万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

東アジア共同体の官僚主導という壁

2009年09月30日 15時50分58秒 | アジア
東アジア共同体構想 中国が発案、時代遅れ 米専門家(産経新聞) - goo ニュース
 鳩山首相の政治信条は、”官僚主導から政治主導へ”ということのようです。その一方で、EUをモデルとして東アジア共同体を設立するならば、それは、官僚主導にならざるを得ないと思うのです。

 しばしば、EU委員長が国際舞台などに登場してきますが、実のところ、EUとは、極めて官僚主義的な組織なのです。ユーロクラットと呼ばれる官僚が、行政機関である委員会で働いており、法律の草案を作成する権限をほぼ独占しています。また、この機関は、EUと加盟国の双方の政治的な機関から独立していなければならず、政治介入はご法度です。その理由は、欧州市場のルールに偏りがあってはならない、あるいは、政治力学が働いてはならない、ということなのですが、委員会の独立性と中立性が、EUの信頼性を支えているとも言えます(特定の加盟国や集団にとって有利なルールであってはならない・・・)。

 東アジア共同体が、アジア市場のルール造りに踏み込むとしますと、ルールの中立性と公平性の問題は避けて通れないことになります(通貨統合でも、東アジア中央銀行の独立性が要請される・・・)。具体的な制度設計の時点で、大きな壁にぶつかるように思えるのですが、いかがでしょうか。

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誰もが不安な東アジア共同体

2009年09月29日 16時17分22秒 | 国際経済
東アジア共同体構想 “外された”米、反発 不信感払拭できず(産経新聞) - goo ニュース
 政治家とは、人々に夢や希望を与えるようなヴィジョンを発表することで、政治の舞台を華やかに演出するものです。しかしながら、鳩山首相が打ち上げた東アジア共同体構想については、アメリカのみならず、加盟予定国もまた、疑心暗鬼に陥っているようなのです。

 それと言うのも、東アジア共同体構想には、共通の目標も、各国のメリットも、はっきりと提示されていないからなのではないかと思うのです。日中韓の三国を見ましても、何れも欧米市場への輸出依存度が高く、共通通貨の導入もまた、自国にとってメリットになるのかも判然としません。安全保障の枠組みに至っては、尖閣諸島や竹島などをめぐって、相互に領有権を争っている状況にあるのですから、東アジア共同体の設立によって自国の安全が保障されるという確信もありません。加えて、藤井財務省は、輸出志向の大企業が牽引する経済成長は時代遅れとの発言をされていますが、東アジア共同体によって、アジア市場が拡大することを想定するならば、大企業を育てる方が理にかなってもいます。

 一寸先が闇となるようなプロジェクトとなりますと、誰もが、足を踏み出すのに慎重にならざるを得ません。東アジア共同体のヴィジョンがいま一つ躍動感や生彩を欠くのも、この構想の曖昧性が、あらゆるレベルで相互不信をもたらしているからなのではないかと思うのです。

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円高は本当に異常ではない?

2009年09月28日 16時00分30秒 | 国際経済
「水準のことは一言も言っていない」…藤井財務相(読売新聞) - goo ニュース
 現在、急激に進行している円高は、実体経済を反映しているのでしょうか。藤井財務相は、”今のトレンドは異常ではない”、つまり”自然なトレンド”と捉えているようですが、株価の方は下落傾向にあることを考えますと、やはり、”異常”とも言えます。以下に、”不自然”点を挙げてみますと・・・

(1)貿易決済の減少
 金融危機以来、日本国の輸出は、欧米市場を中心として減少傾向にあります。決済通貨として円が使われているとしますと、市場での円需要は減少しますので、円安に向かうはずです。また、ドル建て決済であったとしましても、貿易自体が減少しているのですから、急激な円高となる理由もありません。

(2)日銀の国債買い切りオペ
  通常、中央銀行が、自国政府が発行した国債を買い切るオペを行いますと、インフレが警戒されて、通貨価値が下落します。日銀は、現在、上限まで買い切り額を拡大させていますので、本来、円安に動くはずです。

