背景には、金融筋の不穏な動きも見え隠れします。そして、巨大地震の発生予測をはじめ、しばしばメディア等で紹介される予測や予言とは、‘未来操作’の一環であるかも知れないのです。
このように考えますと、先ずもって、人類は、先物取引の存在意義を根底から問い質す必要がありましょう。そして、少なくとも農産物やエネルギー資源等、人々が生活する上で必需品となる品目に関しては、先物取引市場を閉鎖すべきなのではないでしょうか。大多数の無辜の人々が犠牲となる‘未来操作’のリスクから逃れるためにも。