(3)低い経済成長予測
 鳩山首相の温暖化ガス25%削減発言もあって、日本経済の成長は鈍化するのではないかとする憶測が流れています。一般的には、不況下にある国の通貨が高値をつけるということは稀であり、この点も不自然と言えます。

・・・などがあります。これらの不自然な点に加えて、中韓では、”通貨のダンピング”を公然と行っているのですから、非難声明がないことも不思議なことです。金融機関による円キャリートレードの解消が円高要因として指摘されていますが(低金利で円を借りて高金利国で運営していた金融機関が、各国中銀の低金利政策と日銀の公定歩合引き上げを受けて、借り入れた円の返済のために円を買っている・・・)、藤井財務相には、ぜひ、円高の要因を国民に対して丁寧に説明していただきたいと思うのです。また、もし、各国中銀間の金利差が、通貨の相場を歪めるとしますと、国際社会は、その対策をも講じなければならないのではないでしょうか。

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小学生から法学を―責任の自覚

2009年09月27日 13時36分22秒 | 社会
万引現場にもモンスターペアレント 「捕まえる前に諭せ」「届く場所に置くな」(産経新聞) - goo ニュース
 裁判員制度が開始されたこともあって、法律に対する国民の関心は高まっているようです。その一方で、社会のルールを平気で破りながら、他人に責任をなすりつけるモンスター親子も出現しているそうです。

 かつては、家庭や教室を通して、社会の基本的なルールを学んだものですが、日教組が道徳と正面から向き合うことを忌避したためにが、親の世代からして、自己の行為に対する責任は自らがとるという姿勢に欠けているようです。自らの違反行為が、他者の権利を侵害し、損害を与えたという意識がなく、加害行為を働けば、自分自身が罰を受ける立場となることを自覚できないのです。この態度は、自己を全面的に肯定しがちな幼児期にも共通してます。

 罪の意識に目覚めさせるための特効薬はないのでしょうが、少なくとも、義務教育過程に法学を教科として加え、社会の基本的なルール―殺すなかれ、盗むなかれ、嘘をつくなかれ・・・―を破ると罰を受けるという因果応報を教えることは重要なのではないかと思うのです。国民が学校教育を通して法学を学んでいれば、治安の維持にも役立ちますし、裁判員としての素養をも身に付くことになるのではないでしょうか。 

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蚊帳の外の新興国はG8の合意に従う?

2009年09月26日 15時44分39秒 | 国際政治
鳩山首相「G8なくすべきではない」 日本の埋没を懸念(朝日新聞) - goo ニュース
 現在起きている国際経済の歪みの一因が、中国やインドといった新興国の輸出攻勢にあることを考えますと、当事国を加えた会合、つまり、G20の方が解決能力が高いという主張には一理あります。ところが、鳩山首相は、政治主導を根拠として、G8体制の維持を訴えているようなのです。

 もちろん、鳩山首相が、G8におけるアジア唯一のメンバーとしての日本国の特別の地位を是非とも守りたい、というならば、首相による国益を重視しての発言とも理解できます(首相のアジア重視の姿勢とはいささか矛盾しておりますが・・・)。中国もまた、同様の理由で、日本国の安保理の常任理事国入りを反対しております。しかしながら、その一方で、G8の枠組みで合意されたことを、すんなりと新興国が受け入れるとは思えないのです。今回のG20の会合でさえ、発表された声明には中国の元安政策の是正を求める文言はなく、如何に、新興国を合意に引き込むことが難しいかを示しています。中国もインドも参加しないG8ともなりますと、当事者が出席しない”欠席裁判”のようになりますので、なおさらのことになると予測されるのです。

 「温暖化ガス25%削減」の発言からも、鳩山首相は、コンセンサス重視の政治家ではないことが伺えます。当事者の意見や合意の形成に関心を払わず、むしろ、トップ・ダウン式の政治をめざしているようなのです。しかしながら、グローバル化と多極化が同時進行する状況下にあっては、原則を守りつつも、複雑に絡む利害を調整する機能は不可欠です。鳩山首相の政治姿勢は、何か、ちぐはぐなように思えてならないのです。

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温暖化ガス25%削減―民間も条件を付けては

2009年09月25日 12時30分01秒 | 国際経済
鳩山政権のCO2削減“公約”で日本経済の浮沈握る技術革新(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 鳩山首相は、地球温暖化対策として「90年比25%削減」という大胆な目標を掲げましたが、この目標を達成するには、民間企業や国民の相当の努力が必要と指摘されています。つまり、この目標を達成できるか否かは、一重に民間の努力にかかっているのです。

 しかしながら、鳩山首相のスタンド・プレー方式では、民間の意欲を引き出すことは難しく、このままでは協力もままなりません。もし、民間が、25%削減を受け入れるならば、以下のような施策の実施を条件として付すべきと思われるのです。

(1)主要国や新興国に対する高い削減目標の設定要求
(2)自国の知的財産権の保護と海外への技術移転の規制
(3)外交を通した海外への日本製環境製品の売り込み
(4)環境への配慮なき国や企業の製品に対する輸入規制
(5)企業の環境技術開発への財政支援(優遇税制、補助金・・・)
(6)政府系研究機関が開発した技術の民間企業への提供
(7)大規模エネルギープロジェクトへの投資(常温核融合?二酸化炭素の埋蔵技術?メタンハイドレードの実用化?・・・)
(8)研究技術・開発を阻害する規制の緩和
(9)教育のレベルアップによる技術者の養成
(10)排出量取引への参加に代替する環境投資制度の導入

 以上の施策を実行するためには、莫大な予算を要しますので、必要とあらば子供手当や高速道路無料化などの政策を断念すべきと言えましょう。特に、次世代型の大規模エネルギー・プロジェクトは、劇的に温暖化ガスを削減する効果がありますので、率先して推進する必要があります(二酸化炭素犯人説が間違いであっても、開発された技術は役立つ・・・)。

 政治家は言葉だけで済みますが、努力を強いられるのは企業であり、国民です。その企業と国民の声に耳を傾け、努力を全面的にバック・アップし、その苦労に感謝し、報い、自らも汗を流すという姿勢なくして、25%削減は無理なのではないかと思うのです。 

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”毛将軍”は中国動乱の台風の目になるのか?

2009年09月24日 15時39分05秒 | アジア
毛沢東の孫、「最も若い将軍」に…香港紙(読売新聞) - goo ニュース
 中国では、共産党幹部の昇進などで子弟が優遇されていることはよく知られており、世襲幹部が集まる”太子党”は、今日では、一定の影響力を持つ政治勢力に成長しているようです。”毛沢東の孫”の少将昇格も、その一例に過ぎないかも知れません。しかしながら、成り行き次第では、”毛将軍”の存在は、中国動乱の台風の目になるのではないかと思うのです。

 改革開放路線を選択して以来、中国は、目覚ましい経済成長を遂げてきました。しかしながら、金融危機のマイナス影響は軽度であったと言われながらも、さしもの中国経済も、財政出動の息切れと輸出の停滞は懸念材料であり、また、製造拠点としての優位性も、周辺諸国からの追い上げを前に揺らぎつつあります。共産党政権の腐敗も相まって、近い将来、国民の不満が高まるとすると、軍部の求心力が高まるという展開は大いにあり得ることなのです。しかも、人民解放軍に、”毛将軍”が存在しているとなると、”毛将軍”を担いだ第二の”文化革命”が起きるとも限らないのです。

 もちろん、”毛将軍”の人物像について詳しくは報じられていませんので、このシナリオは、憶測に過ぎません。しかしながら、人民解放軍に”毛将軍”がいることだけは、今後の中国の行方を予測する上でも、記憶しておくべきことのように思うのです。

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鳩山首相は日本国を捨て石に?

2009年09月23日 16時23分42秒 | 国際政治
鳩山首相、温室効果ガス「25%削減」世界に宣言(朝日新聞) - goo ニュース
 鳩山首相は、国連気候変動サミットで「95年比25%」の温暖化ガス削減を目標として掲げたそうです。この数値は、アメリカの14%やEUの13%と比べても、著しく高い目標設定となるのですが、もし、この数値が、中印を削減枠組みに参加させるための作戦であるとしますと、これは、”捨石作戦”になるのではないかと思うのです。

 中印の理屈は、これまで温暖化ガスを大量に排出してきた先進国が、まずは、高い率で温暖化ガスを削減すべきであって、新興国は、先進国がこの責任を果たさない限り、削減枠組みには参加しない、というものです。つまり、中印を参加させるためには、その条件として、先進国が率先して高い目標設定を示さねばならず、鳩山首相は、この中印の条件闘争に応じたことになります。この作戦は、首尾よく成功しますと、中印の参加と義務の受け入れという結果を得られるのですが、その反面、日本国は、如何なる犠牲を払っても、この目標を達成しなければならない立場に追い込まれます。そしてそれは、すべて国民と企業に、重くのしかかってくるのです。

 中印の参加は、温暖化ガス削減という目標には合致し、国際社会はもろ手をあげて歓迎することでしょう。”友愛”を信条とする鳩山首相も、この狙い通りの結果に満足するのでしょうが、その陰で、25%削減義務により負担を強いられた日本国民が苦しみ、産業の衰退を招くとしますと、”捨石”の悲哀を感じざるを得ません。しかも、地球温暖化の原因が本当のところははっきりしないことを考えますと、その悲壮感は増すばかりです。”捨石作戦”は、”友愛”どころか、国民に対しては”冷淡”な作戦のように思うのです。

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統制経済の行く末は”国営奴隷制”?

2009年09月22日 15時33分26秒 | 国際経済
年末まで「100日戦闘」=成果強調、実態は不明-北朝鮮(時事通信) - goo ニュース
 長期にわたる統制経済の結果、経済が疲弊した北朝鮮では、生産力の回復を目指してか、”○○日戦闘”のスローガンのもとで、国民が”労働”に総動員されているようです。

 統制経済下における国民の労働インセンティブの低下と負のスパイラルは、既にソ連邦崩壊に際しも主要な要因として指摘されており、北朝鮮の現状も、予測された通りと言えます。ただしかし、ソ連邦は、末期にあって、曲がりなりにも市場経済の導入を模索し、経済改革に着手しましたし、中国もまた、この失敗に学んで、改革開放路線に切り替えました。一方、北朝鮮の対応は、その逆と言えます。働かなくなった国民を、強制労働に動員したのです。この方向性は、統制経済のさらなる強化に他なりません。このことは、統制経済を極限まで推し進めますと、強制労働体制という、”国営奴隷制”が出現することをも示唆しています。

 結局、北朝鮮の”○○日戦闘”は、統制経済の行く先が、”国営奴隷制”であることを露わにするとともに、柔軟性を失ったその末路は、ハード・ランディングとなるのではないか、と思うのです。

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全国人民代表大会化する日本の国会?

2009年09月21日 14時27分04秒 | 日本政治
世界で一番ハチャメチャな国会はどこ?(ニューズウィーク日本版) - goo ニュース
 国会が議員同士の乱闘の場となり、その光景が世界中に報道されることは誉められたものではありません。しかしながら、その一方で、法案に対する議論らしい議論もなく、無表情の代表者たちが賛意を表明するだけで大会が終了する中国の人代表者大会も、不気味な光景の一つです。

 全国人民代表大会が常に無風なのは、一党独裁と民主集中性の下で、予め全ての事案が党レベルで決定されることにあります。ところが、民主党政権発足後の動きを見ていますと、日本国の国会もまた、社会・共産主義国の仕組みに似てきたように思うのです。その兆候のひとつが、民主党議員に出されたという”議員立法の禁止令”です。今後は、政府しか法案を提出する権利を認めないというのです。国会法には、議員立法の手続きが明記してあり、この権利を停止するとなりますと、政党が、法律で認められた国民の代表である議員の権限を制限するという、法律違反の行為となりましょう。また、議員の政策立案の意欲が削がれ、政治が活力を失うことも確かです。

 この禁止令から見えてくる民主党が描く政治制度では、議会は多様な意見や利益を調整する議論の場ではなく、承認機関か、追認機関に格下げされてしまいます。この役割ならば、中国の全人大のように、数日の開催期間で済んでしまいます。中国では、全国人民代表大会は、憲法で最高の国家権力機関とされ、日本国でも国権の最高機関とされながら、両者ともその役割が軽いとなりますと、ますます似通ってくることを恐ろしく思うのです。

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インド洋給油活動継続も選択肢の一つでは

2009年09月20日 15時24分41秒 | 日本政治
岡田氏「自衛隊派遣あり得ない」 アフガン支援で(共同通信) - goo ニュース
 アフガン支援が、如何に危険に満ちたものであるのか、それは、毎日のようにNATO軍の死傷者が報告されていることからも分かります。また、日本国でも、民間NGOの方が支援活動中に犠牲になられており、武器を携帯せずしてかの地に赴くことは死を意味するかもしれません。

 こうした状況にあって、アフガン支援を行うためには、支援部隊、あるいは、警護部隊として自衛隊を派遣するしかないのですが、岡田外相は、それでも危険なので人的支援は無理ではないかと述べているようです。もし、自衛隊のアフガン支援を控えるならば、やはり、インド洋給油活動の継続は、有力な選択肢の一つとなるのではないかと思うのです。何故ならば、インド洋給油活動ほど、安全な支援活動はないからです。

 他国は自国の兵士の尊い生命を危険に晒すことを承知で、アフガニスタンに軍隊を派遣しております。日本国の自衛隊が、安全な兵站活動に従事していることは、より重い犠牲を払っている諸国に対して申し訳ないことでもあります。人的貢献ではなく、財政支援に代えるという方法もありますが、せめて、インド洋での自衛隊の活動を継続することで、日本国の誠意と責任感を示すべきと思うのです。  

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核密約調査―日本側に返されたボール

2009年09月19日 16時05分40秒 | 日本政治
核密約調査「日米関係に影響ない」 米国務次官補(朝日新聞) - goo ニュース
 日米の核密約について、民主党政権の岡田外相は、過去に遡って徹底的な調査を行うよう指示したと報じられています。一方、米国務次官補のキャンベル氏は、この密約の存在を認めたそうですので、調査結果は、密約は存在した、という結果に落ち着くことになりそうです。

 さて、ここで、ボールは日本側に返されたことになるのですが、日本国政府の選択肢は、限られているように思うのです。それは、(1)核の密約を認め、米軍による核の持ち込みを公式に認める、(2)核の密約を咎め、米軍による核の持ち込みを公式に禁じる、というものです。(1)の場合には、”非核三原則”を放棄することになりますし、一方、(2)の場合には、自国を守る”核の傘”を放棄することになります。岡田外相としては、おそらく(2)を選択したいところなのでしょうが、もし、この選択を行いますと、安全保障上の重大なリスクが発生しますので、国民からの反対の声が上がることは必至です。

 中国や北朝鮮からの核の脅威を考えますと、ここはやはり、現実路線をとりませんと、日本国の不安定化を招きます。密約の調査を、日米間の正直でオープンな対話を始める契機とすべきと思うのです。

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民主党は国会の議論を通して政策修正を

2009年09月18日 15時08分52秒 | 日本政治
米医療保険改革 波紋呼ぶ妥協案 「公的」を見送り協同組合が運営(産経新聞) - goo ニュース
 わが国でも今月16日に民主党政権が成立し、数の力で矢継ぎ早にマニフェストに掲げた政策をそのまま実行に移す気配が感じられます。一方、アメリカからは、大統領選挙におけるオバマ大統領の目玉の一つであった医療保険改革について、共和党の賛成を得るために妥協案が示されたとのニュースが届いています。

 日米には、大統領制と議院内閣制という違いはありますが、アメリカでは、幅広い国民からの指示を得るために、議会が利害調整の役割を上手に果たしています。現在、上下両院とも民主党が過半数を占めていながら、民主党案を一方的に可決・成立させようとはせず、具体的な財源を議論し、世論に耳を傾け、共和党や利害関係者の意見に配慮した上で、妥協が成立しうる線を模索しているのです。議会の調整機能が、法案を、理想の世界から現実の世界に連れ戻し、より多くの国民が受け入れやすい形に整えているのです。

 小選挙区制では”死票”も多く、また、国民が個別の政策に対して賛否を表明できない現行の制度では、与党と謂えども、選挙結果だけを根拠に数で決着を付けようとする態度は、民主主義の濫用と言えます。何れの政策であれ、マニフェストに列挙した政策は、与党あるいは政府提案の原案と考え、国会で十分な議論と審議を尽くし、国民の多くが納得する法案を作り上げていただきたいと思うのです。

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アフガン支援は民間人では危険過ぎる

2009年09月17日 15時33分05秒 | 日本政治
北沢防衛相、給油活動を延長しない方針明言(読売新聞) - goo ニュース
 北沢防衛相は、政権発足早々に、インド洋での給油活動から撤退する方針を明らかにしたと報じられております。同盟国であるアメリカ政府からは、既に給油継続を希望するとの意向が表明されておりますので、これを断る限りは、それ相応の代替案を示しませんと、日米同盟が弱体化するとともに、国際社会からの信頼をも失いかねません。

 代替案として、民主党サイドでは、民間人によるアフガニスタン支援を検討しているとのことですが、タリバン勢力の攻勢が強まり、加えて、大統領選挙をめぐり政治が混迷化しているアフガニスタンの現状を考えますと、民間人の派遣はあまりに危険です。もし、民間人を農村支援や生活インフラの整備のために派遣するならば、武器を携帯した自衛隊の護衛を要するのではないかと思うのです。もっとも、最も安全な給油活動からも撤退を表明するぐらいですから、民主党政権では、自衛隊の派遣には躊躇するかもしれません。しかしながら、命がけで闘いっているNATO軍に日本国の民間人の護衛まで依頼するのは虫がよすぎるお話であり、むしろ顰蹙を買うことになるのではないでしょうか。

 政府は、インド洋給油活動からの撤退に伴うリスクや失う国益について、よく比較考量すべきであり、結論を急いではならないと思うのです。世論調査によりますと、給油活動への賛成が多数を占めていますので、政策を誤りますと、取り返しのつかない失点になるのではないでしょうか。

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国際社会で通貨政策のルール作りを

2009年09月16日 16時03分39秒 | 国際経済
韓国外為当局、ウォン高抑制のためドル買いのもよう=トレーダー(トムソンロイター) - goo ニュース
 中国の元安政策に加えて、韓国もまた”通貨切り下げ競争”に参加し、為替相場をウォン安に誘導するようです。最近のグローバル市場における両国製品の競争力は、自国通貨安に負うところが大きく、このままでは、日本国を始めとして他国に不利益を与えそうです。

 そこで、少なくとWTOに加盟している諸国の通貨政策については、一定のルール作りを行うべきではないかと思うのです。現状では、各国の政策権限を拘束する有効な手段はないに等しく、価格上の競争力を維持するために、輸出志向の加盟国の政府は、自国通貨安に誘導する為替政策に依存しがちです。しかしながら、関税や数量制限を撤廃する一方で、為替取引を制限するとなりますと、加盟国の間で競争上の不公平が生じます。中国は、アメリカのセーフガード発動を自由貿易に反する”保護主義”として非難していますが、自らは、元の取引制限という形を変えた”保護主義”を行っていることを自覚していないようなのです。

 一部の国の行為により、グローバル市場における競争が歪められることには問題があります。緊急避難的な措置を除き、平時において恒常的に輸出競争力を維持するために行われる市場介入には、原則禁止、あるいは、制約を設けるべきなのではないでしょうか。

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